CMでも見かけることの多い医療保険ですが、巷では「医療保険は不要である」とう論調も見られるようになっています。
これから医療保険に加入しようとされている方の中には、不要論を聞いて「え?不要論があるなら加入する必要ってないんじゃないの…?」と不安に感じていることでしょう。
ですが万一の入院保障が得られるため将来の健康不安に備えておきたいと考えている方もいるでしょうから、どっちを信用していいのかわからない!ってなりますよね。
そこで今回は不安を解消するために、医療保険が不要だといわれる理由を分析し、本当に不要なのか加入しないデメリットはあるのかについて徹底解説していきます。
目次
医療保険とは病気やけがに備える保険
そもそも医療保険とは保険会社に対して月々あるいは半年、年ごとに保険料を支払い、万一病気やけがをした場合に入院費用や手術費用などの、給付金が受け取れる保険です。
入院時には1日当たり○○○円または一時金○○万円などと、ご加入された保険の保障内容によった給付が受けられます。
また所定の手術を受けた場合には、保険会社によって定められた日帰り手術や入院手術などの区分や入院給付金に対する倍率などで給付金が受け取れます。
特約も豊富に用意されているので、がんや特定疾病、女性特有の疾患に備えておきたい人にとっては、充実した保障が得られるでしょう。また、医療保険に介護、生活障害、就業不能保障などを特約として上乗せするタイプも充実してきています。
現在、民間の保険加入世帯(かんぽ生命を除く)における医療保険・医療特約の世帯加入率は88.5%(※)といわれていますので加入率の高い保険といえるでしょう。
※公益財団法人生命保険文化センター 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」より抜粋
医療保険が不要といわれる5つの理由
病気やけがになった際に給付金が受け取れる医療保険ですが、巷では不要論が挙がっています。
不要論では、大きく分けて以下5つの理由が根拠として挙げられています。
- 国民皆保険で医療保険制度があるから負担は避けられる
- 高額療養費制度があるから上限まで払えばいい
- 長期入院の場合に特約の有無や保障内容によっては保障が途中でなくなる
- 保険料と保障内容とのバランスの判断が難しい
- 支払い条件に当てはまらない場合は給付金が支払われない
以下で詳しく解説していきます。
国民皆保険で医療保険制度があるから負担は避けられる
皆さんが病院で診察を受ける際には、健康保険証を提示するのが当たり前ですよね。
日本では世界トップクラスの評価を得ている国民皆保険制度が整えられており、国民のほとんどが医療保険制度に加入し医療費の負担を軽減されています。
医療保険制度があるおかげで以下の割合で医療費を支払うだけで済んでいるのです。
- 75歳以上の高齢者…1割負担(現役並み所得者は3割負担)
- 70~74歳の高齢者…2割負担(現役並み所得者は3割負担)
- 小学校入学~69歳…3割負担
- 未就学児(6歳未満)…2割負担
医療保険制度は病気やけがでの入院でも、基本的に常に負担が軽減された状態が適用されています。
あらかじめ軽減された医療費を支払うだけになりますから、あえて民間の医療保険に加入せずともやっていけるとの声も多いのです。
高額療養費制度があるから上限まで払えばいい
医療保険制度の中には、高額療養費制度という規定された医療費の上限を超えた場合に超過分を払い戻ししてもらえる制度があります。
※予め手続きをすることにより、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめる仕組みもあります。(限度額適用認定証の提示)
厚生労働省では、高額療養費制度について以下のように規定しています。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。
厚生労働省が規定する上限額は以下の通りです。
適用区分※69歳以下の上限額 | ひと月の上限額(世帯ごと) | |
---|---|---|
ア | 年収約1160万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
イ | 年収約770~1160万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
ウ | 年収約370~770万円以上 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
エ | ~年収約370万円 | 57,600円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 |
例えば、ウに該当する世帯では、ひと月あたりおおよそ8万円の自己負担額が上限となり、超過分に関しては払い戻してもらえるシステムになっています。
ひと月に8万円も医療費がかかるような病気やけがに頻繁に見舞われることは少ないことから、基本的に医療保険制度で賄えてしまうのではないかといわれています。
長期入院の場合に保障内容によっては保障が途中でなくなる
医療保険では入院給付金を1日当たりの金額計算や1入院当たりの一時金で受け取ることができます。
しかし無限にもらえるわけではなく、一回の入院につき何日間までや一回の入院に対していくらの給付が受けられるとの規定がされているのです。
例えば1日当たりの入院給付金をもらえるタイプでは、加入時に一回の入院給付金の支給限度日数を60日間に設定した場合、入院が長期化して60日以上の入院になってしまうと61日以降は給付金が受け取れない期間が生じてしまいます。
また、1入院に対して一時金をもらえるタイプも、長期入院になった場合に保障が足りなくなることもあります。
