子供の教育費用といえば学資保険のイメージが強いですが、最近では学資保険はいらないといわれ始めてきました。
「学資保険がいらないって言われているなら別にわざわざ加入する必要はないんじゃないの」と思っていても、やっぱり不安は残りますよね。
今回は学資保険がいらないといわれる根拠、また学資保険以外で子供の学費を用意する方法についても、徹底的に解説していきます。
目次
学資保険がいらないといわれる4つの根拠
学資保険がいらないといわれる根拠には、主に以下の4つがあげられます。
- 昔に比べて返戻率が下がっている
- 途中で引きだして任意のタイミングで使えない
- 保険会社の倒産後に全額保証されない
- 他の方法でも教育費の貯蓄ができる
以下で詳しく解説していきます。
昔に比べて返戻率が下がっている
学資保険は返戻率が引き下げられており、現在103%程度が相場になっています。
学資保険の返礼率とは、支払った保険料に対して保険金として受け取れる金額の割合をあらわし、100%=支払った保険料に該当します。
昔は返戻率が高く、学資保険に預けておけば安心とのイメージがありましたが、年々返戻率は低下しています。
昔に比べて返戻率が引き下げられていますので、わざわざ学資保険に加入せずに他の方法でお金を運用して、子供の学費に備えようとする人が増えているのです。
途中で引き出して任意のタイミングで使えない
学資保険は途中で引き出して加入者の好きなタイミングで使えません。
一度支払った保険料は、あらかじめ設定した祝い金や満期金の支払い日でないと、振り込みを受けられません。
保険料は一定期間保険会社が預かって、安定した円建ての金融資産で運用されて、目標金額まで貯めていくことになります。
安定した資産は運用益が小さいので、長期運用とある程度の元手がないと、プラスにはなりません。
そのため途中で引き出すことはできずに、万一手元にお金が欲しい場合には、解約して解約返戻金を受け取るほかありません。
保険会社の倒産後に全額保証されない
学資保険を販売している企業は、上場企業や老舗企業など大手の会社が多いです。
しかし大手企業といえど倒産するリスクがあるとはいえず、金融危機や大恐慌などのあおりを受けることも予想されます。
保険会社が倒産した場合に備えて、各保険会社は保障制度に加盟しているものの、倒産した保険会社の契約者を全面的にカバーしてくれるものではありません。
基本的に保険会社が倒産したら、他の保険会社が保険契約を引き継ぎますが、元の保障よりも何割か削減された保障になることがほとんどです。
せっかく子供のために加入していても、生命保険会社の倒産という予測できないリスクには対応できませんので、注意が必要です。
他の方法でも教育費の貯蓄ができる
学資保険で子供の教育費用を貯めなくても、他の方法を利用して教育費の準備が可能です。
後述しますが貯蓄や他の生命保険で学費を貯めるなど、方法はいくつもあります。
学資保険に固執する必要がなく、他の手段が出てきていることも、学資保険がいらないといわれる背景にはあります。
学資保険がいらない人の特徴
上記の内容を踏まえて学資保険がいらない人の特徴は、以下の通りです。
- 貯蓄が十分にある人
- 保険料を定期的に払いこむのが難しい人
- 途中で貯めた金額を引き出したい人
以下で詳しく解説していきます。
貯蓄が十分にある人
子供の学費に対応できるほど貯蓄が十分にある人は、学資保険はいらないと言えるでしょう。
継続して貯蓄していけば子供の学費を確保できますし、保険料に含まれる保障分を気にする必要もありません。
途中で一部を資産運用に回して、利益を得ることも可能です。
保険料を定期的に払いこむのが難しい人
子供が大人数など学資保険料を定期的に払いこむのが難しい人は、学資保険はいらないといえます。
学資保険料はひと月当たり1万円程度になることもあり、子供が多い家庭では家計を圧迫する原因にもなります。
