保険営業をやっている友人や親せきから「保険料は自分が払うから保険の加入名義だけ貸して!」と言われたそこのあなた。
かわいそうだから名義だけでも貸してあげようと思ってはいませんか?
実は生命保険の名義だけを貸して、保険会社の人間が保険料を支払うのは、保険会社のコンプライアンス違反になります。
営業担当者に処分が加えられるほか、自分にもデメリットが降りかかってくるのです。
今回は保険営業から名義貸しを頼まれたときに降りかかるデメリットや、名義貸しを頼まれたときの断り方まで。徹底的に解説していきます。
目次
生命保険の名義貸しは処分の対象!契約しただけでデメリットに
生命保険の名義貸しは、名義を貸した側も保険を販売したい営業担当者も処分の対象になります。
具体的には以下の処分が課せられます。
- 保険担当が処分扱い
- 契約者といて保険会社から調査を受ける
- 保険の契約が解除になる
- 同じ保険会社で契約できなくなる可能性がある
以下で一つずつ解説していきます。
生命保険会社のコンプライアンス違反で保険担当が処分扱い
生命保険の名義貸しが発覚すると、生命保険会社からコンプライアンス違反として、名義貸しを頼んだ保険担当が処分を受けます。
保健会社によって対応は異なりますが、保険会社を懲戒解雇、あるいは保険の募集人資格の剥奪になることもあります。
生命保険は本来、保険が必要と感じたタイミングで、加入者自身のお金で加入するものです。
名義貸しをした保険の保険料を支払っているのは営業ですが、営業に保険契約に対してインセンティブを支払うのは保険会社になります。
本来の目的とは異なる加入方法になるため、保険会社としてもコンプラ違反をする営業担当者を社内で放置するわけにはいかないのです。
契約者として保険会社から調査を受ける
保険の名義貸しを頼んだ営業だけでなく、契約者として保険会社から調査を受けることもあります。
どんな経緯で名義を貸したのかなど、保険会社に詳細な情報を調査されることになります。
「名義を貸しただけなのに」と思うかもしれませんが、保険の契約をしている以上名義を貸すことに同意しているとして、当事者扱いになるのです。
契約に覚えがないと言っても、保険契約には支払に利用する口座など支払い先の情報提供が必要ですから、言い逃れは難しいでしょう。
保険の契約が解除になる
名義貸しが発覚すると、保険料を継続して支払ったとしても、生命保険の契約が解除されてしまいます。
契約した日にさかのぼって契約が無効になりますので、その間に発生した保険金支払い事由に関しては支払いが受けられません。
仮に保険の営業担当者が保険料をきちんと支払っていたとしても、保険料の返金は受けられません。
保険料を営業が支払ってくれるからと他の生命保険に加入しないままでいると、無保険状態になってしまいますので注意が必要です。
同じ保険会社で契約できなくなる可能性がある
保険の名義貸しが発覚してしまうと、同じ保険会社で契約できなくなってしまう可能性があります。
保険会社は年々コンプライアンスに厳しくなっており、問題のある加入者を記録していることもあります。
保険の名義貸しのトラブルが落ち着いた後で、同じ保険会社の商品に魅力を感じても、加入を断られてしまう可能性もあります。
保険会社によって対応が異なるものの、保障を選ぶ選択肢が狭まってしまうのは避けたいところですよね。
生命保険の名義貸しは営業のノルマ稼ぎで使われる
名義を頼んだ側にも貸した側にもデメリットの大きい生命保険の名義貸しですが、なぜそこまでのリスクを背負って、依頼するのか気になりますよね。
生命保険の名義貸しは実は、営業担当者のノルマ達成の最終手段として使われるからなのです。
生命保険会社では営業職に対して、保険商品の販売ノルマを課しています。
ノルマを達成できない担当者は、社内での評価が下がり、一定基準を下回ってしまうと営業職を退職せざるを得なくなります。
営業側の職を追われるのは避けたいですし、自分の給与にそのまま反映されますので、ノルマの達成に躍起になるのです。
名義があれば保険契約は成立しますので、一時的にノルマが達成できるのです。
保険の名義貸しでよくある流れ
「保険の名義を貸してといわれたけど、保険料を払ってくれるといわれている」と相手を信じたくなりますよね。
しかし保険の名義貸しでは、最終的には保険料の払い込みがストップして、自腹で保険料を支払うことになります。
生命保険の名義貸しでよくある流れは、以下の通りです。
営業によって口座に保険料が振り込まれる
生命保険の契約が完了した後は、営業によって口座に保険料が振り込まれます。
毎月の保険料が振り込まれますので、振り込まれた分をそのまま保険会社の振り込みにします。