病気やけがでの入院時の保障が受けられる一方で長期入院に対応できない側面があることが指摘される傾向にあります。
一方で保障限度日数は予め用意された日数の型からご自身で選んで保険の適用期間を延ばすことも可能です。
また特定疾病に対する特約などを付帯すれば、所定の特定疾病による入院日数を気にする必要がない無制限給付タイプの保険も充実してきています。
保険料と保障内容とのバランスの判断が難しい
医療保険の保険料をまわりの方々がどの位払っているのか気になるところですね。ですが、医療保険の保険料に関するきちんとしたデータは現状、存在しません。
どの様な保障内容にするのか?加入するときの年齢は?性別は?一生保険料を払い続けるのか?または短期で払ってしまうのか?などで保険料は大きく違ってきます。
では、その気になる保険料を月々支払っている一方で、入院時にのみ給付金が下りるシステムになっているため、保障内容が限定的との声もあります。
例えば、保険料が3,000円/月のケースでは、1年間で36,000円。これだけの保険料を支払うことになりますが、健康に気を使っている人にとっては、年にそれだけの医療費を支払うことは少ないかもしれません。
年間に支出する医療費と保険料のバランスが取れない人もいるため、わざわざ加入する必要性はないと判断されるようです。
支払い条件に当てはまらない場合は給付金が支払われない
医療保険ではすべての入院に対して給付金が下りるわけではなく、手術や入院の種類によっては給付金が支払われないこともあります。
虫垂炎や骨折など、明らかに病気やけがと認められる場合には給付金が受け取れるのですが、自然分娩や美容整形手術など病気が理由ではない入院や手術に関しては医療保険の保障適用範囲外となります。
すべての入院や手術に対応できるわけではなく、支払い条件が定められているために給付金が必ず支給されるわけではないので、不要ではないかとの声が上がっています。
医療保険は不要?加入しない場合のデメリット
上記の不要論だけを見ていると、医療保険への加入を決めなくてもいいのではないかと考える方もいることでしょう。
しかし加入しないことで得られるメリットがあるように、不要とはねのけて加入しない場合のデメリットも相応にあります。
以下で一つずつ解説していきます。
健康保険適用外治療を受ける場合自己負担額が大きい
皆さんが常日頃活用している医療保険制度ですが、すべての治療に負担軽減措置が取られるわけではありません。
以下は一例ですが、健康保険適用外に含まれる医療費に関しては全額自己負担になります。
- 入院時の生活費など(食事代・生活用品代・差額ベッド代)
- 健康診断
- 予防医学に基づいた措置(予防接種など)
- 先進医療
- 自由診療
特に先進医療費や自由診療に関しては治療の度合いによっては数百万円以上も支出する必要が出てくることもありますので、対応できなくなってしまう可能性もあるのです。
医療保険に加入して、先進医療特約を付帯しておくだけでもしも重篤な病気やけがに見舞われた場合で先進医療を受けるときに、費用の保障を得られます。特約を付加すると保険料が高くなるといわれがちですが、医療保険における先進医療特約は月額で100円程度と非常に安価です。
1か月1本の缶ジュースを我慢するだけで先進医療の費用を保障してもらえるのは、非常にありがたいですよね。
また、最近ではがん保険などで自由診療に対応するタイプのものも拡がってきています。それだけ治療に対する意識や選択が変わってきたということでしょう。
入院時の生活費用を自己負担で出す必要がある
入院時にかかるのは治療費や手術費用だけではなく、上述のように入院期間中の生活費もかかります。
病院食×三食分が入院日数分かかるほか、飲み物や見舞い時のお菓子など意外と出費が重なります。
医療保険制度では生活費用に関しては自己負担の区分と位置付けていますので、入院期間が長ければ長いほどこれらの負担は増大していきます。
また入院期間が長期化するにつれて気になるのが収入面ですね。会社員や公務員の方は傷病手当金の仕組みがありますが、自営業の方などにはありません。月々の収入が減少または一切なくなることもあります。つまり収入と支出とのバランスが取れなくなってしまいます。
医療保険があれば一日あたりまたは一時金で給付が受けられますので、収入が減少した期間でも安心して治療を受けられます。
特定の疾病の保障が受けられない
がんなどの三大疾病や女性特有の病気にかかってしまうことも場合によってはありますが、医療保険制度では負担割合は一定です。
特定の疾病にかかってしまうとそれだけ必要な保障も変わりますので、治療の内容によっては多くの治療費が必要になってしまうこともあります。
医療保険に加入しておけば、保障内容に上乗せとしてがん特約や特定疾病特約、女性疾病特約が付加できますので、通常の保障に加えて特定の疾病に関しても保障が受けられます。
医療保険が不要な人の特徴
医療保険には不要ともいえる理由もありますし、逆に加入しない事で被るデメリットもあります。
上記の内容を元に医療保険が不要な人の特徴について以下にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
十分に貯蓄がある人
医療保険が不要な人の特徴として、十分に貯蓄がある人が挙げられます。
医療保険は本来、入院時にかかる費用を補填する目的で加入するため、万一病気やけがになってしまったときの対応ができない場合に備えて加入します。
逆に急に病気やけがになってもすぐに治療費が出せるような、十分に貯蓄を行っている人は医療保険に月々保険料を支払わなくても万一の場合に備えることができます。
年齢が若く通院や入院の可能性が低い人
現段階で年齢が若く、通院や入院の可能性が低い人は保険に加入する必要はない可能性が高いです。