もちろん子供のために学費を貯めてあげたいものですが、日々の生活を切り詰めなければ支払いを継続できないなら、加入する意味が薄くなってしまいます。
貯金など学資保険以外の方法で学費を貯めたり、補助制度なども随時確認していきましょう。
途中で貯めた金額を引き出したい人
貯めた保険料を途中で引き出したい人も、学資保険に加入する必要性があるといえます。
学資保険では上述した通り途中で保険金を引き出すことができませんので、必要になったときに保険金を手元に残せません。
途中で貯めた金額を引き出したいのであれば、貯金に頼ってみましょう。
本当に学資保険がいらないかを判断するには学費の相場を知ろう
体感的に学資保険が自分の家庭に必要ないと思って、加入しない道を選ぶ人もいます。
しかし本当に学資保険が家庭にいらないかを判断するには、学費の相場を知っておくことが必要になります。
子供を幼稚園から大学まで進学させた場合、一般的に1000万円程度かかるといわれています。
特に費用が掛かるのは大学です。
国内にある国公立大学は費用面の安さや偏差値の高さから、様々な学生からの人気を集めています。
しかし学校数が少ないためか、たいていの学生は私立大学へ進学します。
私立大学では基本的に4年間で400万~1000万程度かかりますので、事前に準備が必要です。
多くの学生が文系大学に進学しますから、最低でも400万円、近くに大学がなく下宿が必要ならば下宿費用も用意しておく必要があります。
将来の収入や現在から逆算して、どの程度事前に用意できるかを確認しておきましょう。
学資保険以外で子どもの学費を工面するにはどうすればいい?
学資保険以外がいらないと感じても、万が一のことを考えて学費を貯めておこうと考える方もいますよね。
学資保険以外で子供の学費を工面するには、以下の方法を試してみてください。
児童手当を貯金する
毎月支給される児童手当を貯金してみましょう。
児童手当は年に一回の現況届を提出すれば、1か月あたり1万円~1万5000円の支給を受けられます。
子供用の口座を作っておいて、児童手当を貯金しておけば、学費の足しにはなります。
しかし児童手当は中学生までしか支給対象ではありませんので、高校以降に家計内でやりくりして貯蓄分を捻出する必要があります。
低解約返戻金型終身保険を利用する
低解約返戻金型の終身保険を利用する手もあります。
体会や返戻金型終身保険は、保険料払込期間の解約返戻金を減額する代わりに、保険料を抑えることが可能です。
もちろん保険料払込期間中に保険を解約してしまえば、元本割れを引き起こしてしまいますので、保険期間の設定と解約には注意が必要です。
外貨建ての終身保険を利用する
外貨建ての終身保険も最近では学資保険の代わりに用いられています。
保険料の払込期間を子どもが進学するタイミングより前に設定しておいて、解約返戻金を学費として利用する方法が主に用いられています。
外貨建ての終身保険は、支払った保険料を外貨に変換して、外貨の金融資産を利用して運用を行います。
日本円よりも金利が高いこともあり、円建ての保険に加入するよりは効率的に運用できます。
しかし運用を進めるには為替手数料を支払う必要があります。
また円安や円高など、市場の影響も受けやすいので、注意が必要です。
投資に明るくない方は、外貨建ての終身保険はハイリスクであると言えるでしょう。
注意!使い込みが不安なら学資保険を契約しておいた方が無難
子供のために学費を貯蓄するのも計画的で問題はないのですが、使い込みが心配になりますよね。
進学のタイミングや突発的に子供にお金がかかることもありますので、途中でついつい引き出して「後で戻せば大丈夫」と考えてしまうこともあります。
使い込みが不安なのであれば、学資保険を契約しておいた方が無難です。
上述した通り、学資保険では一度支払った保険料は祝い金や満期でなければ、手元に戻すことはできません。
過去に貯金からついつい使い込んでしまった経験がある方は、学資保険で万が一に備えておきましょう。
