貯金があれば生命保険はいらない?貯金で対応するメリット・デメリットを解説します

今回のテーマに見られるように、貯金と生命保険を同じステージで比較検討する記事を雑誌等でもよく見かけますね。

それだけ皆さんがお金を貯めよう・将来について備えよう等々と考えた時に貯金と生命保険のどちらを選べば良いのだろうと悩まれることが多いのだと思います。

ではなぜその時に、生命保険では無く、火災保険や自動車保険といった損害保険は比較対象として挙がってこないのでしょうか?

それは、損害保険は保証を購入するという商品としてのイメージが出来ているからですね。

少し乱暴な言い方をしてしまいますが、皆さんの次の金融商品に対するイメージはこんな感じではないでしょうか?

  • 貯金:お金を確実に貯められる。今は金利が安い。
  • 生命保険:万が一の時の保障があり、お金も貯まる。
  • 株式投資:恐い、解からない、損をする。

ざっくりとこんな感じの方が多いのではないでしょうか。

今回はこの問題に対してズバリ!申し上げておきます。

生命保険を買うことは、貯金よりも車を買うことに近いイメージを持っていただきたいのです。

車を買う理由は如何でしょうか?家族で旅行に行くのに便利・楽しい、通勤に必要といった理由なのではないでしょうか?

実は生命保険もこれに近いのです。自分が突然死んだら残った家族のことが心配、将来のことを考えると不安だから等々。

要するに皆さんは生命保険を購入することによって安心を手に入れられるわけです。

今の低金利下での預金は、現金で持っていると使ってしまう、泥棒に会って危険だからといった理由が多いのだと思います。

元本割れはしませんが、金利ではほとんど増えません。

ここで、現在の低金利下ではお金を貯めることと増やすことは別の作業だということを皆さんに気づいて欲しいのです。

またまた少し乱暴な言い方をしますが、お金を確実に減らさないで貯めるなら貯金です。

そして、お金を増やしたのならリスクを取ってでも投資運用をするしかないのです。生命保険や損害保険は基本的には万が一のためへの備えを用意して、安心を手に入れる商品なのです。

もちろん、養老保険・学資保険・年金保険とかがあるじゃないか!終身保険だってお金が貯まるじゃないか!といった意見があるから今回のようなテーマが何回も繰り返し議論されるのですが、はっきり言います!

お金が貯まる・増えるといった作業は保険の本来の仕事ではありません。

お金を貯めるのは貯金、殖やすのは株式投資や投資信託等の投資運用です(リスクがあります)。

生命保険は自動車でいえばTOYOTAプリウスみたいなものなのです。

金融商品の中ではハイブッリットな機能を持っているのです。掛け捨て保険を除いた上で、商品によりますがお金を貯める機能も、殖やす機能も持ちながら保障もしてくれるのです。

これが保険の強みでもあり、弱点でもあるのです。

両方の機能を一つの商品で手に入れられるのは魅力ですが、個々の目的に対しては単独で貯金をしたり、投資運用をした方が必ず勝ることを理解したうえでハイブッリトな商品である貯蓄型生命保険に加入して頂きたいのです。

前書きが長くなってしまいましたが、とても大切な考え方なので理解いただいた上で今回のテーマに沿ってわかりやすく解説をさせていただきます。

また、貯金をする際に提示される金利は皆さん馴染みがあると思いますが、生命保険に加入する際に提示される予定利率についてはよく理解されていない方がほとんどだと思います。

学資保険のパンフッレト等でよく目にされているにもかかわらずです。今回せっかくの機会ですので生命保険の予定利率についても詳しく解説させて頂きます。楽しみにご覧になってください。

貯金と生命保険の違い

金融商品として、貯金と生命保険はどう違うのでしょう。

安全性、収益性、流動性、及び税制優遇の観点から◎〇△×で次に比較してみます。

貯金

安全性 元本保証です
収益性 低金利ですね
流動性(換金しやすさ) 直ぐに引き出せます
保障 × ありません
税制優遇 × ありません

生命保険

安全性 最低利率保障の商品があります
収益性 預貯金よりは利率が良いです
流動性(換金しやすさ) 解約してから一定日数を必要とします
保障 あります
税制優遇 保険料控除(保険料に応じて所得控除があります)

このように、貯金の特徴が元本保証され、すぐに引き出せるということです。

また、生命保険の特徴は、保障があること、保険料控除という税制の優遇があることです。

預金と生命保険のメリット・デメリット

前項にまとめました通り、生命保険には「保障」という預金にはない特徴があります。

では、保障以外の部分で「預金」と「生命保険」にはどのようなメリット・デメリットがあるのかをまとめてみました。

預金の場合

メリット

  • 貯めてお金はいつでも使うことができる。
  • 途中で使用目的変更が自由にできる。

デメリット

  • 目標金額に到達するまで時間を要する。
  • 万が一のトラブルに対して、全額を補えるとは限らない。

生命保険の場合

メリット

  • 保険に加入した時点で、必要な金額に備えるための準備は完了する。
  • 同じ必要額を目標とした場合は月々の負担は少なくて済む。

デメリット

  • 被保険者の死亡(または支払い要件)以外には満額での利用は原則できない。
  • 自己都合で契約期限前に解約した場合、解約返戻金は既支払い保険料よりも少ないか全くない場合もある。

このように、預金と生命保険には各特長がありますので、それぞれの特徴を理解して使い分けることが大切です。

預金は三角、保険は四角、では投資運用は?

