「生命保険に入らない方がいい」という言葉を聞くことがありますが、本当に入らない方がいいのでしょうか?
日本の成人の8割が生命保険に入っていますが、その多くの人が「入るのが当たり前だから」という理由で入っています。
この記事では、生命保険に加入すべきかの判断基準について紹介します。
生命保険の基本的な役割・生命保険に入らない方がいい人の特徴・生命保険に入らない方がいいと言われる理由などについて詳しく解説します。
生命保険に加入すべきか悩んでいる人や、保険の見直しを考えている人はぜひ参考にしてみてください。
目次
生命保険の基本的な役割と意義
生命保険の基本的な役割と意義は以下のとおりです。
- 生命保険の仕組み
- 保険料と保険金のバランスがある
- 家族や扶養者を守るためのツール
それぞれ詳しく解説します。
生命保険の仕組み
生命保険には終身保険と定期保険があります。
終身保険の保障は一生涯で、何歳で亡くなってもその時点で保険金が支払われます。
保険料の支払期間が選択でき、一生涯払い続けるか60歳や65歳など退職のタイミングまでに支払を終えるか選択できます。
終身保険は解約するとお金が戻ってくるものが多いですが、保険料は一定で加入時のまま変わりません。
そのため保証期間が長い分、保険料は高額になり、定期保険は10年・20年など一定期間のみ保障されます。
保障を伸ばしたい場合は、契約の更新が必要です。
更新すると保険料は上がり、定期保険は原則保険料が掛け捨てで、解約返戻金はほぼありません。
終身保険に比べると定期保険は保険料が安くなります。
保険料と保険金のバランスがある
もしものことを考えると保障額は高ければ高いほどよいと考えてしまいますが、保障が高いと月々の保険金は高くなります。
亡くなったときに必要な金額は人によって変わります。
子供が小さければ保障額が高い方がよいですが、子供が社会人になっていれば保障額はあまり必要ありません。
必要な金額を想定して、月々の保険料が家計の負担にならないものを選びましょう。
また、保険には特約をつけられますが、特約が多ければ保険料は上がります。
保険料と保険金のバランスを考えて保険を選びましょう。
家族や扶養者を守るためのツール
生命保険とは、自分が死亡した後に保険金の受取人として指定した人にお金が支払われる保険です。
そのため、配偶者や子供を受取人として、万が一自分が亡くなった後に子供の教育費や家族の生活費が足りなくならないために利用します。
日本は公的保障が充実しているので、実際世帯主が亡くなった場合、世帯主が健康保険に加入していれば遺族年金が受け取れます。
公的な保障を受け取っても足りない分の資金を保険金でまかなうために生命保険を利用するとよいでしょう。
生命保険に入らない方がいい人の特徴
生命保険に入らない方がいい人の特徴は以下の3つです。
- 若く、健康で、扶養家族がいない場合
- すでに十分な資産や資金を有している場合
- 他の保険契約でカバーされている場合
それぞれ詳しく解説します。
若く、健康で、扶養家族がいない場合
先に述べたように、生命保険は万が一自分が亡くなった後に残された家族の生活費が足らなくならないために利用するものです。
そのため、扶養家族がいない場合は入らない方がいいです。
また、若くて健康な人はこの先扶養家族ができる可能性があっても、働いて資産や資金を用意できるので必要ありません。
すでに十分な資産や資金を有している場合
扶養家族がいる人でも、すでに十分な資産や資金を有している場合は、生命保険の保障が必要ないので入らない方がいいです。
ただし、持っている資産や資金の使い道が決まっている場合や、資金を使ってしまう可能性がある人は当てはまりません。
他の保険契約でカバーされている場合
養老保険に入っている場合や、医療保険に死亡保障がついている場合は生命保険に入らない方がいいでしょう。
生命保険の死亡保障は複数の会社に加入していた場合、それぞれの会社で受け取れます。
しかし、その分支払う保険料は上がります。
また、受け取る手続きはそれぞれの会社で必要になるため、残された家族の負担が増えます。
また生命保険の死亡保険金は課税の対象です。
複数の会社から受け取れば、税金を支払う手続きも、より大変になります。
生命保険に入らない方がいいといわれる理由
生命保険に入らない方がいいといわれる理由は以下の3つです。
- 高すぎる保険料と不要な特約
- 誤解されやすい給付内容
- 不明確な契約内容や条項
それぞれ詳しく解説します。
高すぎる保険料と不要な特約
解約時に返戻金が受け取れる終身保険は保険料が高くなります。
また、特約を付けすぎても、保険料は高くなり、特約の保障内容は種類が多く、保険会社によって保障範囲が異なります。
よくわからず勧められるまま特約を付けてしまったり、他の保険と重複している特約をつけたりしていることもあるでしょう。
そのため、保険料が高くなり、実際に受け取る保障額に比べると無駄な保険料を毎月支払うことになります。
誤解されやすい給付内容
国民生活センターによると毎年5000人以上の人が生命保険で騙されたと感じて相談をしています。
主な相談内容は、保険会社担当の説明不足や、告知に関すること、解約返戻金についてなどです。
