生命保険の加入には、健康告知義務というものがあります。
健康告知は年齢や性別のほかに、過去や現在の病歴や薬の服薬状況などを正しく告知することを指します。
その告知を正しくしなかったり、告知漏れがあると告知義務違反に問われ、契約解除の対象となります。そこで今回は、告知義務違反について解説します。
目次
生命保険の請求時に告知義務違反の調査が行われる理由
生命保険の保険金請求時に告知義務違反がないか調査が行われる理由には、保険金を不正に受け取ることを防止するためです。
生命保険は「相互扶助」の精神で成り立っています。
そもそも生命保険は加入者が払った保険料を集め、加入者の誰かが不慮の事故に遭った場合など、金銭的な負担を軽くするために保険金を支払うという仕組みになっています。
不正に保険金を支払ってしまうと、相互扶助の精神で成り立つ保険では、ほかの加入者にとって損となってしまうので、避けるためにも違反がないか確認してから保険金を支払うようにしているのです。
加入時の告知内容に虚偽がないかを調べる
加入時に申告した健康状態に虚偽がないかを調べます。
もし健康告知で病気を隠し保険に加入しても、その病気が原因で入院や手術・死亡しても保険金支払い対象になりません。
告知内容には、過去の病歴や手術歴がありますが、保険会社によっては5年前までさかのぼって調べることもあるので、正確に告知するようにしましょう。
告知することによって、現在の健康状態や過去の病歴・生活習慣・職業などから、今現在健康状態や将来的な病気のリスクを総合的に判断します。
保険の公平性を保つためにもこのような告知をもとに加入の可否を決め、支払い請求時には虚偽告知がないか調べるようになっています。
本当に申告内容で死亡したかを調べる
生命保険金を受け取る場合、本当に申告内容で死亡したのかを調べます。
死亡した原因が保障の対象となる事項で死亡でないと保険金支払い対象とはなりません。
また告知義務違反の内容と死亡や病気に因果関係がないかもしっかりと調べることになります。
申告内容が正しいかどうかを調べ、正しいと判断されると保険金の支払いがされるのです。
生命保険の告知義務違反調査は厳しい!調査はどうやってすすむ?
生命保険に加入する際に申告する健康告知ですが、意外とバレないのでは?と考えている人も。
しかし保険会社の告知義務違反の調査は厳しく行われることを知っていますか?
軽い気持ちで虚偽告知を行うと、必要な時に保険金請求をしても受け取れないなどの事態になります。
実際にどのように調査が行われているかを知り、その厳しさを知る事で告知義務違反を辞めようと思えるでしょう。
しっかりと調査方法を理解し、虚偽告知をしないようにしてください。
保険会社に保険金請求が来ると調査開始
まず加入者が保険会社に保険金請求の手続き書類等を作成し、提出することで調査を開始します。
もし告知義務違反を疑われると「保険調査員」と呼ばれる保険会社の担当者が調査を行うことになります。
以下より調査内容について解説しますが、かなり詳しく調査されるということを知っておきましょう。
医療機関に診断書の内容を調査
まず保険調査員は医療機関に診断書の内容を調査します。調査対象となっている医療機関では、カルテを5年間保存することになっています。
そのため保険会社は5年前に遡って調査することが可能です。
なので健康告知書にある5年前の病歴等の申告でも、虚偽があるとわかってしまうのです。
健康保険証の利用歴の調査
医療機関への調査だけでなく、健康保険証や国民健康保険の利用履歴も調査対象となります。
いつどのようなタイミングで医療機関を利用したか、健康保険証の利用履歴を見ればわかってしまうので、病歴を隠して加入したとしても、告知義務違反を見つけることができるようになっています。
もちろん保険会社が利用履歴の開示をするときに、開示を拒否することもできます。
しかし拒否すると保険金の支払いがされないと約款に明記されているので注意が必要です。
健康診断の数値の調査
健康保険証や国民健康保険の利用履歴を調査すると、健康診断をどこの病院で行ったかもわかります。
その情報をもとに健康診断書を取得し、その時の数値など健康状態を調査することになります。
保険商品によっては、健康診断書の提出が不要となっているものもありますが、もし告知義務違反を疑われると、結果的に健康診断まで調査されることになるので健康診断の結果も嘘の申告をすることは絶対に辞めましょう。
告知義務違反に該当するとどうなる?
保険は健康状態が良くなかったり、過去の大きな病歴があると加入しづらくなります。
どうしても保険に加入したいと思うあまり告知義務違反を考える人もいるかもしれません。
しかし告知義務違反には厳しい調査が行われるので、どのような場合でも必ずバレるということがわかりました。
そこでここからは、告知義務違反に該当するとどのようなことが行われるのか、具体的な処罰を紹介します。
絶対になってはいけませんが、どのようなことになるのか知ってくことでリスクを回避することにもあるでしょう。
保険金が支払われない
まず加入の際の健康告知で虚偽申請し、その病気が原因で死亡など保険金支払い対象自由が起きても、保険金が支払われることはありません。
ただ例外的に死亡原因と告知義務違反の内容に因果関係がなければ、保険金が支払われることもあるようです。
とはいえ、告知義務違反の内容との因果関係が認められれば、保険金の支払いを受けることが出来ないことをしっかりと理解していく必要があります。
保険を一方的に契約解除される
告知義務違反をすると、保険会社は保険契約を一方的に解除することができます。
もちろん保険を解除されると、上記のように保険金を受け取れないだけでなく、今まで支払ってきた保険料もすべて無駄になります。
ただ契約解除となって時点で解約返戻金がある場合は、返戻金を受け取ることはできます。
万が一のときのために保険に入っていても、告知義務違反になってしまうと必要な保険金を受け取ることができず、残された家族も困ることになります。
そうならないためにも、しっかりと告知するべき病歴などはしっかりと告知し、加入できるかの判断をしてもらうことが必要です。
健康保険証の情報開示を拒否しても保険金が支払われない
先ほども述べたように、健康保険証の情報開示を求められた場合、拒否した時点で保険金の支払いはされないことが約款に記されています。
きちんと支払い対象かどうかを調べるために必要な手続きのため、拒否=告知義務違反を認めたとならざる得ません。
もちろん正当に加入しているのに疑われると嫌な気持ちになるかもしれませんが、手続き上必要だということを理解し開示することに同意するようにしましょう。
告知義務違反をせずに正当な方法で保険金を受け取ろう
告知義務違反は決して行ってはいけません。
告知義務違反によって加入しても、必ずバレることになり、必要な時に保険金を受け取れないことになりかねません。
過去に病歴や通院歴があると、保険加入が難しくなることもあります。
そのような人は、加入できる保険がないかを保険のプロに相談するのも良いでしょう。
まずは告知義務に違反するのではなく正当な方法で保険に加入し、必要時に保険金を受け取るようにしましょう。