普段の生活で車が欠かせない地域にお住まいの方は、お子さんが高校や大学を卒業後に車を持ち始めることも多いですよね。
車を持つならば誰しも加入する自動車保険ですが、免許を取得してからの日が浅いドライバーが加入することになると6等級からスタートすることになるため、契約内容によっては月々の保険料支払いに苦しむことも。
実は自動車保険は家族間でも等級を引き継ぐことができるので、保険料支払い負担を極力軽減できる可能性があるってご存じですか?
そこで今回は自動車保険の等級を家族間で引き継ぐ際の条件と注意点について、徹底的に解説していきます。
目次
自動車保険では等級によって保険料が決定される
自動車保険は他の損害保険とは異なり、ノンフリート等級制度が設けられています。
ノンフリート等級制度は自動車保険加入時には6からスタートし、最大20まで積み重ねられます。
等級数が高くなればなるほど保険料割引が受けられるので、お得になっていきます。
事故歴に応じて等級が下がる
ノンフリート等級は無事故歴に応じて1つずつ上がっていきます。
一方で加入期間中に事故が発生し自動車保険を活用して修理すると、事故歴が加算されてノンフリート等級が1下がってしまうのです。
また事故の程度によってダウンする等級の数も変わります。
車両保険金や対人賠償保険金、対物賠償保険金が支払われた場合には、一気に3つ等級が下がるシステムになっています。
元の等級に戻すには3年必要になりますし、6等級の際に事故を起こしてしまうと3等級から再度始めなければならないため、一向に保険料割引の恩恵が受けられないのです。
事故歴アリと無事故歴では同じ等級でも保険料が違う
一度事故を起こした後に元の等級に戻ったとしても、保険料割引率は元通りにはなりません。
等級には事故あり係数という値が存在し、自動車保険に加入中に事故を起こした人に対して付帯されます。
例えば事故を起こして無事故10等級から7等級に落ちた場合、無事故での7等級の割引率が30%なのに対して、事故あり係数適用後の割引率は20%と1割の差が生じてしまうんです。
事故あり係数は適用期間が設けられているため、一定期間保険料負担が増えるだけで済みますが適用期間中に再度事故を起こしてしまうとさらに期間が加算されてしまうことを覚えておきましょう。
自動車保険の等級を家族間で引き継ぐことで保険料節約になる
保険料割引に深くかかわってくる等級は、冒頭でも紹介したように家族間で引き継ぐことが可能です。
家族の等級、特に親御さんの等級が高ければ高いほど保険料が安くなりますから、お得に自動車保険に加入出来るんです。
もちろん等級を引き継いだ後は受け渡した側、主に親御さんは新しく自動車保険に加入することになります。
でも「家族から等級を引き継ぐってなったら相手が6等級からスタートすることになるんじゃ?」と疑問に感じる方もいますよね。
以下では家族間で自動車保険の等級を引き継ぐ際に、等級ダウンのデメリットを軽減できる方法を解説しちゃいます。
家族の等級は下がるが年齢割引で負担軽減できる
等級を引き継ぐことで家族は新規で自動車保険に加入することになるため、6等級の最も割引率の低い状態から再スタートすることになります。
しかし新規加入する家族の年齢が26歳以上の場合、年齢に応じて割引が受けられる制度もあります。
通常6等級からスタートするよりも負担を軽減して安く加入できますので、等級を受け渡す側のデメリットもある程度緩和されます。
また同じ生計から自動車保険料を支払う際、保険に新規加入+家族の等級に応じた保険料を支払うよりも、家族から引き継いだ等級+年齢割引適用を受けた6等級では後者の方が保険料が安くなります。
セカンドカー割引で家族も7等級からスタートできる
引き継ぐ側の等級が11以上の場合、新規で補償対象の自動車を追加する際にはセカンドカー割引を利用できるので、保険に新規加入する場合でも7等級からスタートできます。
年齢割引を適用する場合よりもさらに割引を適用できますので、よりお得に自動車保険の等級を引き継げるため、おすすめです。
自動車保険の等級を家族間で引き継ぐには同居が必須条件
自動車保険の等級を引き継ぐには家族であれば何でもいいわけではありません。
同居している家族であることが必須条件とされています。
配偶者がいる場合には配偶者の親族も含まれることになりますが、親等の範囲に限定があります。
6親等以内の血族あるいは3親等以内の姻族がこの場「家族」として認められるので、多世帯でも十分な保障範囲を確保できるでしょう。
同一生計や扶養関係にあるかは問われない
あくまで同居が第一条件ですので、同じ生計で生活している(同じ家計の中でやりくりしている)あるいは扶養ー被扶養の関係でなければならないという条件はありません。
同居していても各自の給与でやりくりしていたリ、親の扶養から外れて生計を立てている方でも等級の引継ぎ対象として認められますので、安心してください。