預貯金は、時間の経過とともに少しずつ貯蓄額が増えていきます。

そのため、途中で使わなければ、自己資産は時間経過とともに右肩上がりの三角形になります。

一方、保険は契約が成立したときから、いつ万一のことが起きても、契約した保険金額を受け取ることができます。

そのため、万が一の際の備えとしての金額は最初から満額となり図式で例えて保険は四角とよく言われます。

私はこれを生命保険業界特有の言葉のマッジク、すなわち嘘であると言わせてもらいます。

そもそも、満期時に返戻金がゼロの掛け捨てタイプの保険を同期間での預金と皆さんは同じ目線で考えるものなのでしょうか?

答えは否だと思います。

たとえ、月々の保険料負担が安かったとしてもです。そもそも、預金は三角、保険は四角の論理で例えられる話ではないのです。

この例えは、戦う土俵が違う、いわば異種格闘技のようなものなのです。

百歩譲って、生命保険を掛け捨ての保険では無く、貯蓄型の生命保険に置き換えて考えてみたとして如何でしょう。

貯蓄型の生命保険に加入したり、加入を検討していたりする方は、なぜそのタイプを選ぶのでしょうか?「

掛け捨てだともったいないから」「資産を形成するため」「預金の代わりとして」等々色々な理由があると思います。しかしこれらの理由には大きな間違いが潜んでいます。

返礼率と利回りの違い

文頭でも書きましたが、預金は支払った金額に約束されて金利が付いて戻ってきます。

対して、貯蓄型の生命保険の場合は、解約したり満期を迎えたりすると一定の返戻率にもとづいた金額が戻ってきます。

原則返戻金がない掛け捨て型と比べて「貯蓄性が高い」と考え、資産運用の一環として加入する方も多いのではないでしょうか。

生命保険での返戻率とは、支払い済みの保険料に対する返金額の割合のことです。

例えば月払いで保険料2万円、支払い期間が20年の保険に加入して、10年経ったときに解約をするとします。

解約時の返戻率が80%だとすると、支払い済みの保険料240万円に対して、返金される金額は192万円しかありません。

もし返戻率が110%なら、264万円が戻ってきます。ところが、多くの保険商品は、払込期間途中に解約すると100%を大きく割り込みます。

保険料の支払いを終えてから、ようやく100%を超える設定になっていることが少なくありません。

もし、満期時の返戻率101%の15年加入の生命保険商品があったとします。

15年間、万が一の場合の保障が付いて、かつ1.0%増えているので立派な運用と思うのかもしれません。

しかしこれを年率換算すると単純計算で約0.06%にしかなりません。

低金利時代においても定期預金の年利は、条件次第で0.1%以上になることもあります。

単純に15年払いの貯蓄型生命保険に加入するよりも、銀行で定期預金積立をしたほうがお金を増やせるのです。

もちろん生命保険には保証が付いているのですから当たり前といえばそれまでなのですが、お金を貯めるのではなく、殖やすためには預金も生命保険もその目的には物足りないことに気づいていただきたいのです。

老後資金、2,000万円問題が少し前に話題になりましたが、皆さんは大丈夫ですか?

ご自身の生涯年収を計算して充分に老後が安心なら、預金の三角や、生命保険の四角で貯蓄をするだけで、あとは万が一の場合の備え方の違いだけだと思います。

しかし、多くの方々が、その三角や四角をより大きな資産に育てていかなければ老後不安の解消には繋がらないのが現実なのではないでしょうか?

預金で貯める、生命保険で備える、投資運用で増やす、これが世界のスタンダードです。

日本人は保険好きと言われますが、所得が高度成長時代のように先行き良好だったのは過去の話です。

日本も世界のスタンダードをそろそろ学び、すぐに使う資金は預金で保管、生命保険は掛け捨てで万が一に備え、投資運用で資産を増やす。そういった金融ライフに直ぐにでもチェンジしなければならないことを感じ取ってください。

少し脱線いたしましたが、とても大切なことです。

最後に今回のテーマに戻りますが、生命保険における予定利率という表現の存在には注意をしなければなりません。

生命保険を資産運用として考えるのであれば、返戻率を1年あたりの利回り(支払ったお金がいくら増えるのか)として換算して、預金や他の運用方法と比べてみることが大切です。

その際に、貯蓄型の生命保険はハイブッリドな金融商品であることを忘れないで下さい。お金を貯めて、一応運用しながら、保障が付いてくるのですから。以下お約束の予定利率について解説して終わりにしたいと思います。

定期預金に負ける理由は預けたお金の使われ方にある

超低金利の時代にもかかわらず、なぜ定期預金の利息が、生命保険の解約返戻金から算出した利回りを上回ることがあるのでしょうか?

