住宅を購入すると火災保険に加入する人がほとんどだと思います。
火災保険の保険金は自然災害や火災等で損害が出たときに、その修理費用として支払われるもの。
そんな火災保険金は支払われると、税金がかかることを心配している人もいますが、税金がかかることはありません。
そこでこの記事では、火災保険の税金について解説します。
目次
火災保険金には税金はかからない!2つの理由
火災保険金を受け取ると、税金がかかることを心配している人もいます。
しかし火災保険金を受け取ることで税金はかかりませんので安心してください。
火災保険は、自然災害によって受けた損害を補填するための保険であり、利益が発生しないため、非課税となるのです。
火災保険は損害に対して支払われる実損分だから
火災保険は、自然災害や火災などにより住宅に損害が出た場合支払われるものです。
損害が出た箇所の修理をするため実損分を補填する目的で支払われる保険金です。
損害分以上の金額が支払われることはなく、あくまでも条件に当てはまる災害や火災でのときに、適切な金額だけが補償として受け取れるようになっています。
ちなみに火災保険で全損扱いとなり、立て直すための費用が保険金として支払われ、残ったとしても課税対象ではありません。
保険金で利益は発生しないから
損害分の補填目的で保険金が支払われるので、利益が発生しません。
通常、亡くなった人から財産を受け取ると「贈与税」がかかりますが、火災保険金に関してはその対象とならず非課税扱いとなるのです。
ちなみに同じ理由から自動車保険の車両保険で支払われた保険金など生活に必要な資産も非課税対象となります。
地震保険や自治体からの支援金も非課税
火災保険と同様に、住宅を購入した際に地震保険に加入する人が多いですよね。
最近は東日本大震災など大きな地震が多発しており、保険金支払い金額も大きくなっています。
そんな地震に備えるための地震保険で支払われた保険金も、同じように非課税の対象となります。
地震保険も火災保険同様に、災害によって生じた損害分を補填するためのものですので、課税の対象とはならないのです。
火災保険金が足りない場合は確定申告で控除を受けられる
被害状況が大きくなると、火災保険では補填出来ないこともあります。
足りなかった分の修理費用は実費となるのですが、確定申告をすることで雑損控除もしくは災害免除法を使い控除を受けられます。
このどちらかの、控除が大きい方を選択することができます。2つの控除について詳しく解説します。
雑損控除
雑損控除は、災害だけでなく盗難や横領と言ったような損害を受けた場合に決められた金額で受けられる所得控除です。
適用されるのは、本人やその家族の日常生活に必要な住宅や家財・現金などに限定されています。
災害で住宅が被災し、家の解体費用・被害を拡大させないための工事費用も適用範囲となっています。
ただし贅沢品と見なされる30万円以上の貴金属や骨董品・別荘などは適応されません。控除額は以下に記したうち、控除額が大きい方になります。
- 差引損失額-総所得金額等×10%
- 災害関連支出額-5万円
ちなみに差引損失額とは「損害金額+災害関連費用-保険金などの損失補填金額」によって求めるこられます。
損失額が大きく損害が出た年だけでは控除しきれない場合には、3年間繰越すことができるようになっています。
災害減免法
災害減免法は、
災害によって受けた住宅や家財の損失金額(保険金などによって保険された金額を除く)がその時価の2分の1以上でかつ、災害にあった年の所得の合計額が1000万円以下のときに、その災害による損失額について雑損控除の適用を受けない場合は、災害免除法によりその年所得が軽減または免除される
(引用:国税庁公式HP「災害を受けた時の所得税の取扱い」)
というものです。
災害減免法により軽減または免除される所得税の額は以下の通りです。
所得金額の合計額 | 軽減又は免除される所得税の額 |
---|---|
500万円以下 | 所得税の額の全額 |
500万円を超え750万円以下 | 所得税の額の2分の1 |
750万円を超え1,000万円以下 | 所得税の額の4分の1 |
手続き方法等の詳しい情報は、国税庁のホームページに記されているので参考にしてみてください。
注意!火災保険金を全損で受け取ると契約解除になることも
火災保険は、設定した保険金額の上限を迎えるまで保険料が変わることなく保険を使える保険です。
しかし火災保険では、1階の事故で保険金全額あるいは保険金額の80%を超える金額が支払われた場合、損害を受けたときにさかのぼって契約が終了となります。
そのため契約途中で全損し住宅を立て直すと、新しい住宅は新規で火災保険に加入することになります。
住宅が全損した時点で火災保険は契約終了となるので、それ以降の事故は補償対象から外れるということを理解しておきましょう。
ちなみに地震保険は火災保険に付帯しているものなので、同様に契約が終了となります。
全損扱いとなったり、保険金額の80%に当たる損害を受けた場合には、新たに火災保険に加入することになるというのを覚えておきましょう。
火災保険で年末調整時の控除は受けられる?
生命保険等に加入していると、年末調整の対象となることはご存じの方が多いと思いますが、火災保険も同様に年末調整の対象となるのか?疑問に思っている人もいませんか。
結論から言うと、火災保険は年末調整の対象とはなりません。
そもそも年末調整とは、1年間の給与が確定するタイミングで、生命保険料や住宅ローン控除入れて再度税額を計算し直すことです。
再計算によって、追加徴収や還付などを受けることになります。
以前は損害保険控除というものがありましたが、税法改正によって年末調整の対象から外れました。
対象外となった締まった理由は、もともと年末調整の対象とした理由に火災保険をたくさんの人に認知させる目的がありましたが、最近は火災保険がポピュラーなものとなったためです。
火災保険料だけでは控除の対象にならない
火災保険だけでは控除の対象とはなりませんが、その代わり火災保険の保険金は非課税の対象となっています。
中には火災保険の契約者と保険金の受取人が別ということもありますが、その場合でも贈与税がかかることはありません。
年末調整の対象とはなりませんが、その他の部分で恩恵を受けていると言えるでしょう。
地震保険料のみ控除で申請できる
火災保険は年末調整の控除から外れましたが、付帯している地震保険に加入している場合は控除の対象となります。
控除の対象となっている理由は、火災保険が控除対象となっていた理由と同じで、たくさんの人に加入することを促すためです。
最近日本では地震が頻繁に起こっており、地震保険に加入する必要性は上がっています。
たくさんの人に地震保険に加入し地震に備えてもらえるように、控除対象とし加入促進をしているのです。
地震保険の控除金額は、所得税に対して上限5万円・住民税に対しては上限2万5千円となっています。
年末調整時の地震保険料控除って何?控除の手続きや仕組み・注意点を解説
火災保険金の税金は考えずに必要な時に請求しよう
火災保険は上限金額に達するまで、保険料が変更することなく保険金を受け取ることのできる保険です。
中には保険金を受け取ると税金がかかるのでは?と心配して保険金請求を躊躇していたという人もいませんか。
しかし火災保険金は非課税枠となっており、例え受取人と契約者が違っても税金がかかることはありません。
火災保険は災害等によってでた損害を補填するものであり、利益が出るわけではないからです。
税金の心配することなく必要な時に適切な金額を請求し、火災保険を活用しましょう。