最近ではエコ意識の高まりにより、各家庭で太陽光パネルを設置して自家発電を行う風潮も出てきましたよね。
屋根と一体化して設置されていることもあれば、家の契約後に契約して設置することもあるでしょう。
ですが太陽光パネルは台風等の強風により破損する事例もあります。
1kw当たり30万円以上もしますから、再度新しく買いなおすとなると家だけでなく、家計にも大打撃になってしまいますよね。
実は台風による太陽光パネルの故障は、補償対象さえ合致していれば火災保険で補償できるんです。
ですが火災保険にも申請条件がありますから、保険適用する前に注意点を把握しておく必要があります。
この記事では、台風で壊れた太陽光パネルを火災保険で補償するときの注意点をまとめています。
目次
火災保険は台風の損害も補償対象内
火災保険と聞くと、家が燃えた時にしか保険金を申請できないと考えている人も多いでしょう。
火災保険は名前こそ火災のみに限定されていますが、家の損害であれば故意でない・経年劣化でない・地震や火山活動による損害でない限り、補償がついていれば保険金を請求することが出来ます。
通常火災保険は「火災・落雷・爆発」の3つの基本補償がついています。
これらに特約として付ける形で、台風による損害も補償してもらえるのです。
火災保険で太陽光パネルを補償できる
上述の通り火災保険でも台風による損害が補償できますので、家屋に設置されている太陽光パネルも対象になります。
台風で壊れたソーラーパネルを火災保険で補償するには、以下2つの保障(特約)に加入している必要があります。
- 風災保障
- 物体の飛来・落下
以下で詳しく解説していきます。
風で壊れたなら風災で補償される
台風では暴風雨が吹き荒れることもありますから、家の外に設置されている設備は壊れる可能性が非常に高いです。
太陽光パネルも例外ではなく、屋根からはがれてしまったり落下してしまって破損してしまったりします。
風が直接の原因でパネルが壊れた時には、火災保険に付けられる保障のうち「風災保障」を適用できます。
基本保障に含まれている場合もありますが、一般的には特約として付加することがほとんどです。
物の飛来で壊れたなら物体の落下で補償される
台風で恐ろしいのは風で設備が飛ばされることだけではありません。
地面に落ちている物体や木など、思いもよらないところから風に乗って飛来し、太陽光パネルに運悪く衝突することもあるんですよ。
この場合は、物体の飛来・落下等による損害を補償できる保障(特約)を付けておく必要があります。
基本補償に付帯する形になりますので、保険料が上がってしまいますが家の外壁が破損した場合にもつかえますので、つけておいて損はありません。
太陽光パネルは設置から10年はメーカー保証が付く
忘れてはならないのが、太陽光パネルについているメーカー保証です。
太陽光パネルは上述の通り数十万~数百万円する高い買い物ですので、相応のメーカー保証がついています。
一般的な太陽光パネルの保証期間は10年。
この間に故障した場合はメーカーが対応してくれます。
ですがここで気を付けたいのが、ただのメーカー保証だけでは自然災害によって故障したパネルを補償してもらえないこと。
あくまで使用時に故障した場合にのみ保証が利用できますので、注意が必要です。
自然災害で故障した場合に、購入時についていた保証を使おうとしても対応してもらえませんので、別途保険に入る必要があります。
メーカー保証に更に保険をかけている人は少ないでしょうから、加入している火災保険を活用するほうが楽でお得だといえるでしょう。
保険を適用させるときの手順
保険を適用させるときの手順は以下のとおりです。
- 加入している保険会社へ連絡する
- 販売・施工会社に見積もってもらう
- 保険会社の調査/必要書類の提出
- 保険会社からの保険金支払額の通知
- 業者へ正式に発注する
- 期限内に保険金を請求する
それぞれの手順について詳しくみていきましょう。
加入している保険会社へ連絡する
まず最初に加入している保険会社へ電話で連絡をします。
