子どもの将来のために学資保険を検討している人で、「とりあえず契約者と受取人は夫でいいだろう。」と安易に考えている人も多いのではないでしょうか。
家庭の経済状況によっては夫を契約者にするよりも、妻が契約者になった方がお得になる場合があります!
加入後の名義変更も可能ですが、手間がかかってしまうので加入時には誰を契約者にするのか慎重に検討してから決めましょう!
今回の記事では、名義を決めるための基準と、妻が契約者になった方がお得な事例をお伝えしていきます。
目次
学資保険においてメリットが大きくなる契約者を選ぶ基準
結論から言うと、何を優先するかによって契約者を選ぶ基準は異なります。
学資保険の基本的な役割として、教育費を貯蓄している「親」が亡くなってしまった場合の保障があります。
万が一の状況に備えて保障を手厚くするか、最低限の保障を得て保険料を抑えるのか、といった具合に選ぶ基準は他の保険と大きくは変わりません。
それぞれどんな基準で選ぶべきなのか2つのパターンをご紹介いたします。
収入が高い人が契約者になると「保障面」でお得!
収入が高ければ性別関係なく、男性でも女性でも「保障面」でお得になります。
後ほど詳しくご紹介しますが、学資保険において契約者が保険期間内に亡くなった場合や、植物状態の脳死状態になってしまった場合でも、継続して保障を受け続けられるという制度があります。
夫婦共働きでどちらにもある程度の収入があり、一方だけの収入でも生活ができる場合には問題ありません。
しかし、専業で家庭に入っている人が保険の契約者の場合には、収入源である人にもしものことがあっても、保険料支払いが免除されません。
収入源が無くなったにも関わらず、変わらず学資保険の保険料を支払い続けなければいけません。
特別な事情が無い場合は、収入が高い人が契約者になることで万が一の状態に備えることができるので、おすすめです。
年齢が離れている場合は若い人が契約すると「保険料」がお得!
保険に加入したら支払う必要のある「保険料」は基本的に年齢が若い場合や健康な場合は“安く”、高齢で健康リスクが高い場合にはそれに応じて“高く”なります。
保険料の金額が気になる人や、最低限の保障さえ受けられれば良いという人は年齢が若く健康的な方が加入した方が、保険料を安く済ませられます。
専業主婦・パートの妻が契約者になる時の2つのメリット
先ほどは共働きで、どちらも収入がある場合の基準についてお伝えしました。
ここからは、夫が収入源で妻が専業主婦、もしくはパート職員だった場合に妻が契約者になるメリット・デメリットの具体例をご紹介していきます。
女性が加入した方が男性と比べて保険料が安くなる!
先ほども簡単に説明しましたが、保険は基本的に年齢が若くて健康なほど、保険料が安くなります。
保険会社によっても異なりますが、一般的には男性よりも女性の方が生命保険の保険料は安くなります。
その理由は、日本の平均寿命が関係しています。
日本全体の平均寿命が女性の方が長いため、早く死亡するリスクが男性の方が高いことになるので、リスクの高い男性の方の保険料が高くなっています。
学資保険も死亡保障が付いたものなので、一般的な保険と同じく、相対的に健康リスクが高い男性は保険料が高く、健康リスクの低い“女性”は保険料が安くなります。
一般的に多いとされている、専業主婦やパート職員であれば、女性の方が保険料は安くなります。
年末調整で保険料の控除を受けられる!
学資保険は、年末調整や確定申告の際に「一般生命保険料控除」の対象となり、所得税と住民税がそれぞれ控除されます。
それぞれの年間控除額
- 所得税の場合:80000円
- 住民税の場合:56000円
上記の上限を超えてしまった場合には、控除の対象とならず税金を納めなければいけません。
学資保険以外の、死亡保険や養老保険の場合も「一般生命保険料控除」に該当するため、上限を超えてしまうことも少なくはありません。
例えば、家族の死亡保険等の保険料を夫が全て支払っており、年間の控除額上限を超えてしまうことが考えられます。
しかし共働きの場合は、契約者を妻に変えて、妻の名義で学資保険を契約すれば、夫と妻の2人分の「一般生命保険料控除」になるので、控除を受けられる可能性が上がります。
注意が必要な点としては、生命保険料控除の対象になるのは、実際に保険料を支払っている人なので、保険料を支払っている口座の名義も妻名義にしなければいけません。
妻の年齢が無い場合には、年末調整そのものが無く生命保険料控除を受けることもできないので、併せて注意が必要です。
学資保険で節税!一般生命保険料控除手続きの流れと注意点を紹介します
専業主婦・パートの妻が契約者になる時の2つのデメリット
先ほどまでは、専業主婦・パート職員の妻が契約者になる時のメリットをご紹介してきましたが、ここからはデメリットをご紹介していきます。
夫に万が一のことがあっても保障されない
契約をしていない夫に万が一のことがあった場合でも、別の保険に加入していなければ一切保障を受けられません。
契約者の名義だけ妻にしただけで、実際にお金を稼いで保険料を支払っているが夫の場合には、保険料支払いは免除されません。
保険料支払いが免除されないうえに、収入が無くなっているにもかかわらず、学資保険の保険料を支払う必要があります。
契約者と受取人が別の場合は発生する税金が異なる
契約者だけ妻にして、受取人を夫もしくはその反対の場合には、発生する税金が異なります。
後ほど詳しく説明しますが、発生する税金が「所得税の中の一時所得」、「所得税の中の雑所得」「贈与税」「相続税」の4種類が大きく分けて発生します。
それぞれ控除額が異なり、計算をする必要があるため、計画的な貯蓄が難しくなる可能性があります。
学資保険ってどんな保険なの?
