賃貸でも持ち家でも火災保険に加入して、万が一の火災被害に備えるのが一般的ですよね。
都内から地方に移住して古民家に引っ越すブームもあるように、築年数の古い家にこれから住もうと検討されている方もいるでしょう。
また今住んでいる家の築年数が古く、「これ以上保険に加入しておくメリットってあるかな…?」と疑問に思う方もいますよね。
火災保険は古い家ほど保険料が高くなるといわれていますから、保険料を支払っていく必要性があるのか気になるかたもいますよね。
今回は築年数の古い家でも火災保険への加入は必要か、また加入したとして保険金はおりるのかについて、徹底的に解説していきます。
目次
築年数の古い家でも火災保険への加入が必要な3つの理由
結論、築年数の古い家でも火災保険への加入は必要です。
築年数の古い家でも火災保険への加入が必要な理由は、以下の3つです。
- 築年数が古くても保険金は平等に支払われるから
- 火災保険の契約方式によって建て替え費用が下りることもある
- 家が焼失した時に公的補償は満足いくほど受けられない
以下で詳しく解説していきます。
築年数が古くても保険金は平等に支払われるから
火災保険に加入している以上、築年数が古くても保険金は平等に支払われます。
火災保険では加入時に建物の耐火構造や築年数に応じて、保険料を決定しますよね。
耐火性が低く築年数が古い建物の場合、万一火災や自然災害に見舞われた場合、全損する確率が非常に高いですよね。
保険には新築で耐火性の高い建物に住んでいて、同様の補償を手に入れている家庭もありますから、保険加入者間で支払っている保険料と保険金を受け取れる機会のバランスが崩れてしまいますよね。
他の加入者とのバランスを取るために、保険料を多く支払うだけにすぎませんので、築年数が古い物件に住んでいるからといって保険金が支払われないことはありません。
火災保険の契約方式によって建て替え費用が下りることもある
火災保険では1998年に制度の改正が行われ、従来の時価額契約から再調達価額契約が主流になりました。
従来は時価方式で、焼失あるいは損害を受けた箇所の当時の価格によって、支払われる保険金額が決められていました。
建物は時間がたつにつれて経年劣化が進みますから、2000万円で購入した物件だとしても被災当時の価格は1000万円まで下がっていることもあるのです。
一方で再調達価額で契約している場合には、同等の建物を再建するのに必要な金額が支払われることになります。
つまり築年数の古い物件でも、再調達価額で契約していれば建物を再建するのに必要な保険金が下りることもあるのです。
もちろん全損と認められなければ満額は降りませんので、注意が必要です。
家が焼失した時に公的保障は満足いくほど受けられない
「地方自治体で公的保障はある程度用意されているだろうから、火災保険はいらないよね」と考える方もいるでしょうが、公的保障はそこまで手厚くありません。
自治体には「被災者生活再建支援制度」が用意されていますが、1世帯当たり最大で300万円程度しか保障されません。
新潟県の糸魚川市で発生した大規模火災でも、災害救助法が適用されても住居と救援物資は用意されましたが、生活を再建するだけの費用は受け取れないとの声も。
火災保険の保険金は受け取り次第用途は皆さんにゆだねられますので、生活の再建のために活用できます。
築年数の古い家で火災保険に加入するときの注意点
築年数の古い家絵でも火災保険に加入するときには、以下の注意点を把握しておきましょう。
- 耐火構造によっては保険料が高くなる
- 建築資材の高騰で保険金だけでは同等の建物が建てられない
- 加入後リフォームするなら保険会社に報告が必要
以下で詳しく解説していきます。
耐火構造によっては保険料が高くなる
冒頭でも紹介した通り火災保険では耐火構造によって保険料を決定します。
火災保険が採用している耐火構造には、以下の3等級用意されています。
- M構造(マンション構造)
- T構造(耐火構造)
- H構造(非耐火構造)
上に行くほど耐火性が高く、下に行くほど耐火性が低く火災発生時の被害が大きくなる可能性があります。
築年数の古い物件は木造で作られていることが多いでしょうから、耐火性は低くT構造あるいはH構造に分類されることが多いです。
保険会社としても燃え広がりやすい構造に住んでいる以上、保険金の支払い機会も増えていきますので、保険料を高く設定するのです。
また建物自体も老朽化していますから、重ねて保険料が高く設定される傾向にあります。
構造によっては類焼損害補償特約を付帯しておく
築年数の古い家は燃え広がりやすい構造になりがちであることをお伝えしました。
日本には失火責任法という法律があり、過失の認められない火事に関してはたとえ延焼したとしても、相手から損害賠償を請求されることは原則ありません。
ただし補償する必要はないとはいえ、今後も同じ地域に住むのであれば、一定金額は補償しておかないと後々の関係悪化につながるかもしれません。
類焼損害補償特約を付帯しておくと、火災で近隣の住民に損害を与えてしまった場合に保険金がが下ります。
また消火活動によって近隣の家にまで消火剤がかかってしまった場合も、保険金が下りることになります。
ただしてんぷら油の放置や鍋の空焚きなど、明らかに住民の不注意が原因で起こった火災に関しては補償対象外になります。
あくまで突発的かつ予測不能な事故に限り適用できる特約ですので、注意が必要です。
隣家からのもらい火は火災保険で補償できる?責任の所在や賠償請求について解説
建築資材の高騰で保険金だけでは同等の建物が建てられない
建築資材は今も新しいものや性能がいいものに移り変わっています。
建築資材の性能アップあるいは市場価格の高騰により、建築資材が値上がりしている場合には、火災保険で受け取った保険金だけでは同等の建物が建てられない可能性があるのです。
また最近では人件費も高くなっていますから、建築当初と同じ人員を同じ金額で確保するのは難しくなっている可能性があります。