二世帯住宅やマンションの別室の場合は注意
ただし生計を別にしていたリ扶養関係でなくても、建物内で生活の拠点が異なる場合には同居家族として認められない可能性があります。
二世帯住宅の場合1階部分と2階部分で生活を維持するための洗面所やトイレなどが異なる場合には、別居していると判断されてしまうこともあります。
同じマンションの建物内にいても、別の部屋を借りている場合は同居とは言えないこともあります。
あくまで一つ屋根の下同じ施設を使って生活していることが重要になりますので、注意が必要です。
自動車保険の等級を家族間で引き継ぐときの注意点
自動車保険の等級を引き継ぐにあたって、メリットばかり目につきがちですが等級を家族間で引き継ぐときには、以下の注意点も同人把握しておく必要があります。
- 家族の等級が回復するまで最短13年かかる
- 自動車保険会社から契約解除されていると引き継げない
以下で詳しく解説していきます。
家族の等級が回復するまで最短13年かかる
仮に等級を引き渡す側の家族の等級が満20だった場合、セカンドカー割引を適用していたとしても、回復するまで最短13年かかる計算になります。
それまで積み重ねてきた等級を手放して、また再度等級が回復するまで無事故でいてくれとお願いしても、断られることもあるかもしれません。
等級を引き継いでもらう際には相手がこのデメリットをきちんと把握していなければ、トラブルの元になってしまいますので注意が必要です。
自動車保険会社から契約解除されていると引き継げない
根本的な話ですが、等級を引き渡す側が自動車保険会社から契約解除されてしまった場合には、引継ぎ制度そのものが利用できなくなってしまいます。
めったに契約解除まで行くことはありませんが、保険料の滞納が続いたり告知義務違反等保険会社が今後も保険契約を継続できないと判断した場合に言い渡されることもあります。
等級引継ぎの作業を行う際には、そもそも保険契約自体は有効なのかを確認しておきましょう。
自動車保険の等級を家族間で引き継ぐときの手続き方法
「等級の引継ぎだと面倒な手続きが多いんじゃ…」と不安に感じてしまう方も中にはいますよね。
自動車保険の等級を家族間で引き継ぐときには、そこまで面倒な手続きはありませんので、安心してください。
まず新しく導入する車の納車日を確認し、車検証等保険契約に必要な書類を用意しておきましょう。
保険会社に無断で契約内容変更はできませんから、保険会社に家族間での等級を引き継ぎたい旨と新規で保険に契約したい旨を伝えておきましょう。
納車する車の名義と消え未被保険者を等級を引き継ぎたい家族に設定し、等級を受け渡した側の車は自動車保険を新規契約し、加入しましょう。
保険会社間でも等級の引継ぎは可能
現在加入している保険会社の保障内容に満足できない場合、保険を乗り換えたいなと検討されている方もいますよね。
現在加入している保険会社から別の保険会社に移動する際にも、同様に等級の引き継ぐことも可能です。
ノンフリート等級は保険会社間で共通の指標ですので、保険会社で等級の引継ぎを断られることはありませんので、安心して下さい。
ただし民間の保険会社から共済などの全く運営母体の種類が異なるような保険に加入する場合には、無事故歴の証明など面倒な手続きを踏まなければならないこともありますので、注意が必要です。
学生の家族には等級を引き継ぐ以外の方法もある
中には大学生や専門学校生の家族に対して等級を引き継ごうと考えている方もいるかもしれません。
学生は家を出る可能性も高いですから、等級をわざわざ引き継ぐのはな…と踏みとどまっている人もいるのではないでしょうか?
等級引継ぎ以外にもネットから保険に加入して保険料負担を軽減することもできますし、親の自動車保険の年齢制限を変更して家族全員を保険の保障対象に含めることもできます。
また普段から車に乗らないのであれば、1日限定の自動車保険もあります。
以下の記事で学生の自動車保険の保険料を削減する方法について詳しく解説していますので、確認してみてくださいね。
自動車保険は大学生だと保険料が高い!理由と安くする方法を紹介します
自動車保険の等級を家族間で引き継いで保険料を節約しよう
いかがでしたか?
自動車保険は新米ドライバーに対して保険料支払い条件を厳しく設定していますから、できるだけ保険料負担を軽減したいと考える方も多いでしょう。
同居している家族であれば自動車保険の等級を引き継げる制度がありますので、お子さんなどの保険料負担を減らしたい方はぜひ一度試してみることをおすすめします。
また等級を受け渡す家族側は新規で保険に加入しなければなりませんが、年齢割引やセカンドカー割引を活用して、通常新規加入するときよりも負担を軽減できますので、試してみてくださいね。
ただし等級引継ぎはデメリットも相応にありますから、引継ぎをお願いするならばキチンと説明した上で同意を取ったうえで手続きを進めていくようにしましょう。