特に子供に医療保険を掛ける際には注意が必要です。
子供は確かに体調を崩しやすく、入院や手術を受ける可能性も高いですよね。
ですが、医療保険制度で基本的に未就学児は2割、それ以上は3割と軽減措置がとられている上に、お住まいの都道府県や地区町村によって違いはありますが、さらに上乗せの措置として小学校卒業あるいは中学校卒業までの医療費負担がさらに軽減されることも。
年齢やお住まいの地域によって様々な負担軽減措置が取られることもありますので、わざわざ医療保険に加入する必要がないこともあるのです。
自分で不要と感じている人
極論ではありますが、自分で医療保険が不要と感じている人は加入する必要はないでしょう。
加入する必要がないと感じているにもかかわらず、保険に加入してしまっても無駄になってしまいます。
医療保険に加入するメリットが見いだせない方は、貯蓄で対応したり他の保険に加入することも検討してみてください。
今後の健康状態に不安があるなら医療保険への加入を検討
ただし今後の健康状態に不安を感じているのであれば、一度は医療保険への加入を検討したほうが良いでしょう。
医療保険は自分で保険の保障内容を選択できますし、保険料も内容を組み替えれば最低限にとどめることもできます。
将来病気やけがに見舞われた時に備えておきたい!という方や、少しでも将来の医療費に不安を感じている方は、医療保険への加入を検討してみてもいいかもしれません。
また、病気になった後では、場合によっては医療保険に加入できないこともあります。そうならない内にきちんと検討しておくほうが良いでしょう。
医療保険への加入時に注意したいポイント
少しでも医療保険への加入を検討されている方で、これから保険について調べようとしている方は、以下の項目に気を配ってみてください。
保障内容だけでなく病歴や家計を考慮して選択する
医療保険では保障内容に目をとられがちではありますが、それだけではなくご自身のこれまでの病歴や家計を考慮して選択するようにしましょう。
医療保険は病気やけがによる入院などに対して保障を行う観点から、保険加入の際の病歴の告知審査がしっかり行われます。
告知内容に該当する疾病にかかっている(いた)場合、保険への加入を断られてしまったり、特別条件付き(部位不担保や割増保険料)での引き受けに設定されてしまうこともあります。
また保障内容を充実させようと特約を付加しすぎてしまうと、月々に支払う保険料が高くなってしまいますので、経済的ではありません。
加入出来るかを左右する病歴や、加入後に保険料を支払えるかを左右する家計をしっかりと把握したうえで保険を選択するようにしましょう。
複数の保険を比較して料金比較を行う
CMで放映されている保険だけをピックアップして加入を検討してしまうと、他にある自分に合った保険を見落としてしまうこともあります。
複数の保険を可能な限り比較して、料金の比較を行いましょう。
シミュレーションを行って料金を比較したり、詳しい人に保険について相談してみるのもよいでしょう。
医療保険の加入先で迷ったら保険相談窓口を活用しよう
医療保険の加入先で迷っているのであれば、保険相談窓口を活用することも検討してみてください。
保険相談窓口では、皆さんの希望している条件や病歴に応じて、必要な保障を提案してくれます。
また保険に関してわからない事でも回答してくれるので、医療保険について知識のない方でも安心して任せられるでしょう。
保険市場
保険市場は業界の中でも特に多くの取扱保険会社を保有する保険相談窓口です。
80社以上の保険会社から皆さんに合ったプランを適宜提案してくれます。
また保険相談のスタイルも豊富に持ち合わせています。
保険市場のきれいなオフィス出相談することもできますし、担当者に自宅まで訪問してもらうことも可能です。
感染症対策の為にオンラインの保険相談にも対応してもらうこともできるので、気軽に利用できます。
以下の記事で保険市場の保険相談について徹底的に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
保険市場の口コミ&評判を分析!利用するメリット・デメリットを徹底解説!
保険見直し本舗
保険見直し本舗は全国に店舗を展開する知名度の高い保険相談窓口です。
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以下の記事で保険見直し本舗の相談について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
保険見直し本舗の実際の口コミ・評判からわかるメリット・デメリットを紹介!
医療保険が不要・必要かは人によって変わる!
いかがでしたか?
医療保険はすでに手厚い公的保障制度があるために、不要ではないかといわれることもしばしばあります。
もちろん不要な人もいますが、中には貯蓄で高額な医療費に対応できなかったり、急に高額な医療費が必要になることもありますから、完全に不要とは言い切れないのが正直なところです。
もしも少しでも健康不安があるのであれば、医療保険に加入しておいて万一の保障を手に入れることも検討してみてくださいね。
吉田美子
- プロフィール:
- ◆プリュス 代表
◆NPO法人JCPFP 理事
◆FPアソシエイツ&ファイナンシャルサービシズ株式会社 営業部部長
日本では数少ない実務家FP(CFPⓇ)およびIFA(Independent Financial Advisor)として活動中。年間延べ450組超のFP相談、資産運用などの相談を受ける。特にライフプラン、資産運用、相続など次世代に繋げる相談に注力。各方面の士業や専門家との連携によるワンストップでの相談にも定評を得ている。
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