子供が成長して大学まで行くと仮定すると、すべて公立で進んだとしても1000万円程度かかるといわれています。
進学のたびに資金を出せるのであれば問題ないのですが、そうはいかないご家庭も多いと思います。
学資保険は高額な子供の教育費用を貯める保険として知られていますが、中には「貯金で貯めていった方がいいのでは?」と疑問に思っている方もいるでしょう。
そこでこの記事では、子供の教育費を貯めるのは学資保険と貯金どちらが良いのかを、双方のメリット・デメリットを用いて解説していきます。
目次
子どもの学費はいつまでに・いくらくらいまで貯めておけば安心?
子どもの学費はいつまでにいくらぐらい貯金する必要があるのか分からなければ、学資保険にせよ貯金するにせよ今後の見通しが立たないので不安ですよね。
子どもの学費に関して学資保険に加入・貯金のどちらを選択するか考える前に、そもそも子どもに必要な学費の総額はいくらか、学費はいつまでにいくらくらい貯めると安心なのか以下で見ていきましょう。
子どもに必要な学費の総額はいくら?
子どもに必要な学費はいくら必要なのか気になりますよね。
一般的には幼稚園へ入園〜大学卒業までのスパンで考える必要がありますが、私立と国公立のどちらに通うかによっても学費に違いが出てきます。
そもそも世間一般的に私立と国公立それぞれの教育課程において、どちらに通っているのか気になりますよね。
文部科学省が発行している「学校基本調査令和3年度結果の概要」をもとに算出した結果、各教育課程における私立と国公立に通っている割合を以下の表にまとめました。
国公立 | 私立 | |
幼稚園 | 13.2% | 86.8% |
小学校 | 98.7% | 1.3% |
中学校 | 92.4% | 7.6% |
高等学校 | 66.4% | 33.6% |
大学 | 21.9% | 78.1% |
表を見ても分かる通り幼稚園と大学は私立に通い、小学校・中学校・高校は国公立に通う傾向があるようです。
表の結果を元に学費を算出すると総額約11,000,000円かかります。(文部科学省「結果の概要平成30年度子どもの学費調査」「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」参照)
学費はいつまでに・いくらくらい貯めると安心?
幼稚園へ入園〜大学卒業までにかかる学費は約11,000,000円かかることが分かりましたが、学費に関しては一気に上記の金額が必要と言うわけではなく、長い目で見た時に学費として必要となる金額です。
よって長期に渡り学費を用意していけば問題ないと捉えられますが、目安としていつまでにいくらくらいの学費を用意すれば良いのか気になりますよね。
一般的には大学進学時が一番学費がかかる時期であるため、大学進学時までにはある程度の学費を準備する必要があるでしょう。
文部科学省の調査によると私立大学の文科系に入学する場合、入学時に入学金・初年度の授業料・設備の総額約119万円が必要になり、入学後も毎年授業料と設備費で約96万円学費にかかると言われています。
したがって4年生の大学に通うとなると入学から卒業までにかかる学費は総額400万円以上となります。
各家庭の経済状況によって貯めるのが困難といったケースもあると思いますが、大学入学までにある程度の学費は貯めておいた方が賢明であると言えますね。
早い段階から私立の学校に通わせた場合は、さらに学費がかかるため早い段階から学費を貯めるようにしましょう。
学資保険で教育資金を貯める3つのメリット
学資保険で教育資金を貯めるメリットは、大きく分けて以下の3つに分けられます。
- 返戻率が貯金より高いので貯まりやすい
- 月々定額支払いだから計画的に貯められる
- 契約者が死亡すると保険料の払込免除が受けられる
以下で詳細を解説していきます。
返戻率が貯金より高いので貯まりやすい
学資保険では「返戻率」といって、支払った保険料が最終的に保険金として受け取るときに、どれだけ増えているかを表す割合が設けられています。
返戻率が高いほど将来受け取れる保険金が多くなるのですが、学資保険は貯金よりこの割合が高いため効率的に資金を増やすことが出来ます。
一般的に日本の学資保険の返戻率は108%といわれていますので、月々の支払いを守っていれば、目標金額を貯めるのは容易でしょう。
月々定額支払いだから計画的に貯められる
学資保険では契約時に決めた金額を月々支払うシステムになっています。
そのためお金を貯めるのが苦手な人であっても、コツコツ地道に貯めていけるのです。
保険料の支払いが滞ると解約する可能性がありますので、「確実に支払う必要がある」という制約感があるのも貯金が苦手な人向けであるといえるでしょう。
契約者が死亡すると保険料の払込免除が受けられる
学資保険では特約の一つとして、保険を契約した人が死亡すると、それ以降の保険料の支払いを免除してもらえます。