保険会社の連絡先は契約書面や保険の証書に記載されています。
電話に出たオペレーターに事故の状況を聞かれることが多いため、説明できるようにしておきましょう。
販売・施工会社に見積もってもらう
保険会社に連絡をすると、見積書を提出するようにいわれます。
専門の販売・施工会社に見積もりを依頼して、被害の詳しい状況を専門的に見てもらいましょう。
保険会社の調査/必要書類の提出
業者の見積書と必要書類を提出すると、その提出した現場写真と実際の被害状況が一致しているかを確認するために、保険会社が調査を行います。
保険会社へ提出する必要書類は以下のとおりです。
- 保険金請求書
- 保険金直接支払指示書
- り災証明書
- 事故内容報告書
- 修理見積書
- 損害明細書
- 損害部分の分かる写真
- 建物登記簿謄本
- 委任状
被害を受けた建物が、事務所で利用しているなど法人で所有している場合、法人代表者資格証明もしくは商業登記簿謄本が必要になります。
保険会社の調査員が自宅に訪問してくる可能性もあるので、各書類は提出前に控えを用意しておくとよいでしょう。
保険会社からの保険金支払い額の通知
調査が終わり補償額が算出されると、保険会社から支払額についての連絡が入ります。
保険金の支払いのタイミングは保険金請求手続き完了日を含む30日以内に支払われるように保険法で定められています。
業者へ正式に発注する
保険会社に提出した見積書どおりに業者へ正式に工事の発注を行いましょう。
提出した見積書より実際にかかった金額が上回ったときは、その差額は実費で負担することになります。
保険金請求には期限がある
保険金の請求には期限があり、火災保険の請求期限は3年間となっています。
損害が生じた日から3年間以内に請求しなければ時効が成立し、請求ができなくなるので気をつけましょう。
火災保険で太陽光パネルを補償するときの注意点
火災保険は様々な損害を補償できるため便利で万能であると認識されがちですが、やはり対処できない状況があります。
以下では火災保険で太陽光パネルを補償するときの注意点を4つ紹介しています。
これから台風で壊れた太陽光パネルを保守しようとしている方や、夏に来る台風に備えておきたい方は参考にしてください。
保険の保障内容によっては補償されないことも
太陽光パネルは建築している過程で取り付けているパターンと、すでに完成している建物に後から取り付けるパターンの2つに分かれます。
屋根にくっついて取り外せない場合は建物と同じ扱いなので家屋保障で対応できますが、後から設置するタイプだと設置台が付けられていることがほとんどですので家財保障で補償されることになります。
しかし火災保険に加入している方の中には片方に保障を絞っている方もいますから、保障内容によっては火災保険を適用できずに全額自腹になる可能性もあります。
賃貸物件だと家財保険の対象になる
賃貸物件にお住いの方の中には、自分で借りている建物に太陽光パネルを設置している人もいるでしょう。
賃貸の場合、建物の所有者が異なる関係で家財の対象として認定されることありますので注意が必要です。
また太陽光パネルで他者に損害を与えてしまった場合には、また別の保険で補償しなければならないので注意が必要です。
後付け設置の場合は見直しをしていないと補償が不十分になる可能性も
太陽光パネルを業者や友人に勧められて、現在住んでいる建物に後から取り付ける人もいますよね。
通常火災保険は建物の価値で保険料や保障額を決定していますので、高額な太陽光パネルが追加されることで建物の価値は必然的に上がります。
ですが火災保険の見直しをしていないと、建物の評価額が保険金に反映されませんので、十分な補償が受けられないばかりか補償対象外に認定されることも。
見直しが面倒くさいと感じてしまう方も多いでしょうが、結果的に損しないように手間を惜しまずに手続きしてください。
メーカー保証を利用していると補償されない