一定期間は保険料の振り込みが継続されるケースが多いようです。
名義貸しを継続すると営業からの口座振り込みがストップする
名義貸しを継続してある一定の期間が経過すると、営業からの口座振り込みがストップすることがあります。
理由は様々ありますが、特に多いのが保険の早期解約ペナルティの対象期間が過ぎた後です。
生命保険の営業はただ保険の契約を獲得すればいいだけではなく、一定期間加入を継続してもらう必要があります。
加入した人が短期で保険を解約してしまうと、営業担当者にペナルティとして減給、あるいは評価が下げられる可能性があります。
営業担当者が自分のペナルティ期間を過ぎた後、保険料の支払いをストップして、あとは放置することも。
また、保険の名義貸しを依頼する営業担当者は、あなただけではなく他の人にも名義貸しを依頼していることもあります。
名義貸しを依頼している=保険料を代わりに支払っていることに変わりはありませんので、営業の負担がどんどんかさんでいきます。
名義貸しをコントロールできなくなって、段々と保険料を振り込めなくなっていきます。
気づかないうちに保険契約が失効
生命保険会社では2か月連続で保険料の振り込みが確認されないと、保険契約の効力がなくなります。
そのまま保険料の払い込みが継続できないと、保険自体が強制解約になります。
生命保険の名義貸しをしているなら解約手続きが無難
上述した通り、生命保険の名義貸しをしていても、皆さんにメリットはありません。
過去に頼み込まれて名義貸しをしてしまっているなら、すぐに解約手続きを取り、保険が契約できないリスクを回避していきましょう。
保険会社に連絡して解約手続きを進める
通常は保険の営業に連絡して解約手続きをすすめますが、名義貸しを頼んできている以上、すぐに解約に納得してくれません。
むしろ短期解約になる場合は、解約を渋られる可能性もあります。
営業を介さずに保険を解約したいのであれば、保険会社のコールセンターに連絡して、解約書類を郵送してもらいましょう。
この際に保険会社によっては、営業担当者がうかがうと伝えてくることもありますが、営業担当者との面会を拒否してもOKです。
郵送されてきた保険の書類に情報を記入して、解約手続きを進めていきましょう。
契約から8日以内ならクーリングオフの利用が可能
契約から8日以内であれば、生命保険でもクーリングオフを利用できます。
クーリングオフであれば、そもそも保険の契約がなかったことになるので、営業担当者がペナルティを受けることもありません。
所定の書類に沿って記入して、保険契約の取り消しを行いましょう。
注意!解約後に保険営業とトラブルになる可能性がある
注意していただきたいのが、名義貸しを解約した後に保険営業とトラブルになる可能性があることです。
特に近親者や友人に頼まれて名義貸しをした場合には、今後の関係性が悪化することもあります。
また解約時に他の保険の提案を受けることもありますので、面倒に感じられるかもしれません。
ただし名義貸しを依頼してくる時点で、相手との信頼関係を築くのは難しいと考えてみてください。
大切に思っている相手を、自分のメリットのためにリスクを負わせるような関係は、今後も継続していけるでしょうか。
解約した後は距離を置くことをおすすめします。
名義貸し後に自分で負担した保険料の返金は認められないことが多い
名義貸しをして保険料を営業に振り込んでもらったものの、途中から振り込みがなされずに自分で負担する羽目になる方も多いです。
その後保険を解約しても、自分で負担した分の保険料は返金されません。
保険会社に名義貸しがバレていない状態で解約したなら、保険会社側からしたら営業が振り込んでいた分もあなたが支払っていた保険料と考えられています。
自分が負担した分があると言えど、保険会社に返金を求めることはできないので、注意が必要です。
解約返戻金がある保険の場合は払い戻しが受けられますが、保険料払込期間を過ぎていなければ元本割れで、支払った保険料よりも戻ってくる金額は少ないことがほとんどです。
生命保険の名義貸しを頼まれたら絶対に断るべき
いかがでしたか?
生命保険の名義貸しを頼まれたとしても、最終的には保険料を自分で負担する羽目になる可能性もあるため、絶対に断ることをおすすめします。
名義貸しで提案される保険の保障内容も、営業担当に有利になっていることも多いので、皆さん側には加入し続けるメリットが少ないです。
また、何らかの原因で保険の名義貸しがバレた場合、営業担当者だけではなく皆さんにも火の粉が降りかかります。
名義を貸すと同意しただけでもNGなので、自分のためにも相手のためにも、名義貸しは断ってくださいね!