学資保険を契約する時の、契約者を誰にするかの基準についてここまでお伝えしてきましたが、ここからはそもそも学資保険がどんな保険なのか詳しくご紹介していきます。
子育てに将来必要な教育費を準備するための保険!
「学資保険」は子どもの将来の教育費を準備しておくための保険で、子どもが一定の年齢に達した時に「学資保険金」を受け取れるという保険です。
当然のことですが、子育てをするには様々な種類のお金がかかります。
食事代や衣服の代金など様々なことにかかりますが、その中でも最も大きな割合を占めているのは学費だと言われています。
義務教育期間の「小学校」「中学校」、その他も「幼稚園」「保育園」「高校」「大学」などに通うことになれば、そのたびに入学金などのお金がかかります。
全て私立の「幼稚園」~「大学卒業」まで通わせると、教育費だけでも約2500万円がかかると言われています。
契約した両親のどちらかが亡くなった場合や、植物状態などの脳死状態になった場合には、その後の保険料支払いが免除され、その後も保障は継続するという仕組みもついています。
学資保険特有の3つの特徴
学資保険の概要についてお伝えしてきましたが、ここからは学資保険ならではの特徴を3つご紹介していきます。
まとまったお金が必要な入学シーズンに保険金を受け取れる
先ほども簡単に説明しましたが、子どもが学校に入学する時など、まとまったお金が必要な時に、「学資保険金」としてお金を受け取れます。
決まったタイミングで確実に受け取れるので、資金準備としての確実性が高いという特徴があります。
契約者にもしものことがあっても継続して保障を受けられる
契約者が無亡くなってしまった時に備えた機能もついているので、死亡保険としての役割も果たしています。
税金は発生してしまいますが、受取人を子どもにすることで、子どもへの財産贈与として用いることもできます。
異なる2つの保険タイプ
学資保険は大きく分けると、2つのタイプに分かれており、それぞれ特徴が異なりますので、詳しくご紹介していきます。
自身が支払った保険料を貯蓄していく「貯蓄型学資保険」
名称のとおりですが、自身が支払っている保険料を積み立てていき、そこから子どもの教育費を支払っていくというものが「貯蓄型学資保険」です。
「貯蓄型学資保険」は支払った保険料を保険会社が運用して、その利益を保険金として受け取っているので、長く加入すればするほど解約時にもらえる「解約返戻金」が増えていきます。
解約しても返戻金が帰ってくるので、利率は低いですが、家族全体の“貯蓄”として用いることもできる保険です。
教育費以外の保障も受けられる「保障型学資保険」
子どもの教育費のためだけではなく、子どもの医療保険や死亡保険、契約者の死亡保険も付属しているものが「保障型学資保険」です。
先ほど説明した、契約者が亡くなっても、保障を継続して受けられるのは「保障型学資保険」
の機能の一部です。
医療保険や死亡保険の保障も含まれているため、保険料は高額になりがちなので、契約時には注意しましょう。
学資保険を検討する時に注意するべき2つのポイント
ここからは実際に学資保険への加入を検討している人に向けて、加入時に注意しておくポイントを2つご紹介していきます。
契約時の子どもの年齢に制限がある場合がある
学資保険契約時の子どもの年体には制限がかけられていることもあるので、注意が必要です。
保険会社と契約した保険によって異なりますが、「~歳まで」と定められていることが多いので、気を付けましょう。
基本的に学資保険は子どもが小さければ小さいほど、保険料が安くなるので、子どもが小さいうちから検討を進めておけば、保険料を抑えて加入できます。
受け取る保険金に発生する税金が複雑
学資保険は契約者・受取人・受け取り回数で発生する税金が異なります。
税金によってそれぞれ年間控除額も異なるので、年間単位での収支の確認が必要です。
- 契約者=受取人・一括受け取り:所得税の中の「一時所得」
- 契約者=受取人・分割受け取り:所得税の中の「雑所得」
- 契約者≠受取人:「贈与税」
学資保険は受け取り方で税金が変わるってホント?損をしないためのポイントを解説します
学資保険の契約者は夫婦の収入状況で判断しよう!
今回の記事では、学資保険の契約者が妻でも問題ないのかどうかと、専業主婦・パート職員の妻が契約者になった時のメリット・デメリットをご紹介しました。
ひと昔前までは、夫が稼いで妻が家庭を守る、といったイメージがあったかもしれませんが、現代では共働き、もしくは妻が稼いでくるというパターンも十分に考えられます。
現在の保険制度も、特に男性が有利・女性が不利などは決まっていないので、収入がある人が契約者となることはなんの問題もありません。
今後学資保険加入時に、契約者を両親のどちらにしようか悩んでいる際はこちらの記事を参考に選んでみてはいかがでしょうか。