子供を育てている最中でも、親が病気や事故などで死亡してしまう可能性は大いにあります。
一般的に学資保険の契約者は、一家の大黒柱である父親であることが多いですから、父親が無くなってしまった場合家計へのダメージが大きく保険料支払いどころではなくなる可能性があります。
特約として保険料支払い免除を付けておくことで、もしも契約者死亡で家計に変化が生じても、保険料支払いが免除されたまま、保険の加入を継続できます。
もちろん契約当初に決めた祝い金や満期金も通常通り受け取れます。
学資保険で教育資金を貯める5つのデメリット
学資保険で教育資金を貯めるデメリットは、大きく分けて以下3つあります。
- 途中解約すると損をする場合がある
- お金が必要になっても途中でおろせない
- 加入できる年齢に制限がある
- 満期でも元本割れする可能性はある
- 学資保険会社が倒産した際全額保護はされない
以下で詳しく解説していきます。
途中解約すると損をする場合がある
メリットの部分で紹介した返戻率による資金増加は、あくまで満期まで保険料を支払った場合の話です。
学資保険を契約中何らかの事情があって途中で保険を解約すると、これまで支払った保険料の総額よりも低い金額を受け取ることになってしまいます。
返戻率は満期まで学資保険を継続した場合の割合になりますので、途中解約することで元本割れを起こして貯金するよりも損をしてしまうことがあるのです。
お金が必要になっても途中でおろせない
学資保険は途中でお金が必要になって一時的に引き出そうとしても、対応してもらえません。
契約の際に決めた祝い金支払いの時期にしか、保険金を受け取ることが出来ないので、急遽家計が苦しくなって一時的に保険金を利用しようとしても、貯金とは仕組みが異なるため引き出すことが出来ないのです。
どうしても必要な場合は保険を解約する手もありますが、上述の通り解約返戻金が支払った保険料よりも安くなる可能性があるため、おすすめできません。
子供の教育費の積み立てに利用できますが、通常の貯金と同じ感覚で利用してしまうと後で後悔することになります。
加入できる年齢に制限がある
学資保険は加入できる年齢に制限があることをご存じでしょうか。
保険料を定期的に積み立てて目標金額まで貯めていくというシステムのため、子供がある程度の年齢でなければ加入を断られてしまうことがあるのです。
「学資保険で大学資金を貯めるのは子供が成長してからでいいか」なんて思っていると、加入の意思があったとしても保険会社から加入条件に合っていないと断られてしまうことにもなりかねません。
一般的に学資保険に加入できるのは子供が小学生に上がるまでといわれています。
年齢制限内であっても、年齢が高くなればなるほど短期間で目標金額を貯めるために、保険料が高くなってしまいます。
小学生でも入れる保険もあるようですが、小さいときに加入させておくほうがメリットが大きいです。
満期でも元本割れする可能性はある
学資保険は貯蓄を重視したものと補償を重視したものがあります。
子どもの医療補償などの補償に重点を置いた学資保険では手厚い保障内容のため保険料も比較的高めに設定していますが、保険料が高い一方で満期時の返戻率は100%を超えるケースもあります。
しかし元本割れの可能性もゼロではないため注意が必要ですね。
学資保険に対して貯蓄性を期待するのであれば満期時の解約でも元本割れすることを頭に入れつつ、返礼率もしっかり確認しておきましょう。
学資保険会社が倒産した際全額保護はされない
自分が預金していた銀行が破綻した場合であっても預金保険制度が適用となり、元本1000万円と利息分は保障対象となります。
しかし学資保険を提供していた会社が倒産した場合は生命保険契約者保護機構によって一定の保障(責任準備金の90%まで保障)を受けられますが、全額補償とはなりません。
結果的にどこまで保障してもらえるかは、学資保険を提供していた会社の破綻状況によっても変わってきます。
さらに倒産した保険会社から引き継いだ学資保険の予定利率を、引継ぎ先の保険会社に下げられてしまう可能性もあるため、最終的に受け取れる保険金や解約時の返礼率が少なる可能性が高いでしょう。
貯金で教育資金を貯める3つのメリット
貯金で教育費を貯めるメリットは、大きく分けて以下の3つです。
- 家計の状況に応じて貯蓄できる
- 必要時に引き出せる
- 元本割れせずに額面通り教育資金に使える
以下で詳しく解説していきます。
家計の状況に応じて貯蓄できる
貯金は自分でどの程度口座に振り込むかを決められるので、家計の状況に応じて貯蓄できます。
教育資金を貯めよう!と思っていても、家や車を購入したり思わぬ高額な出費があったりした場合、貯蓄する金額を減らさなければならないケースもあるでしょう。
学資保険の様に決まった金額を振り込む必要がないので、柔軟性があります。
必要時に引き出せる
