学資保険は年末調整の対象に!損をしないための申告のポイントを解説します

子どもが生まれたら、教育費を貯めるために学資保険に加入した、というご家庭も多いのではないでしょうか。

学資保険は、会社員であれば年末調整(個人事業主の方であれば確定申告)をすることで、税金を安くすることができます。

つまり、計画的に教育費を貯めながら、税金を減らすことで、手元に現金を残すことができるのです。

ただし、そのためには、ご自身で手続きをする必要があります。そこで今回は、学資保険で損をしないための申告のポイントを解説していきます。

学資保険とは?どうして税金が安くなるの?

学資保険は、子どもの教育費を積み立てるための貯蓄型保険です。

名前が「学資保険」となっているためわかりにくいですが、生命保険会社と契約をして、満期に一定額の学資金(満期保険金・祝い金)が支払われる生命保険です。

そして、生命保険の保険料は、所得税・住民税の計算上、一定額までは「生命保険料控除」として、税金計算のための所得から差し引くことができます

税金は、所得に税率を掛けることで計算されるため、所得が少なくできれば、税金を安くすることができるのです。

年末調整ができるのは「保険料を支払っている人」

では、生命保険料控除は、誰が対象となるのか気になりますよね。

生命保険料控除を申告できるのは、「保険料を負担している人」になります。つまり、生命保険の契約者が誰名義になっているのかは関係なく、実際に保険料を支払っているのは誰なのかが、重要となります。

通常、生命保険の契約においては、「契約者=保険料負担者」となりますが、必ずしも一致しないこともありますよね。

例えば、専業主婦の妻が契約者で、保険料を負担しているのは夫というケースです。このようなケースの場合、生命保険料控除の申告を行うのは、保険料を負担している「夫」になります。

生命保険の契約者と保険料の負担者、年末調整の対象者の関係を整理すると、下記表1のようになります。

表1:契約者と年末調整する人の具体例

保険契約 保険料を支払っている人 年末調整をする人
契約者 被保険者 受取人
子ども
子ども
子ども

生命保険料控除を受けるための手続き

対象者がわかったら、次は、具体的な手続きについて見ていきましょう。

生命保険料控除を受けるためには、会社員であれば年末調整、自営業であれば確定申告をする必要があります。

会社員の場合

会社によって差がありますが、11月頃、会社で年末調整のお知らせがきます。この時に、「給与所得者の保険料控除申告書」を提出します。

会社によっては、書面の提出ではなく、システムへの入力が求められる場合もあります。必ず、ご自身の会社の規程やお知らせをご確認くださいね。

ちなみに、年末調整とは、毎月の給与から予め天引きされていた所得税を、年末時点で正しい情報で計算しなおして、税金額を算定しなおす手続きです。

年末調整で、生命保険料控除を申告した結果、算定された税金額より、予め天引きされていた税金額が多かった場合は、12月の給与で差額が還付され、かつ、翌年の住民税額が少なくなります。

自営業の場合

自営業の場合は、毎年2月中旬~3月中旬に提出する確定申告の「生命保険料控除欄」に記載します。

なお、提出時期については、変わる可能性があります。令和元年においては、新型コロナウィルス感染症の影響もあり、提出時期が4月中旬まで延長となりました。

このため、確定申告を行う場合は、必ず提出時期を確認しましょう。

会社員であっても自営業であっても、年末調整や確定申告の際に必要となる書類が、生命保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書です。

この書類は、10月下旬から11月上旬頃、学資保険の契約者宛に送られてきます。

契約者と保険料を支払っている人が違う場合(例えば契約者が妻・保険料支払っているのは夫)は、年末調整を忘れないように気をつけましょう。

また、万が一紛失してしまった場合でも、再発行してもらうことが可能です。このため、諦めずに加入している生命保険会社に問い合わせてみましょう。

生命保険料控除で受けられる控除額はいくら?

「税金が安くなるなら、生命保険料を多く支払っていればオトクになるのかな?」、こんなふうに考える人もいるかもしれません。

しかしながら、生命保険料控除には限度額があり、この限度額以上は、所得から控除することはできません。

このため、損をしないためにも仕組みを理解しておきましょう。

生命保険料控除には、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類あります。

一般生命保険料控除 生存または死亡に対して、一定額の保険金や給付金などが支払われる保険契約の保険料
介護医療保険料控除 疾病または身体の傷害等に対して、保険金や給付金などが支払われる保険契約の保険料
個人年金保険料控除 年金の支払いを受けるまで10年以上の期間に渡って、定期に払い込むこむ定期年金または終身年金の保険料

学資保険は、一般生命保険料控除の対象となります。

ただし、学資保険の中でも、介護医療保険料控除となるものもあります。

こう聞くと面倒に思いますが、どの生命保険料控除になるかは、ご自身で判断する必要はありません。

生命保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書に、保障内容に応じて保険料が分類されて記載されます。このため、年末調整の申告時などに、生命保険料控除証明書の記載を必ず確認しましょう。

生命保険料控除額はいくら?

