妊娠後には何かと行政での手続きが増えるものです。
新しい命が生まれた後は、皆さんと同じように社会保険制度に加入するために、様々な登録作業を行わなければなりません。
しかしいざ出産後になるとお祝いや子供の面倒などで、時間が上手く取れずに手続きに時間がかかってしまうこともあるでしょう。
妊娠がわかったら、産後にどんな手続きをすべきなのかをよく確認して、手続きをスムーズに進められるようにすべきです。
特に産後は奥さんがアクティブに動けない状態になりますから、旦那さんが積極的に行う必要があります。
今回は出産前後にやるべき手続きについて、期日や注意点まで徹底的に解説していきます。
目次
出産前後にやるべき9個の手続きチェックリスト
出産前後にやるべき手続きは、以下の通り9個あります。
- 産前休暇を取得する
- 出生届の提出
- 児童手当金の申請
- 健康保険の加入
- 医療費助成制度の申請
- 高額療養費の申請
- 出産育児一時金の申請
- 出産手当金の申請
- 育児休暇の申請
以下で詳しく解説していきます。
①産前休暇を取得する
奥さんが働いている場合には、産前休暇を取得しましょう。
申請方法は職場によって異なるので、会社の労務課に問い合わせてみましょう。
産前休暇は職場で申請すればOKで、出産予定日の6週間前から取得できるため、予定日がわかったタイミングで取得に動きだすことをおすすめします。
産前休暇を取得するのはあくまで任意ですので、ぎりぎりまで働きたい場合には、出産予定日直前まで働いても問題ありません。
予定日はあくまで予定ですので、母体の体調によっては前後することが予想されます。
出産予定日よりも実際の出産日が遅くなってしまっても、産前休暇は延長されます。
産後には産後休暇も取得可能で、出産日から8週間の休暇が取得できます。
最大で8週間で、本人が希望した場合には、6週間で職場に戻ることもできます。
②出生届の提出
子供が生まれたら役所に対して出生届を提出しましょう。
出生届の提出期間、条件は以下の通りです。
届出期間 | 出生から14日以内(外国での出産の場合は大使館・領事館に3か月以内に申請) |
---|---|
届出地 | 届出人の所在地・子どもの出生地・父母の本籍地いずれかの市区町村役所・役場 |
届出人 | 父または母(事実婚の場合は母が届出人) |
必要書類 | 出生届(医師の出生証明書つき)・母子手帳・子どもに関する手当・助成の申請書類 |
(参考:東京都渋谷区)
病院での出産後には、出生届の横に医師からの出生証明書を添付してもらえます。
出生証明書付きの書類を役所に持参して、手続きを行いましょう。
外国で出産した場合で父母どちらかが日本人の場合には、現地の日本大使館や領事館、あるいは日本国籍者の本籍地の役所で手続きをしないと、子どもの日本国籍が喪失されてしまいますので、注意が必要です。
代理で提出してもらうときでも、父母の捺印は必要ですので、注意が必要です。
③児童手当金の申請
子どもが生まれたら、出生後15日以内に児童手当金の受給手続きも行いましょう。
児童手当とは日本に在住している0歳~中学3年生の子どもに対して支給される給付金で、年齢に応じて支給額が変わります。
子どもが生まれた段階で支給が開始されますので、出来るだけ早く手続きを始めたほうが良いでしょう。
児童手当金を子供がもらうには、まず現住所に対してに認定請求申請を行いましょう。
ただし公務員の場合は勤め先に連絡する必要がありますので、注意が必要です。
通常児童手当は申請した翌月分からの支給になりますが、出生後15日以内の申請で申請月分から支給が開始されますので、出来るだけ早く手続きをしておくことをおすすめします。
年齢ごとの児童手当の金額は以下の通りです。
3歳未満 | 15000円 |
---|---|
3歳~小学校卒業 | 10000円(第三子以降は15000円) |
中学3年生まで | 10000円 |
また世帯の所得が1200万円を超えている場合には、児童手当の受給ができませんので、注意が必要です。
児童手当は中学卒業までもらえる!各年代の金額や受給時の注意点を解説
④健康保険の加入
子どもが生まれたらすぐに健康保険の加入手続きを行いましょう。
健保などの企業での社会保険に加入している場合には勤務先の労務課に連絡しましょう。
自営業などで国民健康保険に加入しているのであれば、役所の窓口で申請しまsyオう。
後述しますが、自治体によっては子どもが一定の年齢に達するまで、医療費の助成を受けられる制度を設けています。
医療費の助成を行うためにはいずれかの健康保険制度に加入していないと、助成の対象にはなりません。
親の扶養に入れるのであれば、収入が安定している方に入れておくのがベターです。
健康保険は大きく分けて3種類!違いと見分けるポイントを解説します