その理由は、生命保険の予定利率とその仕組みを考えるとわかってきます。

生命保険の予定利率とは?(契約者に約束する運用利回り)

予定利率とは生命保険会社が契約者に約束する運用利回りです。

貯蓄性のある生命保険の優劣の目安となる返戻率は、この予定利率に影響を受けます。

返戻率とは支払った保険料総額から受け取れる金額の割合のことです。

返戻率100%は支払った金額がそのまま戻ってきた状態で、100%以上の部分が支払った保険料の総額よりもお金が多く戻ってきた部分になります。

生命保険の予定利率の仕組み

各生命保険会社の保険料は専門家(アクチュアリー)が算出する基礎率を基にして決まります。

その基礎率は次の3要素から決まります。以下、その仕組みを説明していきます。

生命保険会社の3利源

保険料の基となる数値で、以下の3要素で構成されます。

保険会社にとって貯蓄性のある生命保険は大切な商品の1つですから、その商品を開発して、他社との競争の中でより多くの販売をして、収益を上げなければなりません。

そのためには商品性(競争力)が重要となります。

貯蓄性のある生命保険に於いての競争力はきめ細かい特約のラインナップも影響されますが、最も重要なのは支払った金額(保険料)に対し戻ってくる金額の割合(返戻率)です。

生命保険会社が貯蓄性のある生命保険商品を販売して、利益を上げるためには次の3要素からの利益(利源)が基になります。

予定利率(利差益)

運用で得られる収益を予定して、一定の利率で保険料を割り引きます。

この時に使用する利率を「予定利率」といいます。

予定死亡率(死差益)

契約期間中に死亡する人がどれくらいいるのかということです。

予定事業費率(費差益)

貯蓄性のある生命保険の開発・販売、運用で各保険会社の経費がいくらかかるのかということです。

予定死亡率は各社共通ですが、予定利率(運用実績)と予定事業費率(経費率)は会社ごとに差が出ます。

これが同じ生命保険商品でも、保障内容に差異が生じ、返戻金の返戻率に差が出る理由です。保険商品を選ぶ際の1つの目安になります。

貯蓄性のある生命保険の予定利率と預金金利の違い

貯蓄性のある生命保険の予定利率と預金金利の違いは以下の通りです。

保険業法が1996年改正され、標準責任準備金制度が導入されました。

リーマンショックの影響から保険会社の破綻が発生。そのような時代背景がこの改正にはありました。

①標準利率との違い

契約者保護の観点から、将来の保険金の支払いに備え安定して保険金を支払うために各保険会社は保険料から一定の割合で責任準備金の積み立てが義務化されました。

その責任準備金を積み立てる利率を国が定めたのが標準利率です。

予定利率の決め方(国が定めている標準利率で決まる):国が定めた標準利率に各生命保険者ごとの運用で得られる収益予定を折り込んで決められるのが予定利率です。

②返戻率との違い

皆様がお支払いをされた保険料を運用する(予定される)利率が予定利率であり、保険料を運用した結果の金額から各社ごとの費用や死亡された方の死亡保険金等を支払ったあとの返礼金額と支払保険料の割合が返礼率です。

予定利率と返戻率の関係性:予定利率が上がると返戻率も上がる

予定利率と返礼率には以下の通り密接な関係性があります。

予定利率は返礼率を決める重要な要素の一つです。予定利率(運用予定の利率)が上がれば戻ってくる金額は増えます。

③預金金利との違い

預金金利は運用元本と預けた金額が同額ですが、生命保険では預けた金額(保険料)と運用に回される金額が同額ではありません。

言い換えれば、預けた保険金額からは、責任準備金を別勘定で積み立て、経費、予想される死亡された契約者への保険金支払い準備金等を差し引いた金額を運用に回します。

このような理由から、貯蓄性のある生命保険に於おいては、単純に預けた金額(保険料)に予定利率を掛けても戻り金額にはなりません。

豊かな老後を迎える送るためには預金代わりの生命保険は得策ではない

預金における低金利同様に、予定利率が引き下げられている状況下では、貯蓄性のある生命保険は上述したその仕組み上、大きくお金を増やすことが今はできません。

それどころか解約の時期によっては、受取額が支払った保険料総額を大きく下回ることもあります。

保険の役割はあくまでも、万が一のときの備えです。

預金代わりに貯蓄性のある生命保険に加入するよりも、掛け捨ての生命保険を有効に活用して、万が一の時には備えを固めて、余剰資金を投資等の他の方法で運用したほうが安心な毎日と、豊かな老後生活を迎えられる可能性が高いと思います。