運転中事故を起こしてしまうと相手への補償も気になりますが、自身の加入している自動車保険の等級が下がってしまうことも考えてしまう人は多いでしょう。
自動車保険の等級は無事故歴が長い分どんどん上がっていき、等級が高ければ高いほど保険料が安くなる仕組みになっています。
中には「今加入している保険を途中で解約して、新規で保険に加入すれば等級を引き継げるかも…」と考えている人もいるかもしれませんね。
事故後に自動車保険を解約してもなにも問題ありません。
新規加入したからといって、等級が下がらないなんてことはないのです。
そこで今回は、事故後に自動車保険を解約した場合でも等級が下がってしまう理由や、途中解約する際の注意点について紹介していきます。
目次
事故後に保険会社を変える人は意外と多い
実は事故後に自動車保険を解約して乗り換える人は意外と多いんです。
やはり同じ自動車保険に加入していることで、担当者との気まずさを感じていまうんだそう。
もちろん中には、等級を維持したい目的で自動車保険を乗り換える方もいます。
中には等級引継ぎの手続きをしたのにも関わらず、「あれ?等級が引き継げていない…」と気づくこともあります。
では何故事故後に等級を引き継ぎしても、乗り換え先では適用されないのでしょうか?
事故後に解約しても等級はさがる
はっきり言って、事故後に解約しても等級は必ずさがります。
実は保険会社間では、保険料の査定に関わる事項に関しては、お互い情報を開示する取り決めが結ばれています。
上述の通り、等級はその高さに応じて負担が少なくなるように設定されていますので、加入者間の平等性を保つために一番重要視する項目です。
特に自動車保険を再契約して引継ぎを行う人に対しては、加入前の保険情報を詳しく調べられます。
そのため、年度が替わって等級が下がる前に自動車保険を、等級の引継ぎを行ったとしてもすぐにばれてしまいます。
つまり乗り換え先で事故前の等級を申告しても、情報開示によって等級が判明すると、等級の差によって発生した差額の支払いが命じられることもあります。
保険会社間で事故アリ係数期間の情報も共有されているので、事故アリ係数のウソをついてもすぐにばれてしまいます。
事故後5等級以下なら解約後13か月経過後にリセットされる
どの自動車保険でも事故が起きると、現在の等級から3等級下がることになっています。
そのため免許を取りたての若い世代が事故の加害者になったときには、翌年から6等級以下になってしまうことも。
また、他の保険に乗り換えて新規加入すれば、6等級から再開できるわけではありません。
6等級以下でも乗り換えると保険情報の共有がありますから、新規加入して等級をリセットしようとしても、事故前の等級で保障をうけることになります。
5等級以下になってしまうと、現在契約している保険を解約して、どこの保険にも加入していない無保険期間が13か月経過すれば6等級から再適用できます。
ですが13か月間無保険ということは、その間は何が起きても全額自己負担で補償しなければなりません。
そのため6等級以下になってしまったときには、保険に加入し続けて安全運転を心掛け等級が上がるのを待つ方が得策です。
事故後満期日まで更新を行わないと6等級以上でもリセット
事故後契約更新をすれば、等級に反映されるため3等級ダウンしてしまいます。
だからといって、更新しなければ等級が下がらないというわけでもありません。
契約満期日までに契約更新を行わなければ、等級が6以上であってもリセットされて再度加入時と同じ6等級からになります。
更新しなければ等級を維持できるわけではありませんので、注意しましょう。
また他の会社に乗り換える際も、等級の引継ぎ手続きを行わなければ6等級からになります。
保険会社を乗り換えたほうが保険料が安くなることも
保険期間中に事故が発生した場合、上述した通り保険会社を乗りかえたとしても、等級は下がってしまいます。
しかし乗り換え先の保険会社のサービス内容や割引率、保険商品の充実度合いによっては、乗り換えたほうが保険料が安くなることもあります。
保険期間中の事故で等級は下がるものの、保険会社を変更するなどして保険料を効率敵に安くしていきましょう。
事故後に保険を解約するときの注意点
事故後に保険を解約することは可能ですが、上述の通り等級が下がる事態を避けることは出来ません。
でも中には保険料など保険の保障内容を考慮して、乗り換えようと考えている方もいますよね。
保険を乗り換えるときには、以下の注意点を事前に把握しておきましょう。
事故歴の告知は正直に行う
保険を解約して他の保険会社に再加入するときには、事故歴の告知は正直に行いましょう。
契約更新して等級が下がる前に他の保険に加入すると、事故前の等級で申請しても一時的には受理してもらえます。
ですが加入から2~3か月後になると、上述の通り保険会社間の情報開示の結果が出ますので事実が判明することに。
もちろん事故歴があるなら等級も下がりますから、保険料も高くなります。
加入時に適用していた等級と適用された等級では保険料が異なりますから差額請求がきます。
もし判明する前に補償範囲内の事故が起きてしまうと、保険金が支払われないなんてことにもなりかねませんので、申告は正直に行うようにしましょう。
解約返戻金の返戻率が低いこともある
