現在日本では子供が大学を卒業するまですべて公立でも1000万円かかるといわれています。
せっかくの学びの機会ですから、子供の好きな進路を選ばせて理たいものですが退勤を一気に用意するのは至難の業。
通常学資保険は子供が生まれてから140日から3歳まで、遅くとも小学校入学までに加入するのが一般的といわれています。
ですが中には収入状況の関係から、子供が中学生になってから学資保険に加入したいと思う親御さんもいらっしゃるでしょう。
ですが学資保険に中学生から加入するのは、一般的に手遅れといわれています。
しかし学資保険以外にも中学生から教育費を準備する方法はないわけではありません。
そこで今回は学資保険に中学生から加入するのが手遅れといわれる理由から、代わりの教育費の準備法について解説していきます。
目次
学資保険とは何?
子どもがいる親御さんであれば学資保険を耳にした方も多いでしょう。
しかし学資保険が一体どんな保険なのか的確に説明できる方は少ないでしょう。
以下では学資保険の特徴や目的について見ていきましょう。
学資保険の特徴は
学資保険は将来の教育費用を賄うためにお金を積み立てる保険で、保険料を支払い将来の教育コストをカバーするために資金を育てられます。
また学資保険は保険契約者が生存する限り一定の金額が支払われるため、将来の教育資金に利用できるでしょう。
一方契約者に万一のことが起こった際でも、教育資金が滞ることは無いため子どもは今まで通りの教育を受けとれます。
学資保険の契約では保険期間や支払いオプションを選択でき、契約者は特定の年齢や教育段階に合わせて支払い期間を設定できます。
一部の学資保険では保険料の一部を投資に回し、利息や投資収益を生み出せ資金を成長させられますが、リスクも伴うため注意しましょう。
さらに学資保険は税制上の優遇措置を受けることができ、保険への支払いが税制上の控除対象となることがあります。
学資保険の特徴は保険会社や契約の種類によって異なるため、契約を締結する前に各保険商品の詳細な契約条件や特典を確認し、自身や家族のニーズに合った学資保険を選ぶことが重要です。
学資保険の目的は
学資保険の主な目的は将来の教育費用を賄うために資金を積み立て、教育に必要な財政面のサポートを提供することです。
学資保険は契約者(通常は親または保護者)が一定の期間にわたって保険料を支払い、将来の教育費用に備えるための資金を積み立てる手段として機能します。
この機能により子どもの教育資金を着実に築き上げられるでしょう。
学資保険は子どもの教育を支援し将来の教育費用に備え、家計の安定性を確保するための財政ツールとして利用されます。
保護者は子どもの教育にかかる費用を計画的に管理する手段として適切に学資保険を活用しましょう。
学資保険に中学生から加入するのは手遅れといわれる3つの理由
学資保険に中学生から加入するのは手遅れといわれる理由は、主に以下の3つです。
- 多くの保険会社が小学校までの加入プランしか用意していない
- 満期までの保険料の運用期間が短すぎて返戻率が低い
- 満期までの期間が短いので保険料が高くなる
以下で詳しく解説していきます。
多くの保険会社が小学校までの加入プランしか用意していない
学資保険商品を発売している多くの保険会社は、最大でも小学校までの加入プランしか用意していません。
上述したように学資保険は生後140日~3歳までに加入することを目的に商品が設計されており、遅くとも小学校、6歳までの加入を限度に考えられています。
中学生から加入できる学資保険もいちおうはありますが、現状1社しか発売していないため選択肢がありません。
学資保険は収入状況や返戻率をみてよく検討してから加入を決定しますので、中学生からの加入は現実的ではありません。
満期までの保険料の運用期間が短すぎて返戻率が低い
学資保険は加入者が支払う保険料を長期間にわたって運用して、目標金額を達成していくシステムになっています。
満期まで保険の加入期間が長ければ長いほど運用期間も伸びていきますので、最終的に受け取る保険金も多くなります。
