最近では東京23区内でも同性同士の関係を証明するパートナーシップ証明書を発行する自治体も出てきており、徐々にLGBTQの方向けの制度が登場しています。
しかしパートナー関係の公的な証明だけではなく、実生活で活用するために気になるのが「生命保険の受取人を同性婚の相手に指定できるのか」です。
生命保険は自分が亡くなった時に家族にお金を残す目的で加入しますので、パートナーを受取人に指定して自分が亡くなった時に保険金を残してあげたいと思う方もいることでしょう。
ですが同性婚に関しての制度が登場してきたのは最近ですから、「同性婚の相手を受取人に指定しようとすると断られてしまうのではないか…」と不安に感じてしまうかも。
実は最近では生命保険会社側も、同性婚の相手を保険金の受取人に指定できると発表しているところも出てきているんですよ!
でもやはり受取人に指定する以上、一定の条件や注意点が存在します。
今回は生命保険において同性の相手を受取人に指定する際の条件や注意点について、徹底的に解説していきます。
目次
同性婚の相手を受取人に指定できる生命保険が増加している
世界的にも同性婚への認識が変化してきている中、生命保険会社も同性婚の相手を受取人へ指定することを認める保険会社も増加しています。
同性婚の相手を受取人に指定できると公表している主な会社は以下の通りです。
- ライフネット生命
- 日本生命
- 第一生命
- メットライフ生命
- マニュライフ生命など
大手の保険会社は基本的に認める姿勢をとっていますので、基本的には安心です。
生命保険で同性婚の相手を受取人に指名できる条件
ただし生命保険会社が認める姿勢を出しているといっても、無条件で同性婚の相手を受取人に指定できるわけではありません。
生命保険の受取人は加入者が亡くなった場合に数百万円~数千万円の保険金を手にすることになるため、加入者とどんな関係性を持っているかを重要視されます。
保険金を目的にした犯罪行為も行われるリスクもありますから、保険会社としてはいくつかの条件が設けるようにしています。
以下で詳細を解説していきます。
同性婚の受取人指定を認めている保険に加入する
大前提ですが上記で紹介したような同性婚の相手を受取人に指定することを認めている保険会社に加入することが第一条件になります。
上記で紹介したような同性婚の受取人指定を認めている保険会社を選んで加入しておきましょう。
またすでに生命保険に加入されている方は、加入している保険会社の方針を確認して受取人を変更できるも併せて確認しましょう。
相手との関係を証明できる書類を用意する
第二の条件として受取人に指定したい相手との関係を証明できる書類を用意することが挙げられます。
胃成婚の場合は役所での婚姻届けが受理されれば、公的に婚姻関係が認められて互いの親等に加えられることになります。
しかし現在日本では同性婚を公に認める法律が整備されておらず、公的に証明する書類がありません。
保険会社の方針にもよりますが、パートナーシップ証明書の提出を求めて、関係を証明するように求めることもあるのです。
パートナーシップ証明書は限られた地域でのみしかもらえない
パートナーシップ証明書が必要といわれても、証明書がもらえる自治体は下記に限られています。
- 東京都渋谷区
- 東京都世田谷区
- 東京都中野区
- 東京都江戸川区
- 東京都豊島区
- 東京都府中市
- 北海道札幌市
- 群馬県大泉町
- 神奈川県横須賀市
- 神奈川県小田原市
- 千葉県千葉市
- 三重県伊賀市
- 兵庫県宝塚市
- 大阪府大阪市
- 大阪府堺市
- 大阪府枚方市
- 熊本県熊本市
- 沖縄県那覇市
これらの地域以外にもパートナーシップ証明書を発行する旨を公表しているところもありますが、いまだに全国的に認められているわけではありません。
またこれらの自治体に住んでいなければ証明書を発行してもらえませんので、さらに認められる人が限定されてしまいます。
自社の指定する書類への記入でOKとするところもある
