生きているうちに身の回りの物を整理するために行う生前整理ですが、最近では30代からでも始めようとする方もいます。
生前整理を始めるにあたって、早いうちから始めるメリットはあるのか、何か注意すべき点はないか気になりますよね。
今回は生前整理に興味を持っている30代の皆さんに向けて、メリットから始めるにあたっての注意点や方法まで徹底解説していきます。
目次
生前整理とは生きているときに行う身辺整理のこと
冒頭でも紹介した通り、生前整理とは生きているうちに行う身辺整理のことを指します。
自分の身の回りのものを整理するのはもちろんのこと、家族に残す財産までもが整理の対象になります。
形のないものまで対象になるので、事前に準備をきちんとしておかないと、実際に手を付ける時に時間がかかってしまいます。
計画的に進めるようにしましょう。
30代で生前整理を始める6つのメリット
「30代で死んだときのために整理を始めるの?」と疑問に思う方も居ますよね。
30代で身辺整理を始めるメリットは、以下の通りです。
- 残された家族の負担を軽減できる
- 万が一亡くなっても家族が財産の処理に困らない
- 残したい人に遺産を残せる
- ミニマリストな生活も実現できる
- 書類を整理できるので日常生活にも困らない
- 30代で体力があるうちに進められる
以下で詳しく解説していきます。
残された家族の負担を軽減できる
30代で生前整理を始めると、残された家族の負担を軽減できるメリットがあります。
30代になると結婚をして家族ができる人も増え始めます。
中には子どもができて守るべき存在がさらに増えている人もいるでしょう。
夫婦でお金を管理していても、貯金や保険などは個人で管理している場合、万が一亡くなったとき預金を引き出したり保険契約の確認ができなくなってしまいます。
預金は死後遺産分割協議をしないと引き出せない
もしも万が一あなたがなくなった場合、相続できる人が複数人いる場合には、家族が自由にお金を引き出せなくなってしまいます。
死亡した後には役所に死亡届を提出しますが、死亡届はあくまで役所に提出する書類ですので、金融機関にはまた別に死亡した旨を家族が報告することになります。
この時点で暗証番号を知っていれば家族はお金を引き出すことができますが、家族のほかに遺産を相続できる権限を持っている人がいる場合、遺産分割協議を経た後でないとトラブルに発展することがあります。
つまり死後遺産相続人の同意がなければ預金を自由に引き出せなくなっていしまいます。
また死亡した旨を銀行に報告すると、口座が凍結されてしまい、こちらもまた遺産分割協議が終わらなければ預金を引き出せません。
生前整理を行っておくことで、銀行の預金を含めた財産の受取人を指定できるので、万が一葬儀費用や生活費に困っても対応できるようになります。
もしも複数名を受取人に指定するのであれば、2019年に設けられた改正民法九百九条の二に定められている通り、上限150万円まで他の共同受取人の同意なしに引き出せる方法を利用しましょう。
第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
生命保険金の受取人が両親に設定されたままになっていることも
皆さんが結婚前に生命保険に加入していた場合、受取人を両親に設定していることもあります。
結婚後の保険契約を変更していない方も多いのですが、もちろん死亡後には受取人を家族側で変更することはできません。
生命保険金の受取人が両親に設定されたままになっていると、両親が請求してしまえば全額両親のものになってしまいます。
両親が理解のある人なら家族に渡してくれる可能性もありますが、仲が悪いと何も知らされないまま家族に一円も入らないこともあります。
生前整理を実施することで、家族に残せるお金を確保できます。
万が一亡くなっても家族が財産の処理に困らない
30代で生前整理を実施することで、万が一亡くなったとしても家族が財産の処理に困らないメリットもあります。
不動産を所持していたり、貴金属類を持っている場合、亡くなった後に処理をするのが面倒になってしまいます。
不動産の場合固定資産税もかかりますので、残された家族の税負担が大きくなります。
事前に処理できるものは処理、必要な書類があれば共有しておくことで死後の財産処理がスムーズになります。
残したい人に遺産を残せる
生前整理時には遺言書を作成し、残したい人を相続人に指定できます。
日本では15歳以上であれば遺言が法的に有効になりますから、遺言書を作成し何を誰に渡したいかを指定しておくと、 みなさんの希望している人に対して遺産を残せます。
テレビでも見かけるように、死後の遺産相続トラブルは親戚間であっても泥沼化することが多いです。
お金絡みで親族関係が悪化しないように、事前に整理しておくことが重要です。
ミニマリストな生活も実現できる
生前整理では生活でいらないものを捨てる工程もありますから、ミニマリストな生活も実現できます。
30代ともなると生活に必要なものと言って、物が増えすぎている方もいらっしゃるでしょう。
今いるもの、いらないもので分けることで部屋をスッキリさせられます。
引っ越しの際にまとめるものも少なくなりますので、今流行のミニマリストな生活も実現可能です。
書類を整理できるので日常生活にも困らない
生前整理の整理整頓時に、これまでの契約書類も整理できますので、日常生活でも役に立ちます。
新しく買った電化製品の説明書や保険の契約書、賃貸の契約書など、大人になれば部屋に書類があふれてしまうこともあります。
必要な書類、そうでない書類を見極める時間もできますので、一つの場所に必要な分だけを保管できるメリットがあります。
「必要な書類があるけどどこにあるかわからない」と不便を感じる事なく、時間を節約できます。
30代で体力があるうちに進められる
生前整理といえば50代以降にやるイメージですが、上述してきたようにモノを捨てたり書類をまとめたりと、体力が必要になる作業が非常に多いです。