もしも加入している自動車保険で解約返戻金があるのであれば、相応の金額を受け取ることができます。
一方、保険加入が著しく短いケースや、返戻率の低い保険だと、払ってきた金額よりも金額が少なくなる「元本割れ」を起こす可能性もあるんです。
解約する前には、自身の加入されている保険に返戻金があるかどうか、元本割れを起こすリスクがないかを事前に確認しておきましょう。
次の保険会社に乗り換えるまでの無保険期間を作らない
もしも保険会社を乗り換える際には、無保険期間を作らないようにタイミングを調整するようにしましょう。
等級が6等級以下で、13か月以上あえてあけているのであれば仕方がありません。
ですが乗り換えのタイミングを間違えて、その間に事故が起きてしまったら全額自己負担で補償しなければなりません。
もしも次の会社に乗り換えるつもりがあるなら、最低でも乗り換える予定時期の2か月前には手続き準備を始めておくことをおすすめします。
重複加入にならないようにする
自動車保険に加入している人の中には、継続手続きを忘れないために「自動継続特約」を付帯している人もいます。
自動継続特約とは、保険の満期日の前月10日までに保険継続手続きが行われないと、保険会社が自動的に契約更新を行ってくれる特約のことをさします。
事故後に関わらず保険を乗り換える方の中には、自分がこの特約を付帯していることを忘れて手続きしない方もいます。
もちろん特約の内容上、継続手続きを行わなくても自動更新されることになるので、保険慮は引き続き引き落とされていきます。
つまり保険の二重加入状態が続いてしまうのです。
重複加入状態だと負担が2倍に膨れ上がるので、経済的とは言えませんよね。
そのため保険を解約して乗り換える時には、保険に付けている特約や契約・更新手続きについてよく把握しておくことをおすすめします。
新しい保険に乗り換えられない可能性も
事故での保険利用回数が著しく多いなど、保険の新規加入にふさわしくないと判断されてしまうと、乗り換え先の保険会社で加入を断られてしまうこともあります。
できるだけ保険金を払うリスクが高い人は出来るだけ加入させたくないのが本音のようです。
こればかりは保険会社の判断によるので何とも言えませんが、これまでの事故歴を確認してリスクが高いと判断できるときには、乗り換えを断念するほうが得策といえるでしょう。
事故後の自動車保険の解約手続き
事故後の自動車保険の解約手続きは、通常するときと何ら変わりはありません。
保険会社の指定する連絡先に電話して、送付されてきた書類に重要事項を記入し、返送するだけでOKです。
乗り換える際には加入中の自動車保険を解約する前に、新規契約先に契約を希望する旨を伝えて手続きの準備を済ませておきましょう。
乗り換え時には、加入している保険証券・車検証・免許証を用意しておくと対応がスムーズに進みますよ。
自動更新特約が付いているなら元加入先に連絡が必要
自動車保険には、更新を忘れないように自動更新特約を付帯している家庭もありますよね。
自動更新特約を付帯している場合には、元加入先まで連絡して、更新をしない旨をきちんと申告しておきましょう。
たいていは保険会社のコールセンターで対応してくれるので、気になる方は一度問い合わせてみてください。
保険の内容がわからず、特約があるのかすらもあいまいという方は、保険証券を確認して内容を把握しておきましょう。
事故後廃車になったら保険は解約したほうがいい?
廃車になり、新車購入まで間が開いてしまう方もいるのではないでしょうか。
だからといって節約を目的に保険を解約するのは早計です。
廃車になったからといって等級がリセットされるわけではありません。
もし保険料を考慮して保険を一時的に解約するのであれば、中断証明書を取得することをおすすめします。
中断証明書とは、廃車や車に乗らなくなる時期があり将来的に再度自動車に乗ることが分かっているときに、以前加入していた自動車保険の等級を引き継げる書類のことです。
中断証明書を取得しておくことで、再加入するときに6等級からではなく前の等級からスタートできます。
事故後は出来るだけ保険料の見直しをして継続すべき
事故後に等級が下がってしまったら、保険会社を変える前に保険料の見直しをしましょう。
見直しすることで、これまで支払ってきた無駄を省いて、高くなる保険料をいくらか削減することもできますよ。
確かに他に加入して保障内容を検討するのも良いことなのですが、手続きに手間も時間もかかる上に等級に変化はありません。
そのためできるだけ加入したまま保険料を減らすために見直すほうが効率的なのです。
事故後は保険料を考慮して解約するかを判断しよう
いかがでしたか?
はっきりいって、事故後に等級を維持するために保険会社を変えても意味はありません。
保険会社間で保険情報を共有する取り決めがある以上、乗り換え時に嘘をついて更新して等級が下がる前に契約してしまっても、いずれ等級がばれてしまいます。
申告した等級と適用後等級に差があると、差額分を請求されます。
しかし他に乗り換えたほうが、同じ等級でも保険料が安い場合には乗り換えを検討することをおすすめします。
乗り換え時には等級の引継ぎ手続きを行わないと、再度6等級からになってしまいますので注意が必要です。
保険を解約して乗り換える時には、同じ等級で安くなるかどうかを考慮して、事故歴を偽ることのないようにしましょうね!