しかし中学生から加入するとなると最短でも5年間程度しか運用できませんので、満足な金額分を貯められないんです。
通常は返戻率が100%以上になるまで運用していきますが、短期間で100%を超えるのは現実的ではないのです。
満期までの期間が短いので保険料が高くなる
上述したように返戻率が低い以上、満期まで目標金額を貯めるために短期間で保険料を支払うことになります。
通常16年~18年で支払っていくところを5年で支払いきらなければなりませんので、おのずと月々あるいは年間で支払う保険料が高くなります。
月額で数千円以上も差がつくこともあります。
中学生以降になると部活動や塾など学校生活以外のところでもお金がかかるようになりますから、保険料を多く負担するのは避けたいところ。
中学生から加入して無理をすると、家計の資金繰りが厳しくなる恐れがあるのです。
中学生から教育資金を貯めるための代わりの教育費準備法
皆さんの中には子供の教育資金を貯める手段=学資保険というイメージがあるため、中学生からでも加入できないかと焦ってしまうかもしれません。
ですが中学生から教育資金を貯めるためには、学資保険に加入せずとも対応できる方法があるんです。
方法は以下の4つに分類できます。
- 銀行での貯金
- 外貨建ての保険
- 投資信託
- 積立式の終身保険
以下で詳しく解説していきます。
銀行での貯金
一番手っ取り早いのは月々の金額を決めて銀行で貯金する方法です。
銀行口座があればすぐに開始できるため、保険会社に申請をして加入を認められるまで待つ時間も必要ありませんので、目標金額までの計画を立てやすいメリットがあります。
またボーナス時には通常より多く貯めるあるいは厳しいときには減額するというように、収入状況や任意のタイミングで振り込む金額を変更できます。
学資保険とは異なり、進学のタイミングなどまとまったお金が欲しいときに必要な分だけ引き出せるので、有事の際は活用できる安心感があります。
学資保険では保険会社が倒産したら元本の保証はされませんが、銀行であれば安定して経営されていますし、預金金額の保障も受けられます。
ただし学資保険のように利率で運用して金額を増やしていくことはできませんので、あくまで貯金をする目的を忘れないことが重要です。
貯金が苦手な人は定期預金を契約
中には「手元にお金があると使い込んじゃって貯金ができない…」など貯金が苦手な人もいるかもしれません。
貯金が苦手な人は口座開設の際に定期預金を選択しましょう。
月々決まった金額を振り込むように強制力が生まれますので、貯金が苦手な方でも定期的に貯蓄できます。
外貨建ての保険
最近では学資保険の代わりに外貨建ての保険に加入する人も増えてきました。
外貨建て保険では日本円で支払った保険料を保険会社側で外貨、主にドルに換金して運用していきます。
実は日本円は外貨に比べて金利が低く設定されているため、外貨に変換することで効率よく保険料を運用できます。
ただし満期保険金や死亡保険金は外貨で支払われることになるので、再度保険会社によって日本円に換金してもらう手間も発生します。
ただし時期によっては利回りがいい保険でもあるので、学資保険の代わりに資産運用しながら教育費用を貯める目的を達成できるメリットがあります。
為替リスクがあるので損をする可能性も
外貨で運用するため外貨建て保険は為替の変動の影響を直に受けることになります。
換金している外貨よりも日本円の価値が上がってしまう場合には、支払ってきた保険料よりも受け取る金額が少なくなる恐れがあります。
投資の特徴を多く備えているため、運用時には相応のリスクが生ジることを把握しておかないと思わぬトラブルに発展することもありますので、注意が必要です。
外貨に換金する手数料がかかる
外貨建て保険では上述した通り日本円から外貨に換金して保険料を運用していきますが、換金手数料は加入者が負担することになります。
そのため保険金受取時には為替手数料を差し引いた金額分を受け取ることになるので、運用中の額面だけを見ていると予想よりも少ない…なんてこともあります。