もしも学資保険に加入するのであれば、以下の内容を踏まえて検討してみてください。
- 目的に応じて満期を設定する
- 返戻率を上げるために保障は最低限に
- 学資保険以外でも学費を工面しておこう
以下で詳しく解説していきます。
目的に応じて満期を設定する
目的に応じて満期を設定していきましょう。
学資保険では満期を18歳~22歳の間に設定するのが一般的です。
子供の大学進学費用のためにお金を貯めたいのであれば、18歳を満期に設定しましょう。
もしも小中高で子供の進学タイミングに合わせて、保険金を受け取りたいのであれば、祝い金のある学資保険を選択しましょう。
学資保険で貯める目的を軸に保障を決定していけば、必要な時に合わせて受取が可能です。
また注意してほしいのは大学進学時に保険金を受け取るパターンです。
大学進学時には入学前に学費の納入が行われます。
一気に数十万円単位が動くことになるので、最速でも3年生の1月までに用意しておきましょう。
また推薦入試を受けるとなると、さらに前に学費の納入が必要になりますので、注意が必要です。
返戻率を上げるために保障は最低限に
学資保険野課題として挙げられる返戻率は、学資保険につける特約を最低限にすることで抑えられます。
学資保険では死亡保障を手厚くできる特約がありますが、その分支払う保険料が高くなってしまいます。
追加で支払っている保険料は保障分にのみ適用されますので、将来受け取れる保険料には加算されません。
子供の学費を貯める目的で学資保険に加入するのであれば、保障は必要最低限にとどめておくことで、実質的な返戻率の低下を引き留めることが可能です。
学資保険以外でも学費を工面しておこう
学資保険以外でも学費面を工面しておくことも重要です。
学資保険があるから大丈夫といって放置していると、子供の進路によっては費用が足りなくなってしまうことがあります。
お子さんが文系の大学を選べば問題ないのですが、理系の大学を選択すると予想以上の学費がかかってしまうんです。
文系の私立大学を選択した場合、年間100万円程度で済みますが、理系の大学を選択した場合は150万円以上かかることもあり、その差は約50万円になります。
また理系の大学になると実習費用も必要になるので、実験の多い学部を選ぶとさらに費用が掛かります。
学資保険に全面的に頼るのではなく、貯蓄など他の方法と組み合わせていきましょう。
学資保険は子供が小学校入学のタイミングまででないと加入できない
実は学資保険は一般的に子供が小学校の入学のタイミングまで出ないと加入が認められません。
学資保険は支払った保険料を加入期間中に運用して、目標の保険金額になるまで運用してくれます。
最低でも18歳までには保険金を受け取ることを考慮すると、子供が小学校入学前でないと運用期間が確保できずに支払った保険料よりも支払われる保険金額が少なくなってしまうのです。
後から加入しようとしても、生命保険会社から加入を断られてしまうことになりますので、注意が必要です。
学費の貯め方がわからないなら保険のプロに相談してみよう
学費の貯め方がわからない、自分がどの方法で学費を貯めるべきか迷っている方は、保険のプロに相談してみる事をおすすめします。
ファイナンシャルプランナーや保険相談窓口に相談してみると、皆さんに合った方法をアドバイスしてくれます。
両方とも無料で相談に対応してくれるところがありますので、保険のプロに相談してみる事も検討してみましょう。
保険相談窓口で相談した場合は、各自に合った保険を紹介してくれることもありますので、積極的に活用してみてください。
学資保険がいらないと感じたらまずは方法から探してみよう
いかがでしたか?
学資保険がいらないと感じた場合は、まず他の方法で学費を貯められるかを確認しておきましょう。
また自分で仮に貯めることになった場合、どの程度をカバーできるのか、どの程度最終的に学費が必要になるかを確認しておくことをおすすめします。
もしも自分に合った方法がわからない場合は、保険のプロに相談してみましょう。