公務員の皆さんは会社員や自営業で働く人たちよりも、社会保険や保障の面で優遇されています。
中には職場で、「公務員は医療保険は不要」という話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?
いくら他の職種よりも優遇されているからといって、本当に入らなくていいのか疑問や不安をかかえてしまいますよね。
そこで今回は、本当に公務員に医療保険が不要なのかについて、医療保険制度や保障の実態の観点から徹底的に解説していきます。
5分程度で読み終わる内容にまとめてありますので、気軽に読んでくださいね。
目次
公務員に医療保険は原則不要
最初に結論を出しますが、公務員に医療保険は原則不要です。
厳密にいうと「民間」の医療保険に加入する必要がないということです。
公務員は冒頭でお話したとおり、他の職種よりも社会保険や保障の面で優遇されています。
そのため追加で民間の医療保険に入る必要はないのです。
医療保険の「公的」と「民間」の違いって?
医療保険の公的と民間の違いがよくわからない方もいるでしょう。
以下では公務員における医療保険の「公的」と「民間」の違いについて解説します。
既に理解しているよ!という方は読み飛ばしてくださいね!
公務員の公的医療保険は「共済組合」
公務員における公的医療保険は「共済組合」を指します。
地方公務員と国家公務員では、組合の種類が変わります。
共済組合では、健保や国民健康保険と同様に、医療費の実質負担額を3割に抑えることができます。
民間医療保険は公的医療保険をカバーするもの
民間医療保険は、公的医療保険でカバーできないような保険適用外の費用をカバーするものです。
保険適用外の費用は積み重なると…考えるだけでも恐ろしいですよね。
以下は、民間医療保険でカバーできる保険適用外の例です。
入院時の差額ベッド代を保証してもらえる
入院時には必ず病室のベッドを利用しますよね。
しかし中には1人部屋が良いという方もいるでしょう。
自分の希望で入院時のベッドを選択すると、差額ベッド代として医療費とは別に追加で徴収を受けます。
差額ベッド代は1日ごとで計算されていきますから、入院期間が長くなれば長くなるほど負担が倍増していきます。
民間医療保険の保障内容によっては、差額ベッド代を保障してもらえるんです。
病気の際に収入を保証してもらえる
病気になった際有給休暇を使って休養する方もいますが、長期休養する必要がある場合有給休暇では足りず、働けない分収入がなくなってしまうこともあります。
民間医療保険では保障内容によっては、病気で働けない期間の収入を保証してもらえます。
入院中にかかる諸費用を保障してもらえる
入院中にかかるのは医療費や差額ベッド代だけではありません。
貸出パジャマや飲み物、ティッシュなど生活必需品をそろえる必要があります。
これも長期入院になった際には費用がかさみます。
民間医療保険ではこれも保障内容によっては、保障してもらえるんです。
公務員に民間医療保険が不要な5つの理由
さて、民間医療保険と公的医療保険の違いが分かったところで、なぜ公務員に民間医療保険が不要なのかその理由を解説していきます。
簡単にまとめると以下の5つに分けられます。
- 高額医療費制度で医療費の自己負担額を減らせる
- 医療費自己負担額を減らせる「付加給付」を受けられる
- 病気で働けなくても1年間は最低でも給与の8割をもらえる
- 障害年金や難病医療費助成制度を活用できる
- 全体でみた平均入院期間が短くなっている
以下で詳しく解説していきますね。
高額医療費制度で医療費の自己負担額を減らせる
公務員は、重い病気やケガなどで医療費が高額になった場合、「高額医療費制度」を勝代することができます。
健康であれば、病院に行くことは稀ですべての人が常に健康であるとは限りません。
場合によっては、緊急入院や高額な治療を受けなければならないこともあります。
医療費をすべて額面通りに支払うと、生活が立ち行かなくなってしまうこともあるんです。
高額医療費制度を利用すれば、年代や年収にもよりますが8万円~9万円を超える医療費は返還されるんです。
高額医療費制度は民間の医療保険では保障されない内容です。
医療費自己負担額を減らせる「付加給付」を受けられる
公務員の加入する「共済組合」には他の職種の人が活用できない特権「付加給付」があるのをご存じですか?