通常の円建て保険よりも手数料がかかることも為替リスクに加えて把握しておきましょう。
投資信託
積立NISAやジュニアNISAなどの投資信託を利用して、教育資金を貯める手もあります。
通常の投資信託では運用益が源泉徴収の対象になるため、徴収金額を考慮したうえで運用していく必要があります。
しかし上記2つの投資信託は非課税になりますので、源泉徴収を気にすることなく運用していけます。
証券会社に元本を預けて運用してもらえますので、時期や運が良ければ効率よく教育資金を貯められることもあります。
運用に失敗し元本割れを起こすリスクもある
投資信託は確実に成功するとは限らないので、タイミングが悪いと元本割れを起こして損をすることもあります。
また支払った元本を保証してくれるわけではありませんので、賭けの要素が強いです。
「子供の為に投資信託で資金を増やそう」と意気込んでいても、思い通りに運用できずに目標金額を貯めきれずに子供の進路に影響する可能性もあります。
損をしてもリカバリーできるだけの貯蓄がある方は、利用を検討してみてもいいかもしれません。
積立式の終身保険
積立式、特に貯金を目的に加入できる終身保険であれば、安い保険料で加入して保険料を運用できます。
代わりに死亡保障や医療保障はつきませんので、別途他の保険で備える必要があります。
通常の終身保険だと10年単位で加入しなければ元本割れを引き起こしますが、積み立てを目的にしている終身保険であれば、中学生から加入しても返戻率100%を超えた状態で解約できます。
ただし1年など短期間で解約してしまうと元本割れを起こしてしまいますので、返戻率と保険金が必要になる期間をよく計算する必要があります。
貯金がない場合は国の制度を利用しよう
貯金がなく子どもの教育に回すお金がない場合は、国の制度を利用することも検討しましょう。
国のローンには以下の種類があります。
- 高等教育の就学支援新制度
- 国の教育ローン
- 奨学金制度
下記でそれぞれのローンを詳しく見ていきましょう。
高等教育の就学支援新制度
高等教育の修学支援新制度は日本の高等教育(大学・短期大学・専門学校など)における学生への支援を強化し、学業にかかる費用負担を軽減するために導入された政府の制度です。
この新制度は従来の奨学金制度を改革し、より多くの学生が高等教育を受ける機会の提供を目的としています。
さらに従来の奨学金制度では、親の所得が一定の水準を超えると奨学金の対象外となることがありましたが、新制度では所得制限の見直しが行われより多くの学生が支援を受けられるようになりました。
また貸与型奨学金を受けた学生に対する返済条件が緩和され、返済期間が長くなり返済の開始条件が緩和されたため卒業後の経済的な負担が軽減されるでしょう。
学生は給付型奨学金と貸与型奨学金を組み合わせて受けとれるので、自身の状況に合わせて支援を受ける方法を選択できます。
高等教育の修学支援新制度は、学生が経済的な負担なく学業に専念できるようにするための取り組みであり、日本国内の高等教育機関に在籍する学生に適用され、奨学金を通じて学習機会の均等性を促進することを目指しています。
国の教育ローン
国の教育ローン(国民学生ローン・学資ローンなどとも呼ばれます)は政府または政府が支援する教育機関によって提供される、教育費用を賄うための融資プログラムのことを指します。
学生や親に対して高等教育や専門教育のための資金を提供し、学習機会へのアクセスを向上させることを目的としています。
国の教育ローンプログラムは一般的に政府が運営または支援しているため、低金利や返済条件の柔軟性などの特典が提供され、学生や親の負担を軽減できるでしょう。
ローンは通常卒業後に返済を開始することが許可され、返済期間や返済スケジュールを学生の経済的状況に合わせて柔軟に調整できる場合があり、一部のローンでは返済が一時的に猶予されることもあります。
ローンの多くは学生が卒業または一定の教育プログラムを修了した後に、返済を開始することが一般的です。
