生命保険には定期保険と終身保険があり、保険会社によっても補償内容は様々です。
最近では終身保険に「低解約返戻金型終身保険」が増え、保障選択の幅が広がっています。
しかし低解約返戻金型になじみのない方からしたら、どんな保険なのか想像もつかないことが多いでしょう。
そこで今回は、低解約返戻金型の終身保険の特徴から、加入するデメリット、注意点まで徹底的に解説していきます。
目次
低解約返戻金型終身保険って何?
低解約返戻金型は保険会社が提供している保険商品の一種で、保険料の払込期間によって解約返戻金の返戻率が変わる保険です。
基本的な特徴は、以下の通りです。
- 安い保険料で終身保険に加入できる
- 保険料払い込み期間の返戻率が7割に抑えられる
- 保険料払込期間の経過後返戻率が上がる
安い保険料で終身保険に加入できる
低解約返戻金型の終身保険は、安い保険料で終身保険に加入できる商品です。
後述しますが保険料払込期間の返戻率を下げることで、通常の終身保険よりも安い金額で保障を手に入れられます。
少ない保険料で終身保障が欲しい方向きの保険商品であるといえるでしょう。
保険料払込期間の返戻率が7割に抑えられる
低解約返戻金型の終身保険は、保険料払込期間の解約返戻金の返戻率が約7割に抑えられます。
生命保険の返戻率とは、支払った保険料総額に対して、戻ってくる解約返戻金がどの程度かをあらわす指標として用いられます。
返戻率は下記の計算式で求められ、100%が支払った保険料の総額=解約返戻金となり損をしないボーダーラインになります。
返戻率=支払保険料の総額÷解約返戻金×100
つまり保険料払込期間中の返戻率が7割ということは、当該期間で保険を解約した場合確実にン本割れをすることになるのです。
保険料払込期間の経過後返戻率が上がる
低解約返戻金型の終身保険は、保険料の払込期間が経過した後に、返戻率が戻るという特徴もあります。
つまり当初設定した保険料払込期間が経過した後も加入を継続していれば、解約時には支払った保険料よりも多い解約返戻金を受け取れる可能性があるのです。
通常の終身保険と同じ程度の返戻率まで回復しますので、タイミングが合えば終身保険に加入するよりも効率的に保険に加入できるようになります。
生命保険の解約返戻金って何?読み方や受け取れる金額をわかりやすく解説
低解約返戻金型終身保険の活用方法
低解約返戻金型の終身保険は、これまでの終身保険や定期保険とは異なり、返戻率が加入途中で上がる特徴があります。
「実際に加入するときにどんな活用法があるかわからない」という方も実はかなり多いんです。
低解約返戻金型の終身保険の活用方法は、下記のとおり貯蓄目的で利用するのがメインになります。
- 老後の資産形成
- 相続対策
- 子どもの学資保険の代わり
詳細は以下で解説していきます。
老後の資産形成
低解約返戻金型の終身保険は、老後の資産形成にも役立てられます。
現在老後2000万円問題が話題となっており、老後の生活資金に不安を抱える人も増えています。
低解約返戻金型の終身保険に早い段階で加入しておけば、保険プランによっては加入し続けて保険料を支払うことで、運用益が貯まる仕組みができるようになります。
もちろん加入期間中の保障は確保されていますから、万が一亡くなったときの備えも万全です。
相続対策
低解約返戻金型の終身保険は、本来は終身保険として運営されている保険です。
そのため相続対策として、親族に保険金を残す目的でも利用可能です。
また生命保険金の受取は親族など一定の親等を確保できていれば、相続税もある程度軽減できます。
子どもの学資保険の代わり
最近では低解約返戻金型終身保険に、子どもの学資保険の代わりとして加入する家庭が増えています。
保険の加入時期と保険料払込期間をうまく調整することで、子どもの進学タイミングに合わせて増額された分の解約返戻金を受け取れます。
上述した通り低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間を過ぎれば返戻率が元に戻る仕組みですから、運用益も期待できます。
近年学資保険の返戻率が下がっていることもあり、注目を集めている方法であるといえます。