付加給付とは、高額医療費制度にプラスして受けられる保障のことです。
先ほど紹介した高額医療費制度を活用しても、入院やケガが長期化していけば負担が減ったとしても家計への負担は膨らんでいきます。
ここで付加給付を利用すると、高額医療費制度を利用した後の実質負担額である8万円~9万円から、4万円程度まで減額できるんです。
これも民間の医療保険では保障されない内容ですから、わざわざ追加で保険料を払って利用する必要はないんですね。
病気で働けなくても1年間は最低でも給与の8割をもらえる
民間保険では、病気やけがで働けない場合の収入を保証してもらえるものもあります。
しかし公務員は、病気やけがで働けない場合、1年間は最低でも元の給与の8割を受け取ることができます。
確実に1年以上休むことは稀ですし、公務員はすでに保障されていますから、民間保険は不要とみなされることが多いんです。
障害年金や難病医療費助成制度を活用できる
稀に治療法が確立されていない難病や、事故やケガによる障害を抱えてしまう人もいるでしょう。
治療費や通院費で出費がかさんでしまうことを防ぐために、国や自治体は障害年金や難病医療費助成制度を設けています。
公務員も障害年金や難病医療費助成制度を活用できます。
公的制度で保障されているので、民間医療保険は不要です。
全体でみた平均入院期間が短くなっている
医療は常に進歩していますから、入院期間も短くなっています。
簡単な手術であれば、数日で退院できることも可能です。
公的医療保険の範囲内で対応できる金額に収まることも多いので、公務員はわざわざ民間医療保険に入らずとも対応できるのです。
注意!これから先公務員の保障が縮小されることもある
公務員はここまで紹介してきたように、他の職種に比べて保障面で優遇措置を受けています。
しかしこれから先ずっとこの保障が続いていくという保証はどこにもありません。
現在日本は少子高齢化が進んでおり、国の予算のうち、国が負担する医療費の割合が年々大きくなっています。
公的医療保険は、国民が支払う税金によって賄われていますが、これ以上現在と同じ制度を続けていくことで制度が崩壊してしまう可能性があるんです。
そのため高度医療費制度や、付加給付の割合を削減したり受給条件が厳しくなる恐れがあるんです。
これから先ずっと公務員が優遇されていく保証はないことを覚えておきましょう。
退職金も年々削減されている
とある地方公務員では、4年間の間に退職金を合計400万円削減されたという例もあります。
公務員は一般的に退職金が一定で、老後の心配が少ないといわれがちですが、ふたを開けてみるとじわじわと削減されていることがわかります。
退職金があるから老後の医療も安心!という時代ではなくなってきているんです…。
公務員でも医療保険に入るべき人の3つの特徴
現役の公務員は、これまで紹介してきたように公的な医療保険で賄われている部分だけで十分ですから、民間の医療保険を進んで利用する必要はありません。
しかし以下3つの特徴のいずれかに当てはまる人は、公務員であっても万一に備えて民間の医療保険への加入を検討することをおすすめします。
- 貯蓄が少ない人
- 小さい子供がいる人
- 終身保障を受けたい人
理由は以下で解説していきますね。
貯蓄が少ない人
予想外の出費など何らかの理由で貯蓄が十分にできていない人は、民間の医療保険を活用して保障範囲を広げたほうが良いでしょう。
当然のことですが、病気やけがは予告なくやってきます。
貯蓄が十分なされている人や家庭であれば、急な治療や保険適用外の入院時費用にも対応できます。
しかし、貯蓄が少ない場合は急な支出に対応できないリスクがあります。
また近年では2人に1人ががんになるといわれています。
がんを治療するために次々と新しい治療法が開発されていますが、中には先進医療といって共済組合などの公的医療保険の保障対象外の治療を受けなければならないこともあります。
保険適用外になれば、何百万もする先進医療を、全額自己負担で支払わなければなりません。
貯蓄があればある程度対応できますが、ない場合は非常に苦しい出費になるでしょう。
現在貯蓄が少ない人は、民間の医療保険に加入してリスクを軽減しましょう。
小さい子供がいる人
小さい子供は体調を崩しやすく、急に入院しなければならないこともあります。
また、これから先教育費を貯めなければならない家庭もあるのではないでしょうか?
小さい子供がいる家庭は急な出費のリスクや、将来子どもの進学や習い事にかかる費用を考慮して、民間の医療保険を利用してリスク回避を狙いましょう。
終身保障を受けたい人
公務員の公的医療保険では、終身保障が含まれていません。
そのため、終身保障を受けて安心したいという方は、終身保障を保障内容に含めている民間の医療保険に加入しましょう。
公務員退職後の医療保険は不要?
公務員を退職した後に、民間の医療保険に入るべきか迷っている方もいるでしょう。
結論から言うと、老後の貯蓄や医療費に不安がある方は利用しておいたほうが良いでしょう。
公務員を退職後は、「国民健康保険」という公的医療保険に加入して保障を受けます。
国民健康保険でも高額医療費制度を利用できますが、公務員の特権である「付加給付」は利用できなくなってしまうんです。
もしも退職後に癌や心臓病などの大きな病気にかかってしまった場合、高額医療費制度だけでは家計が火の車になりかねません。
入院するのであればなおさら、医療費以外の費用や保険適用外の治療で負担が増えてしまうこともあります。
不安がある方は万一に備えて、民間の医療保険に入ることをおすすめします。
公務員が民間の医療保険に入るなら保険のプロに相談しよう
これまで紹介してきたように、公務員は保障が手厚いため民間の医療保険は不要ですが、それでも不安という方やリスクに備えたいという方もいるでしょう。
しかし民間の医療保険は種類が多く、内容も複雑で理解しづらいから敬遠されがちです。
公務員のみなさんが民間の医療保険に加入したい場合は、保険のプロに相談するようにしましょう。
保険のプロとは、FP(ファイナンシャルプランナー)や保険代理店の担当者のことを指します。
特に保険代理店は最近ショッピングモールなどの商業施設に設置されていることが多く、利用のハードルも低く無料相談に乗ってもらうこともできます。
民間の医療保険の利用で迷った際は、是非活用してみてくださいね。
公務員ならではの制度を活用して負担を減らそう
いかがでしたか?
公務員は他の職種に比べて、加入している公的医療保険で優遇措置を取られています。
特に、医療費負担を軽減できる付加給付や高額医療費制度を利用できるため、民間の医療保険は不要です。
しかし公的医療保険にも保障範囲がありますので、この記事で紹介したような境遇に当てはまる公務員は、民間の医療保険に加入することをおすすめします。
公務員の皆さんは、公務員ならではの公的医療保険を活用しつつ、必要に応じて民間の医療保険の加入を検討してみてくださいね!