30代であれば上の年代よりも体力がありますから、作業で体を痛める心配もありません。
体力があるうちに作業を進められるうちに、できることから始めていきましょう。
30代で生前整理を始める時の注意点
30代で生前整理を始める時には、以下の注意点も把握しておきましょう。
- 1日で終わらせようとしない
- 何でも捨てる・売ろうとしない
- 若いうちから全てを完璧にやろうとしない
以下で詳しく解説していきます。
1日で終わらせようとしない
30代は仕事も忙しいですから何でも効率的に早く終わらせてしまおうとしますが、生前整理は1日で終わらせないのが成功させるポイントです。
丸1日かけて作業をしようとすると、段々と日の時間に近づくにつれて体力的にも精神的にも疲れてしまいます。
本来捨てるべきではないものを捨てようとしてしまうなど、判断力の低下を招く原因にもなります。
時間のある時を見つけて、細かく計画的に進んて行くほうが、確実に要らないものを捨てられます。
なんでも捨てる・売ろうとしない
生前整理を断捨離ととらえる人も多いため、注意が必要です。
部屋にあるものすべてがいらないから、捨てよう・フリマサイトで販売してしまおうとすると、本来の目的からは外れてしまいます。
後々必要なものを捨ててしまったことに気が付いて、再購入費用がかかりかえってお金がかかることもあります。
断捨離はモノを捨ててスッキリさせること、生前整理はあくまで財産や家族に負担になるものを捨てることですので、混同しないようにしましょう。
若いうちから全てを完璧にやろうとしない
30代から生前整理を始めようとすると、すべてを完璧にしようとして考えが凝り固まってしまいます。
人生100年時代といわれる日本、この先70年近くも生きる可能性がある中で、将来他に資産を手に入れたり離婚する可能性もあります。
若いうちから将来のことを予測しすぎて、生前整理を完璧にしすぎてしまうと、数年後数十年後に再度生前整理を行うときに「あのときやらなければよかった」と後悔する可能性も十分にあります。
30代から始める生前整理でおすすめの方法
いざ30代から生前整理を始めるにしても、どこから始めていいかわかりませんよね。
今から生前整理を始めておきたい30代の方は、以下の方法を参考にしてみてください。
- 櫃よなものとそうでないものを分ける
- 管理している財産をリスト化する
- 重要書類や貴重品をまとめて管理しておく
- スマホやPCのデータ整理
- 遺言書を作成する
以下で詳しく解説していきます。
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必要なものそうでないもので分ける
生前整理を始める時は、まず生活で必要なものとそうでないものを分けるようにしましょう。
分類するときには、基準を決めておくといいでしょう。
- 直近3か月間で全く使用していないもの
- 場所を取っているもの
- 廃棄に手間がかかるもの
など、自分の尺度に併せて決めてみましょう。
基準が決まったら部屋にあるものをリストアップして、何を分類するかを決めてみてください。
管理している財産をリスト化する
モノだけではなく、管理している財産をリスト化しておくことも重要です。
財産をリスト化し、金額もまとめておきましょう。
金額をまとめた後に、相続する場合にどの税金が適用されるのか、死後管理に毎年いくらかかるのかをチェックしておくことも重要です。
重要書類や貴重品をまとめて管理しておく
契約書などの重要書類や貴重品をまとめて管理しておきましょう。
もしも隠しておくなら、ありかを手帳に記載したり、鍵をかけているなら保管場所を家族に伝えておきましょう。
自分ひとりで管理していると、亡くなった際に文字通り墓場まで重要な情報を持っていくことになります。
スマホやPCのデータ整理
スマホやPCのデータ整理も行っておきましょう。
スマホには決済情報が登録されていたり、電話帳に親しい人の連絡先が登録されていることもあります。
また中には見られたくないデータが保管されている場合もあるでしょう。
死後スマホやPCを処理するときに、秘密を見られてしまうのは、死んだあととはいえ恥ずかしいですよね。
事前にデータに鍵をかけたり、亡くなったときにデータが消えるように細工をしておくことも重要です。
遺言書を作成する
30代のうちからでも生前整理時には、遺言書を作成しておくことをおすすめします。
財産をどう処理するか、受け取る人を誰に指定するかをきちんと明記して、ハンコを押しておきましょう。
遺言書は正しい手順で作成しておかないと、効力を発揮しません。
遺言書の作成方法をきちんと確認しながら、作業を進めていきましょう。
親の生前整理を促すのも検討しよう
30代で生前整理を始める時、両親にも一緒に生前整理をするように促しましょう。
年代が上がるごとに生前整理の重要性は増していきますし、両親が認知症になる前に財産を整理できます。
実は預金や保険は認知症になった後では、判断能力がないとして契約の変更ができないこともあります。
またモノを捨てる時には親が単独で作業をするのは、体力的にも難しいでしょう。
「私も生前整理を始めるから一緒にやってみない?」と声をかけましょう。
声をかける時に財産目的のように思われたくないなら、遠回しに徐々に手伝っていきましょう。
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30代で生前整理を徐々に始めて生活の質を向上させよう
いかがでしたか?
30代で生前整理をすることで、体力のあるうちにいらないものの処分ができたり、家族のために何を残すべきかが明確になります。
また最近では災害や若い年代でも急に亡くなることもありますから、事前に始めておくことで万が一に備えられます。
いらないものを捨てることで生活の質を向上させることもできますので、時間を見つけて取り組んでみてくださいね!