説明不足や、担当者の説明を聞いてたくさん給付金がもらえると誤解して契約した人が、実際は給付金を思ったより受け取れなかったり、解約返戻金が少なすぎて騙されたりしたと感じています。
不明確な契約内容や条項
生命保険の契約内容を定めたものを約款といいます。
約款には契約者の保険料の支払や告知・通知の義務、保険会社が保険金を支払う場合の条件や支払額などが記載されています。
約款には免責事項が書かれていて、支払事由に該当しない場合、保険金が受け取れない場合もあるでしょう。
しかし、契約者に渡される約款は小さな字で専門的な言葉が並んでいて、内容がわかりにくいことが多いです。
生命保険加入の際の正しい判断基準
生命保険加入の際の正しい判断基準は以下のとおりです。
- 現在の生活状況と将来の見通し
- 他の金融商品との比較
- 保険の見直しと更新の重要性
それぞれ詳しく解説します。
現在の生活状況と将来の見通し
保険は万が一のときに備えて入るものです。
妻が専業主婦で、子供が小さければ、夫が亡くなった場合の保障額は多い方がよいでしょう。
しかし、共働きや子供が大きければ、そこまでの保障額は必要ありません。
また、今は専業主婦でも子供が小学校に上がれば、働こうと思っている場合や既にある程度の資産・資金がある場合は生命保険の保障額や生命保険に加入する必要があるかは変わってきます。
現在の生活状況と将来の見通しから本当に生命保険に加入すべきか、加入するのであればいくらの保障が必要かを判断しましょう。
また、保険料が家計の支出の10%を超えている場合は、家計に対して保険料の負担額が多すぎる可能性があるので気をつけましょう。
他の金融商品との比較
生命保険を老後資金の備えとして入る人もいます。
しかし、その場合は他の金融商品と比較して選ぶようにしましょう。
終身保険に解約返戻金がある場合、満期より前に解約すると返戻金がそれまで支払った保険料の総額より少なくなる場合もあります。
また、支払額より多い金額が返ってくる場合でも、同じ金額を他の金融商品で資産運用した場合の方が多くなることもあります。
他の金融商品と比べて生命保険の方が老後資金の備えとして優れていると判断できるか、しっかり比較して選びましょう。
保険の見直しと更新の重要性
死亡保障はその人のライフステージによって必要な金額が変わります。
子供が誕生すれば死亡保障は増やした方がいいですが、子供の教育費の心配がいらなくなれば死亡保障は減らした方がいいでしょう。
現在の自分の生活状況と、将来の見通しはその都度変わるものなので、保険の見直しと更新が重要です。
生命保険以外のリスクヘッジ方法
生命保険以外のリスクヘッジ方法は以下の3つがあります。
- 資産の分散投資
- 健康と医療の予防策
- 緊急時の資金計画
それぞれ詳しく解説します。
資産の分散投資
残された家族の生活を守るために生命保険は大きな助けとなります。
しかし、生命保険以外でも死亡リスクに備える方法はあるので、資産の分散投資をしましょう。
資産は貯蓄だけではなく、株・債権・投資信託・金などがあり、所有者が死亡した場合、配偶者や子に相続されます。
貯蓄は元本割れのリスクはありませんが、今の日本では金利がほとんどつかないため、そのままでは資産が増えることはありません。
株や投資信託はリスクはありますが、配当金がもらえます。
債権や金も値上がり益が得られる可能性があります。配当金や値上がり益が得られる権利も相続されます。
金融商品のリスクは分散させることで減らせるので、資産は分散投資するのがよいでしょう。
健康と医療の予防策
健康を維持することは、一番のリスクヘッジ方法です。
健康であれば、突発的な事故や災害以外での死亡は避けられ、医療にかかる費用も抑えられます。
生活習慣を整え、食事に気をつけ、適度な運動をして健康を維持しましょう。
また、定期的に健康診断や人間ドックに行き、病気の早期発見ができるようにしましょう。
日本人の三大死亡原因の一つであるガンは、早期発見であれば簡単な手術で治せます。
身体の健康だけでなく、心の健康も大切です。
近年、心の病気を発症し、仕事にいけなくなる人が増えています。仕事に行けないと収入が止まってしまうので、心身ともに健康でいられるよう心がけましょう。
緊急時の資金計画
世帯主の死亡や、離職により収入が止まる場合に備えて、緊急時の資金計画をしておきましょう。
この場合は、先に述べた株や債権のようにすぐに現金に変えられないものは含まない方がよいです。
緊急時の資金は、1か月にかかる生活費を最低3か月分〜1年分の現金を貯蓄しておくとよいでしょう。
生命保険に入らない方がいいかは状況に応じて判断しよう
今回は生命保険に加入すべきかの判断基準について紹介しました。
「生命保険に入らない方がいい」という意見はあるものの、実際は日本の成人の8割以上が生命保険に加入しています。
周りの人が入っていると、自分も入った方がいいのではないかと思う人もいるでしょう。
しかし、入った方がいいかどうかは、その人の状況によって変わります。
扶養家族がいない人や資産が十分にある人は入る必要はありません。
将来の貯蓄のためにと勧められて入る人もいますが、その場合他の金融商品と比較して月々払う保険料と将来受け取る保険金を把握して選びましょう。