4000万円で当時建てたとしても、現在の価格体では同等の建物を建てるのにさらに金額を追加しなければならないこともあります。
加入後リフォームするなら保険会社に報告が必要
「古民家に住んでリノベーションやリフォームをしたい!」と考えて、築年数の古い物件に住もうと検討されている方もいますよね。
火災保険ではリフォームする際には、保険会社に対して変更を行った旨を申告する必要があります。
火災保険では建物の構造のほかにも建物面積も保険料を決定する基準として用いています。
リフォームやリノベーションにより増改築を行うと、補償を適用する箇所が異なるため保険料の見直しが必要になる可能性があるのです。
またリフォームやリノベーションを行った旨を、保険会社に申告しておかないと、再建費用が十分に確保できません。
リフォームよって建物自体の価値が上がっているのであれば、保険金が下りた時にリフォーム部分を再建するだけの保険金が含まれていないこともあるんです。
築年数の古い物件をリフォームする目的で購入するなら、火災保険の見直しが必要になることも覚えておきましょう。
築年数の古い家にかけている保険も古いなら見直しが必要
既に築年数の古い家にお住まいの方は、既に加入している保険も同様に旧契約のままであれば見直しが必要になります。
冒頭でも紹介したように火災保険には時価額方式と再調達価額方式の2つの契約方法があります。
自宅に保険を掛けたまま放置している方の中には、まだ時価額方式のまま契約している場合もあります。
時価額方式だとしても、新築できる分の貯蓄があれば対応できますが、焼失した場合に再建できるほどのたくわえがない場合は金銭的に苦しむことになります。
「あれ?そういえばうちの保険ってどうなっているんだっけ…」と疑問に思った場合は、見直してみて再調達価額に設定されているかなど、契約の詳細を確認してみることをおすすめします。
築年数の古い家でも保険料を安くするための方法
築年数の古い家は火災リスクや災害リスクが非常に高いため、保険料が高く設定されがちです。
火災保険は年間でまとめて支払ってしまうのが一般的ですから、あまりにも高額な保険料をまとめて支払うのは経済的に難しい!という方もいるかもしれません。
築年数の古い家でも保険料を安くするためには、以下の方法を試してみてください。
- 保険に特約をつけすぎない
- 保険料を一括で支払う
- 長期契約を結ぶ
以下で詳しく解説していきます。
保険に特約をつけすぎない
火災保険には通常の火災保障や風災補償のほかにも、騒擾や破損・汚損など、災害とは関連性の薄い損害にも対応できる補償もあります。
また特約も保険会社によっては豊富に用意されているので、「万が一のために…」と必要以上につけすぎてしまうことがあります。
保険に特約をつけすぎてしまうと、保険会社が約束する補償範囲も広くなってしまいますので、保険料を多く支払わなければなりません。
必要最低限の補償にとどめておいて、保険料を効率的に支払っていきましょう。
保険料を一括で支払う
金銭的に余裕がある場合は、保険料を一括で支払ってしまうのも一つの手です。
保険料をまとめて支払うことで、保険会社側から保険料を値引きしてもらえるのです。
一括支払いにすることで、支払いの手間も省けるので、試してみる価値はあります。
長期契約を結ぶ
火災保険の長期契約を結んでしまうのも、保険料を節約する手段の一つです。
長期契約を結ぶことで保険会社側で用意している割引制度を利用できます。
ただし注意してほしいのが、保険料のために旧契約から保険を切り替えようとしている方。
昔火災保険は住宅ローンの支払いに合わせて、35年で保険契約を結ぶのが一般的でした。
35年で保険契約を結んでいる方は、残りの保険期間を確認しておきましょう。
現在では火災保険の新規契約でも最大10年契約になるので、前契約ほどの割引を受けられません。
長期契約前には現在の契約内容を確認しておくことをおすすめします。
火災保険は見直しで保険料を安くできる?見直すメリット・デメリットをわかりやすく解説します
築年数の古い家が地震保険に加入するなら家財のみに絞る
「火災保険に加入するなら地震保険にも加入しておいたほうがいいかな…?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。
築年数の古い家に地震保険を付帯するのであれば、建物ではなく家財のみに補償を絞ることをおすすめします。
火災保険では様々な割引制度が用意されているので、保険料が高くともどうにかして保険料を安くする方法はあります。
ただし地震保険は建物の構造や地域の地震リスクに応じてのみ保険料が決定されるので、保険料の割引が効かないんです。
地震保険は都内や東海地方など、今後の地震発生リスクの高い地域においては、特に保険料が高く設定されているので、注意が必要です。
地震保険は火災保険とは異なり、損害分を補償してもらう目的ではなく生活の再建を目的に加入するので、保険金で家を建て直すというよりは元の生活に戻るための準備資金の意味合いで支給されるんです。
満足いく金額がもらえることは少ないので、築年数の古い家が地震保険に加入するのであれば家財のみに補償を絞ることをおすすめします。
築年数の古い家でも火災保険への加入は必須
いかがでしたか?
築年数の古い家であっても、火災保険に加入していないと万一火災に見舞われてしまった際に、住居を修理するあるいは建て直すお金に苦労することになります。
火災保険=建物が古いと保険料が高いとは言われていますが、保険に加入している以上、万が一の場合の保険金はしっかりと支払われますので安心してください。
ただし火災保険の契約方式を時価額に設定してしまったり、建築当時の資材価値と現在の資材価値が異なることもありますので、建て直しに必要な保険金が支給されないこともありますので、注意が必要です。
保険料の高さがネックに感じている場合は、特約を極力削るか保険の契約方法を変えるなどして、割引制度を活用していきましょう。