パートナーシップ証明書が発行されるかどうかが住んでいるところによって変わるため、生命保険会社の中には自社の指定する書類へ記入して承認が下りれば受取人に指定できるところもあります。
また書類の提出だけではなく、保険会社の担当者との面談が必要になることもあります。
保険会社によって対応が異なりますので、よく確認しておきましょう。
同性婚の相手を受取人に指定するときの注意点
同性婚の相手を受取人に指定する時には、条件だけではなく下記の注意点も把握しておきましょう。
せっかく受取人指定できたとしても、契約内容に変更が生じますから変更後に不利益を被ることもあるのです。
以下で一つずつ確認していきましょう。
生命保険料控除の対象に含まれない
生命保険に加入すると支払っている保険料の金額に応じて、住民税や所得税の控除が受けられる生命保険料控除を活用できます。
しかし生命保険料控除が適用される条件としては国税庁公式HPでは以下のように規定されています。
対象となる保険契約等の主なものは平成24年1月1日以後に締結した次の契約若しくは他の契約等に附帯して締結した契約(新契約)で、保険金等の受取人のすべてをその保険料等の払込みをする方又はその配偶者その他の親族とするものをいいます。
つまり婚姻関係にある配偶者あるいは加入者の親族のみが保険金の受取人指定されているときのみ、生命保険料控除が適用されることになるのです。
同性同士は婚姻関係が認められていないため、戸籍状は親族関係が結ばれていませんから、これらの対象には含まれません。
同性婚の相手を受取人に指定すると、生命保険料控除の適用から外れて税負担が通常よりも多くなってしまうことは把握しておきましょう。
非課税枠が適用されないので相続税が通常通りかかる
生命保険金には受取人と契約者、加入者の関係性に応じて適用される税金が異なります。
同性婚の相手を受取人に指定する場合、相続税が適用されることがほとんどです。
基本的に相続税が適用される際には、法定相続人の人数×500万円の非課税枠が適用されるのですが、相続人以外が受取人に指定されている場合、非課税枠は非適用になります。
つまり相手の為に多くの金額を残しておこうと契約していても、非課税枠が用意されていない分税金として差し引かれる割合が大きくなってしまうのです。
同居期間など規定条件を満たさないと指定を断られる
保険会社に提出する証明書類には同居期間など、お互いに生計を共にしていることを示す内容を記入する必要があります。
しかし保険会社の指定する規定条件を満たしていないと、保険会社から受取人の指定を断られることもあります。
指定の条件を把握しておいて、申請が通るかどうかを事前に確認しておくことをお勧めします。
ホルモン剤注射を行っていると生命保険に加入できないこともある
これから生命保険に加入して同性婚の相手を受取人に指定しようと考えている方の中には、ホルモン剤注射や手術を受けている方もいるでしょう。
生命保険は死亡リスクに備える保険ですから、死亡リスクや健康リスクに対しては厳しく調査します。
ホルモン治療や手術に関しては、死亡リスクとの因果関係を示す資料がまだ少ないため、保険会社の判断によっては保険への加入を断られてしまうこともあります。
生命保険では告知が必要な期間が定められていますので、申請が必要な時期かどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。
受取人指定のハードルは高いが不可能ではない!
いかがでしたか?
多様性が世間的認知され始めた背景から、生命保険会社でも受取人を同性婚の相手に指定で切るようになってきています。
しかし受取人に指定するには関係性の証明が必要になるので、保険会社によってはパートナーシップ証明書の提示を求められることも。
ただし方針によっては会社指定の書類でも対応してくれることもありますので、会社を選んで対応する必要もあるでしょう。
また受取人に指定するときには税控除が受けられないなどの不利益が生じることもありますので、注意が必要です。
しかしだんだんと同性婚にオープンな会社も増えていますから、大切な相手に保険金を残せるように手続きを検討してみてはいかがでしょうか。