しかし一部のプログラムでは所得に基づく返済制度が導入されており、収入が一定水準を下回る場合返済額が低く設定されることがあります。
国の教育ローンプログラムの中には保証人が必要ない場合もあり、学生が独立して奨学金を利用できます。
国の教育ローンプログラムは、教育を受けるための資金を調達する際の選択肢として重要な役割を果たしており、多くの国で利用可能です。
学生や家族は自身のニーズに合ったプログラムを選ぶ際に情報収集とアドバイスを受けることが大切でしょう。
奨学金制度
国の奨学金制度は政府が提供する学生支援プログラムの一部であり、高等教育や専門教育へのアクセスを広げ、経済的に困難な学生に教育機会を提供するために設計されています。
奨学金制度は給付型奨学金と貸与型奨学金の2つのタイプに分けられ、給付型奨学金は返済の必要がなく学生に提供される資金で、貸与型奨学金は将来の返済が必要な資金です。
奨学金の受給資格には一般的な条件と基準が設定され、これには学業成績・所得・活動・専攻分野・国籍などが含まれ、奨学金を受けるためにこれらの条件を満たす必要があるでしょう。
貸与型奨学金を受けた場合返済条件が設定され、返済開始のタイミング・返済期間・金利率などが含まれ所得に応じた返済制度も導入されています。
国の奨学金制度は、教育機会へのアクセスを向上させ、学生が高等教育を受けるための経済的な負担を軽減するための重要な支援手段です。
具体的な奨学金プログラムについての詳細情報は、奨学金機関などのウェブサイトで確認することが必要です。
注意!教育ローンは安易に手を出さない
「中学生から学資保険に加入できないなら教育ローンを使うか…」と考えている方、一度考え直してみることをすすめます。
教育ローンは低金利で借りられ、一気にまとまった金額を用意できるため進学資金が足りないときには重宝できます。
しかし教育ローンの返済は借りた翌月からスタートしてしまいますので、返済までの猶予が短いです。
もしお子さんが大学進学を決めたときに借りると、入学してすぐに返済がスタート。
しかし大学生活では高校よりも割引率の低い通学定期、高い教科書代、学科によっては実習の備品代がかかります。
一人暮らしをする場合には生活費も捻出するので、教育ローンを返済しながら負担していくのは家計的に厳しくなってしまうかも。
またお子さんが大学生になるタイミングだと、家を購入して住宅ローンの負担、タイミングが重なると自動車のローンも支払っている家庭もあるかもしれません。
ローンが重なってしまうと、家計の状況が急変した際に延滞してしまうこともありますので、中学生のうちからあきらめずに上記で紹介した方法で教育費を貯めてみてください。
大学進学の際は奨学金の利用も検討しよう
大学進学の際は日本学生支援機構の奨学金を利用することも視野に入れましょう。
実は大学生のうち奨学金を利用して学生生活を送っている家庭は約50%もいるんです。
お子さんが大学を卒業して就職した後に15年など長期間をかけて返済していくことになりますが、月々3万円~借りられますので家計の負担の軽減もできます。
またお子さんの高校での成績にもよりますが、無利子で借りられる枠も用意されています。
高校生3年生のタイミングで高校側から説明を受け、進学と同時に給付が受けられるので、利用を検討してみてください。
また日本学生支援機構だけでなくとも、都道府県で用意している返済不要の給付型奨学金や大学での成績に応じて奨学生として学費を免除してもらえる制度もありますので、ぜひあわせて確認してみてくださいね。
中学生から教育費を用意するなら代わりの手段で準備しよう
いかがでしたか?
学資保険は保険料を運用して増やしていく観点から、加入できる時期が短く設定されていますので、中学生から加入を検討するのは手遅れといわれています。
中学生以降は教育費以外にも支出が多くなりますので、貯蓄や積立式保険などを活用して効率よく貯められるように行動していきましょう。
また将来大学進学を検討されているのなら、奨学金を活用することも視野に入れて家計をうまくやりくりできるように今のうちから計画を立てていきましょう。