メーカーでもしもの時に備えて自然災害補償を付けており、それを使って台風で壊れた太陽光パネルを補償するときは、火災保険は利用できません。
またメーカー側の自然災害補償は期限付きであることが多く、気が付いたら補償期間外で結果利用できなかった…なんてこともありますので、注意が必要です。
近隣への被害は『個人賠償責任保険』が適用される可能性が高い
近隣への被害を与えた場合、火災保険では補償されないことが多いです。
理由は火災保険の自然災害補償は「故意または重過失によって生じた損害」については補償の対象外となるからです。
一般的に太陽光パネルは台風などの災害で近隣に被害が出ないように設計されているため、パネルが外れて飛んでしまった場合は、専用の金具でしっかりと固定されていなかったと推測されてしまうでしょう。
その結果、「故意または重過失によって生じた損害」にあたり、火災保険の自然災害補償の対象外となってしまいます。
個人賠償責任保険は第三者への損害を補償する保険のため、台風で太陽光パネルが飛ばされて通行人に当たりケガを負わせた場合やパネルが落下したことで、隣家の建物や所有物を壊してしまった場合などは補償の対象となります。
個人賠償責任保険が適用されるまでの流れ
個人賠償責任保険が適用されるまでの流れは以下のとおりです。
- 保険会社に状況を報告
- 被害者と示談の上、賠償金を決める
- 保険会社に保険金を請求する
- 保険会社が保険金額を審査する
- 保険会社から保険金が支払われる
- 被害者へ賠償金を支払う
保険会社から保険金が支払われる前に賠償金を支払ってしまった場合、その賠償金が保険金より高くなっても保険金が増えることはありません。保険金が支払われてから賠償金を支払うようにしましょう。
台風による太陽光パネル設備の故障ケース
台風による太陽光パネル設備の故障ケースは以下のとおりです。
- 太陽光パネルや発電設備が飛ばされる
- 太陽光パネルの基礎に歪みが出る
- 架台が損傷する
- 冠水被害で電気系統が故障する
それぞれ詳しくみていきましょう。
太陽光パネルや発電設備が飛ばされる
太陽光パネルは風速62mに耐える設計をするように「JIS C 8990」で定められています。
これは通常の台風が風速60mを超えることはないため、その設定になっているのですが、近年の大型台風の威力は想定外の規模になることも多く、パネルや設備が飛ばされる被害が実際起こっています。
太陽光パネルの基礎に歪みが出る
豪雨や台風により、土砂崩れや地すべりが発生すると太陽光パネルの基礎に歪みが出ることがあります。
地面から低い位置に設置する場合は、設置場所に気をつけるようにしましょう。
架台が損傷する
太陽光パネルに強風が当たり続けた際に、パネルを支える架台が破損してしまったり、歪んだりすることがあります。
また、架台部分やパネルに飛来物がぶつかった打撃で架台が壊れたり傷つくことも考えられるでしょう。
冠水被害で電気系統が故障する
台風などで河川が氾濫し、冠水してしまうと電気系統が故障する被害もあります。
特に低い位置に発電設備を設置している場合は、台風による故障の中でもっと起こる可能性が高いものになります。
太陽光パネルを設置する前に、自治体のハザードマップを確認し、設置エリアが水没する危険はないか確認してから設置しましょう。
火災保険を有効活用して太陽光パネルを復活させよう
いかがでしたか?
火災保険は保障や特約の対象内であれば、台風によって壊れた太陽光パネルでも補償してもらえます。
もちろん火災保険の対象を家屋か家財か、また太陽光パネルが備え付けられているのか後から付けられたかによって、補償できるかどうかが変わりますので注意が必要です。
メーカー保証がついているから安心と思いがちですが、台風などの自然災害による故障は補償対象外になります。
総合的に見て火災保険とメーカー保証に付けられる保険のどちらがお得かを判断すべきですが、期間が定められていない火災保険の方がお得で手続きも簡単でしょう。
火災保険を有効活用し注意点を把握しながら、太陽光パネルを補償していきましょう。