賃貸でも火災保険に地震保険を付けるべき?必要性や注意点を解説

2000年以降、震度5以上の地震が発生する回数が増え、2011年には東日本大震災により東北を中心に多大な損害が発生しました。

南海トラフ地震の発生確率が年々上がっていることからも、今後いつ巨大地震が起こるか予測もつきません。

最近ではもしも地震が起きた場合に備えて、地震保険に加入する人も増えてきました。

賃貸物件にお住まいの方の中にも、

「賃貸でも地震に備えて保険に加入しておいたほうが良いかな…?」

と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

ですが地震保険は持ち家に掛けるイメージがある方もいるでしょうから、賃貸でも加入する必要性はあるのか気になりますよね。

そこで今回は、賃貸でも地震保険に加入すべきかを、必要性や加入時の注意点も交えてわかりやすく解説していきます。

地震保険ってそもそも何?

地震保険とは、その名の通り地震が原因で発生した家屋・家財の損害に対して補償を受けられる保険のことです。

そのため地震による揺れにより、家屋が損傷あるいは倒壊、津波で流されてしまった場合には契約した保険金に応じて補償されます。

また地震による損害のみではなく、火山の噴火による損害も補償してもらえます。

火災保険では地震の保障がついていない

「家の損害なんだったら火災保険で十分じゃん」

こう考える方もいますよね。

確かに火災保険は原因が火災でなくとも、家の損害であれば基本的に補償を受けられます。

しかし唯一、地震と火山の噴火による保障だけがついていないんです。

日本は地震大国であり、地震や火山の噴火による被害は通常の損害よりも甚大なものになる可能性があります。

火災保険がすべてカバーしていてはキリがありませんので、火災保険に地震保障が含まれていないのです。

保険料や保障はどの保険会社でも一定

地震保険は各保険会社と国が共同で提供している保険です。

そのため、どの会社の地震保険を選んでも保険料や保障内容に違いはありません。

支払われる保険金は、加入している火災保険の30%~50%程度と決まっています。

また、加入している火災保険の保険金額が高額だとしても、家財1000万円、家屋5000万円までしか保障を受けられません。

もしも大地震により損害が予想外に大きく、保険会社が手に負えないほどの保険金が同時に発生した場合には、国が代わりに補償してくれます。

しかし上述した通り、国と保険会社が共同で運営しているため「実損をそのまま保障する」というよりは、震災後の生活を保障する目的で保険金が支払われます。

支払われた保険金で再度同じ規模の家を建てるのは難しいでしょう。

地震保険単体で加入できない

地震保険はそれ単体で加入することができません。

住んでいる家に掛けている火災保険に付帯する形で加入できます。

一般的に入居時に火災保険に加入すると同時に、地震保険への加入を進められることが多いです。

火災保険と同様に、家屋と家財あるいは両方を保障してもらえます。

賃貸でも火災保険に地震保険を付けるべき?

賃貸でも火災保険に地震保険を付帯すべきといえます。

しかし賃貸物件に住んでいる場合には、大家さんが家屋に関しては保険に加入していることが多いので、家財のみに保険をかけるだけでも良いでしょう。

持ち家のように、地震で倒壊や津波で流されてしまったとしても、ローンが残るということはありませんので被災後の生活に関してはさほど心配する必要はないでしょう。

しかし賃貸物件となると、高層化しがちですから地上で感じるよりも大きな揺れになりがちです。

もしも巨大地震が起きた場合には、家の中の家財がめちゃくちゃになる可能性も。

中には生活に必要な冷蔵庫、洗濯機などの高額な家電が壊れてしまうこともあるかもしれません。

もちろん買いなおさなければなりませんから、数十万円を用意しなければならない可能性も。

もちろん貯蓄している人や、ローンを組んで購入できるのであれば問題ないのですが、やはり手痛い出費になってしまいます。

そのため賃貸であってももしものために、火災保険に地震保険を付帯しておくことが必要になるのです。

賃貸での地震保険の保障内容・保険料は?

賃貸での地震保険の保障内容や保険料は、持ち家で加入する地震保険とさほど変わりはありません。

しかし地震保険は他の保険ほどメジャーではありませんから、中には加入した場合どの程度補償を受けられるのかがイメージしづらいという方もいるでしょう。

そこで以下では、地震保険の保障内容や保険料について紹介していきます。

家財は元の値段によって保障できるかが変わる

地震保険ではすべての家屋や家財が保障できるわけではありません。

上述したように地震保険は、震災後の生活の安定を目的として運営されていますから、国の場合は実際に加入者が住んでいる家屋のみに適用されます。

また家財においては、ブランド品は1点でも高額になってしまうものもありますので、自動車や1つの価格が30万円を超えてしまうものは補償されません。

保険金支払額は損害度によって変わる

保険金支払額は実際に損害を受けた度合いによって変動します。

保険会社の判断により、どれだけ補償してもらえるのかが変わりますので、注意しましょう。

全損なら保険金額の100%が支払われる

家屋の場合、家の主要な部分の損害額が建物の時価総額50%以上だった場合、あるいは地震による火災や津波で床面積が70%以上なくなった状態が該当します。

家財の場合は、地震や津波等で損害を受けた額が、保険適用されるすべての家財の時価のうち80%を占めている状態が該当します。

条件を満たすことで、それぞれで契約している地震保険金額を満額受け取ることができます。

しかし購入時の金額がそのまま支払われるわけではなく、損害を受けた当時の時価で判断されてしまうため、保険金で同じものをすべて購入しなおせません。

大半損なら保険金額の60%が支払われる

家屋の場合、全損と同様に家の主要部分の損害額が建物全体の時価総額のうち40%~50%だった場合あるいは地震による火災や津波で床面積が50%~70%亡くなった状態が該当します。