口座にコツコツ貯金していくのであれば、どうしても必要になった時一時的に引き出すことが出来ます。
学資保険のように決まった時にしか引き出せないというわけではありませんので、家計がピンチの時にも役立てることが出来ます。
しかし一時的に引き出した後に、出した分を別途用意しなければ貯金の意味がありませんので、計画的に利用するようにしましょう。
元本割れせずに額面通り教育資金に使える
学資保険では途中解約することで元本割れを引き起こすリスクがありますが、貯金では口座に振り込んだ分を額面通り教育費に活用できます。
通帳に記入された金額でどれだけ貯まっているかも確認しやすいですので、「たまっている」という実感も持てます。
貯金で教育資金を貯める2つのデメリット
貯金で教育資金を貯めるデメリットは大きく分けて以下の2つであると言えます。
- 計画性がないと目標金額を貯められない
- 親が死亡したら積み立てがストップする
以下で詳しく解説していきます。
計画性がないと目標金額を貯められない
貯金は自分で柔軟に金額を決められる一方で、計画性がないと目標金額を達成できない可能性があります。
コツコツ貯めていくのが苦手で「今月はいっか」とあきらめてしまうような人には向いていません。
少しでも自分に甘くしてしまう傾向があると自覚しているのであれば、学資保険で強制力を持った積み立てをしていくほうが良いでしょう。
親が死亡したら積み立てがストップする
貯金で教育資金を積み立てるとなると、親が死亡したらその時点で積み立てがストップしてしまいます。
特に父親が死亡してしまった場合には、稼ぎ頭がいなくなってしまいますから口座に入れるお金にすら困ってしまうことも。
学資保険では払込免除が受けられますが、貯金では死亡時に口座にあったお金をやりくりして教育資金に充てていかなければなりません。
学資保険と貯金どっちで教育費を準備すべき?
ここまで学資保険と貯金のメリット・デメリットを紹介してきましたが、ではどんな人がどちらを利用すべきかはっきりわからない!という方もいることでしょう。
以下では学資保険を利用すべき人・貯金を利用すべき人のそれぞれの特徴をご紹介しています。
学資保険で教育費を準備すべき人の特徴
学資保険で教育費を準備すべき人の特徴は以下の通りです。
- 貯金をするのが苦手な人
- 安定して保険料を支払える人
- 万が一に備えて死亡補償を受けておきたい人
学資保険では保険料を支払わなければ解約されてしまいすから、強制的に保険料を支払うことになるため、貯金をするのが苦手な人に向いていると言えます。
また大きい金額の保険料を毎月支払っていくため、保険料を支払っていけるだけの安定した収入源があることも重要です。
学資保険では契約者が死亡した時の保障を受けることもできますから、万一自分が死亡した時の保障を手厚くしておきたい人にも向いているといえるでしょう。
貯金で教育費を準備すべき人の特徴
貯金で教育費と準備すべき人の特徴は以下の通りです。
- コツコツ貯めていくことが得意な人
- 使い込む心配がないほど家計が安定している人
貯金で教育費用を積み立てていくには、計画性が重要になりますのでコツコツ貯めていくのが得意な人が利用すべきであると言えます。
また貯金をしていても使い込んでは意味がありませんから、使い込む心配アないほど家計が安定している人も利用すべきであるといえるでしょう。
もう一つの選択肢「外貨建て保険」って?
最近では学資保険と貯蓄だけではなく、外貨建ての保険で教育費用を貯める動きが出てきています。
外貨建て保険では支払った保険料を、保険会社が日本よりも利率の良い外貨で運用してくれるため返戻率が高く貯蓄性があります。
最近では学資保険の保険料が高くなり、返戻率が下がっているために大きな注目を集めているようです。
しかし返戻率が高い分為替リスクなどもありますので、リスクと利益を天秤にかけてから利用すべきかどうかを判断することをおすすめします。
二つ目の選択肢「低解約返戻金型終身保険」って?
低解約返戻金型終身保険は一般的な終身保険よりも解約返戻金が抑制される期間はあるものの、一方で保険料が格安となっている保険です。
解約返戻金が抑制される具体的な期間は保険料の払い込み期間であり、解約返戻金は通常の終身保険の70%の水準となっています。
低解約返戻金型終身保険は保険料の払い込み満了時に解約返戻金が上昇する特徴があるため、払い込み期間の設定次第では子どもの学費に充てることも十分可能ですね。
自分に合った方法で子供の教育資金を貯めていこう
いかがでしたか?
子供の教育資金を貯めるための学資保険ですが、わざわざ加入せずとも貯金だけで対応できることもあります。
双方のメリット・デメリットをよく検討したうえで、どちらが子どものために家計のために良いかを判断してくださいね。
もちろん外貨建ての保険に加入して資産運用しながら子供の教育資金を増やすのもアリですが、リスクも相応にありますので注意してくださいね。