全体像は、下記の図1の通りです。契約時点によって、それぞれの生命保険料控除額の金額に差があります。

なお、控除額は、税金計算の元となる所得を減らすだけで、この控除額分の税金が安くなるわけではありませんのでご注意ください。

図1:生命保険料控除の概要

生命保険料控除

新契約(平成24年(2012年)1月1日以後契約締結分)の生命保険料控除額

平成24年1月1日以後の契約締結分については、生命保険料控除の枠が3種類あり、前述のように、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料です。

表3:新契約の生命保険料控除額(所得税)

年間の支払い保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,001円超、40,000円以下 (支払保険料等×1/2)+10,000円
40,001円超、80,000円以下 (支払保険料等×1/4)+20,000円
80,001円超 一律40,000円

なお、各控除の適用限度額は、一般生命・介護医療・個人年金あわせて120,000円です。

また、支払保険料等の額は、その年に支払った金額から、その年に受け取った剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額です。

旧契約(平成23年(2011年)12月31日以前契約締結分)の生命保険料控除額

平成23年12月31日以前の契約締結分の生命保険料控除の枠は、一般生命保険料、個人年金保険料の2種類です。

年間の支払い保険料等 控除額
15,000円以下 支払保険料等の全額
15,001円超、40,000円以下 (支払保険料×1/2)+7,500円
40,001円超、70,000円以下 (支払保険料×1/4)+17,500円
70,001円超 一律35,000円

なお、所得税の各控除の適用限度額は、一般生命・個人年金あわせて100,000円です。

生命保険料控除を受けるために注意すべきポイント3つ!

ポイント1:保険金の受取人は、保険料を支払った本人、配偶者、親族の場合のみ

生命保険の受取人が親族以外の第三者である場合は、生命保険控除の対象外となります。

例えば、夫婦が離婚した時は要注意です。「契約者:妻」「被保険者:子ども」「受取人:妻」の契約形態で、夫が保険料を支払っていたものの、夫と妻が離婚した場合、夫と妻は親族関係ではなくなるため、離婚した夫は保険料を支払っていても生命保険料控除を申告することはできません。

ポイント2:保険期間が5年未満の場合は、控除対象外

保険期間が5年未満の生命保険のなかには、生命保険料控除の対象とならないものがあります。

このため、ご自身が加入した生命保険が生命保険料控除の対象となるのかは、必ずご確認ください。

ポイント3:学資保険以外の生命保険がある場合は限度額に注意

先述のとおり生命保険料控除の控除額には上限があります。

すでに学資保険以外の生命保険料で控除の上限額まで控除を受けている場合は、新たに加入する学資保険で支払っている保険料分の控除は受けられない可能性があります。

還付金の金額は?

実際に学資保険を年末調整で申告した場合、いくら節税できるのか気になりますよね。モデルケースで考えてみましょう。

 

<モデルケース>
東京都在住の家族
・家族構成
夫:会社員、40歳、年収600万円
妻:専業主婦
子ども:0歳

・加入した学資保険
月額保険料 10,000円、平成24年1月1日以降に加入(新契約)

学資保険の保険料が月額10,000円だと年間の支払保険料は12万円となるため、所得税の生命保険料控除は40,000円、住民税の生命保険料控除は28,000円。

所得税率が10%、住民税率が10%だった場合、1年間で節税できる金額は
所得税:40,000円×10%=4,000円
住民税:28,000円×10%=2,800円
合計で6,800円となります。

1年間の節税額が6,800円と聞くと少額に感じますよね。しかし、保険料を支払っている期間は生命保険料控除を受けられる可能性があります。

つまり、保険料払込期間が10年であれば節税できる税金額は65,000円、17年であれば110,5000円です。

年末調整とか確定申告という言葉を耳にすると、面倒だなと思われる方も多いと思います。

しかし、少しの手続きで税金が安くなり、家計にプラスになりますので、ぜひ年末調整の手続きを忘れないよう、今からチェックしておきましょう。