家財の場合は保険適用できる家財の時価総額のうち、損害を受けた家財の時価総額が60%~80%の状態が該当します。

小半損なら保険金額の30%が支払われる

家屋の場合、家の主要部分の損害額が建物の時価総額の20%~40%、あるいは床面積が全体の20%~50%になってしまった時が該当します。

家財の場合は、全体の時価額の30%~60%が損害を受けた状態が当てはまります。

一部損なら保険金額の5%が保障される

家屋の場合、家の主要部分の損害額が建物の時価総額の3%~20%、あるいは床上浸水、地盤より45㎝以上の浸水があった状態が該当します。

家財の場合は、全体の時価額の10%~30%が損害を受けている状態が当てはまります。

保険料は地域ごと、構造ごとに変わる

地震保険の保険料は地域ごとや構造ごとに変わります。

構造においては「イ、ロ」の2つの区分が設けられています。

イ構造はコンクリートや鉄骨で作られている建物、ロ構造は木造の建物が該当します。

もちろんイ構造の方が耐震性も強く、倒壊の可能性も比較的低いため保険料も低く設定されています。

ロ構造は地震で全損と認められる可能性が高いため、イ構造より4000円~15000円程度高くなることもあります。

また、地震の発生が今後見込まれる地域や人口が集中している地域など、地域ごとの特色に合わせて保険料も変動します。

耐震設計の場合割引が受けられる場合も

地震保険では耐震設計が施されている住居の場合、保険料の割引を受けられます。

法律上、免震建築物と認められている場合は50%、耐震等級を有している建築物の場合は、等級が高い順に50%、30%、10%の割引を適用できます。

また耐震診断を受診して基準を満たしている場合、あるいは1981年6月1日以降に建築された建物の場合は、10%の割引が受けられます。

地震保険料控除が適用される

地震保険に加入すると、持ち家賃貸関係なく地震保険料控除を適用してもらえます。

地震保険料控除を受けることによって、年末調整や確定申告の際に税金が戻ってくることになります。

日本は地震大国ですから、国が震災での生活保障のためにと加入を推進させるために設けた制度です。

通常火災保険だけに加入している場合には税控除は受けられませんので、地震保険の加入者の特権といえるでしょう。

賃貸でも地震保険に加入するときの注意点

上で紹介してきたように、賃貸でも地震保険に加入していれば家財が損傷してしまった場合でも買いなおすための資金を確保できます。

しかし賃貸の方が地震保険に加入を検討する際には、以下の3つの注意点を把握しておく必要があります。

地域によっては保険料が高いところも

上述したように、地震保険は地域や建物の構造ごとに保険料が変わります。

そのため地震の発生確率の高い地域や、人口が密集している地域は他の地域よりも保険料が高くなる傾向にあります。

特に人口密集地域は、高層化している賃貸物件が並んでいることも多いですから、地震が起きた際は家財が損害を受ける可能性も大きいでしょう。

現状、保険料が特に高額(1万円以上)なのは以下の地域です。

  • 関東:東京・千葉・埼玉・神奈川・茨城・宮城・山梨・静岡
  • 関西:大阪・愛知・三重・和歌山・徳島・高知・香川・愛媛・大分・宮崎・沖縄

2019年に地震保険料は改定されたばかりですが、今後も改定される可能性は十分にあります。

火災保険料が高くなる

実は地震保険は火災保険と同時に徴収されることになってしまいます。

そのため火災保険だけに加入しているときと比べると、保険料が割高になってしまいます。

それこそ、上記で紹介したような地域にお住まいの方は、保険料が上乗せされてしまうので、経済状況と必要な保障を考慮して加入をするか検討する必要があります。

追加で加入できない場合も

通常地震保険は火災保険に特約として付けるものですから、単独では加入できないとお伝えしました。

しかし保険会によっては、火災保険の保険期間中に「やっぱ地震保険付けよう」と保険会社に申請してもそもそも地震保険の取り扱いが無いなんてことも。

その場合は一度解約して、他の保険会社で再加入するほかありません。

火災保険は解約時に違約金は発生しませんが、再加入手続きで手間がかかってしまうかもしれません。

賃貸でも必要に応じて地震保険に加入しよう

いかがでしたか?

地震大国とまで呼ばれる日本では、いつ巨大地震に見舞われるか想像もつきません。

家の損害を保障してくれるはずの火災保険では、地震による損害のみ保障対象外となってしまいますので、特約として地震保険を付帯することをおすすめします。

特に高層化しやすい賃貸では、地上よりも揺れを強く感じやすいですので、家電や家具などの家財に損害を受けやすいです。

そのためもしものために備えて賃貸でも家財には地震保険をかけておいた方がいいでしょう。

国が加入を推進しているので、税控除や保険料割引が手厚く用意されている反面、地域の特徴や建物の構造によって保険料が変動することには注意が必要です。

ですが加入しておいて損はありませんから、お住まいの地域の地震発生確率等を参考にして、加入を検討してみてくださいね。

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