低解約返戻金型終身保険に加入するデメリット
低解約返戻金型の終身保険は返戻率が抑えられている分、保険料が安くなるメリットがあり、一見すればどの家庭でも向いている保険商品に思えるかもしれません。
しかし低解約返戻型の終身保険には、下記2つのデメリットがあります。
- 保険料払込期間中の解約でほぼ元本割れする
- 保険設計を間違えると目的を達成できない
以下で詳しく解説していきます。
保険料払込期間中の解約でほぼ元本割れする
低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約でほぼ元本割れします。
上述した通り、保険料払込期間中の返戻率は、保険会社によって変動はあるものの7割に抑えられているので、解約する事で3割分は戻ってこない計算になるのです。
長期間加入し続けるのであれば問題がないのですが、途中解約を検討している場合、タイミングヲ間違えるとかえって損をすることもあるのです。
保険設計を間違えると目的を達成できない
学資保険として活用する方は、当初の保険設計を間違えると解約できるタイミングを逃してしまい、目的を達成できない可能性があります。
保険料の払込期間や保障開始のタイミングなど、きちんと計画的に加入しないと、子どもの進学タイミングから遅れて解約しないと損をすることにもなりかねません。
特に大学進学となると百万円単位が初年度に消えていきますから、少しのずれで家計の負担が増大する可能性があるのです。
保険設計を間違えないように、よく計算しておくことをおすすめします。
低解約返戻金型の終身保険に加入するときの注意点
低解約返戻金型の終身保険に興味を持った方は、加入するときには下記の注意点も把握しておくことをおすすめします。
- 目的までに保険料払込期間を終えらえるか
- 特約を付けることで返戻率が下がる
以下で詳しく解説していきます。
目的までに保険料払込期間を終えられるか
目的をもって低解約返戻金型の終身保険に加入する場合には、使いたいタイミングまでに保険料払込期間を終えられるかも重要なポイントになります。
上述した通り保険料払込期間を終えられないと、元本割れのリスクがありますので、必要な金額が確保されない可能性があるのです。
目的までに保険料払込期間を終えられるかをよく確認しておくことをおすすめします。。
特約を付けることで返戻率が下がる
低解約返戻金型の終身保険では特約を付加することも可能です。
しかし特約を付ける分保険会社に支払う保険料が増えてしまいますので、その分皆さんの負担が増えることになります。
実質的に支払っている保険料が高くなるのに、返戻金になる責任準備金には勘定されませんので、返戻率が下がってしまうのです。
生命保険会社の低解約返戻金型終身保険を紹介!
以下では代表的な低解約返戻金型終身保険を紹介していきます。
&LIFE終身保険(三井住友海上あいおい生命)
&LIFE終身保険は三井住友海上あいおい生命が発売している、低解約返戻金型の終身保険です。
長期的な貯蓄に活用でき、保険料払込期間の返戻率は通常の70%に設定されています。
保険料の払込期間が経過すると死亡保障を継続するか、年金に変更するか、あるいは介護年金に変更するかの3パターンを自由に選択できます。
勿論終身保険としての役割もきちんと果たしてくれるのもポイントです。
三井住友海上あいおい生命「&LIFE くらしの応援保険」の評判からデメリットや特徴を徹底解説!
終身保険RISE(オリックス生命)
終身保険RISEはオリックス生命が打ち出している低解約返戻金型の終身保険です。
保険料の払込期間が経過した直後に、返戻率が109%になることもあり、返戻率の高い保険として知られています。
余命6か月以内と診断されたときには、生存中に保険金を支払ってもらうこともできます。
オリックス生命「終身保険RISE」の評判から特徴とデメリットを解説します
目的に応じて低解約返戻金型終身保険を使い分けよう
いかがでしたか?
低解約返戻金型終身保険は返戻率を引き下げられている分、保険料が安くなる終身保険です。
生命保険以外にも学資保険や資産運用目的で利用できますので、目的に合う方は是非利用を検討してみてください。