⑤医療費助成制度の申請
子どもの健康保険加入が完了したら、自治体の案内にそって医療費助成制度の申請も行いましょう。
自治体によって費用負担割合や期限は異なるものの、子どもにかかる医療費を減免してくれる制度です。
子どもは体調を崩しやすいですから、毎週病院に通うなんてこともざらにあります。
助成方法は様々ですが、窓口負担をそのまま軽減してくれるところや、後からかかった医療費を申請して償還されるものもあります。
住民票のある自治体の窓口に行って、子どもの健康保険証のコピーを提出しましょう。
健康保険証が手元にまだ届いていない場合には、窓口の担当者に伝えてみると、後日コピーの郵送で対応してくれることもあります。
⑥出産育児一時金の申請
出産育児一時金は、健康保険に申請することで、子ども一人当たり42万円が支給される出産費用補助制度です。
妊娠4か月以上の人が出産するときに適用されますので、通常通り出産された方は対象になります。
出産育児一時金の給付方法は、出産費用を支払った後に還付を受ける制度と、直接支払制度の2パターンがあります。
直接支払制度の場合、事前に手続きをしておくことで、医療機関に出産育児一時金がそのまま支給されます。
窓口負担を最小限にできますので、事前に健康保険組合に問い合わせたうえで、手続きを取っておくことをおすすめします。
万が一直接支払制度を利用した歳に、出産に費用が42万円を下回る場合には、差額を振りこんでもらうことができます。
ただし医療機関によっては、直接支払制度を利用できないこともありますので、注意が必要です。
⑦高額療養費の申請
帝王切開などで施術を受けたり、出産後に予後が悪く入退院を繰り返していると、医療費がかさんでしまいます。
月の医療費が高額になった場合には、高額療養費の申請を行いましょう。
高額療養費とは健康保険に加入している人が利用できる制度の一つで、月額の医療費が所得に応じた限度額を超える場合に、超過分を返還してもらえる制度です。
もちろん受けた治療は健康保険の適用対象である必要がありますので、注意が必要です。
所得区分 | 自己負担限度額 |
---|---|
①区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) (報酬月額81万円以上の方) | 252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1% |
②区分イ (標準報酬月額53万~79万円の方) (報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方) | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
③区分ウ (標準報酬月額28万~50万円の方) (報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方) | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% |
④区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) (報酬月額27万円未満の方) | 57,600円 |
⑤区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) | 35,400円 |
(引用:全国健康保険協会高額療養費・70歳以上の外来療養に係る年間の高額療養費・高額介護合算療養費)
一般世帯であればイに該当しますので、月額の健康保険適用後の医療費が約8万円を超えた場合に、還付を受けられます。
万が一入院が事前に決まっているのであれば、職場で事前に健康保険組合に連絡して、限度額適用証を付与してもらうと窓口負担を軽減できます。
⑧出産手当金の申請
職場で産休を取っている場合、原則として企業側は申請がない限り、産休取得者に対してお給料を支払う必要はありません。
しかし皆さんが出産手当金の支給を依頼することで、企業側から収入の約2/3を支給してもらえます。
条件としては産休を取る前に1年間以上勤務をしていることがあげられます。
出産手当金を受給するには職場での指定された書類の記入と、健康保険証の写しが必要になります。
産前と産後合わせて最大で98日分の支給が受けられますが、産前と産後で手続きを分けなければならないので、産後にまとめて手続きをしてしまう方が楽です。
申請が受理されるまでには時間がかかるので、事前に準備をして手続きを始めておくことをおすすめします。
⑨育児休暇の申請
産休が終わるといよいよ出社になりますが、子どもがまだ小さいと面倒を見なければなりませんし、保育園が開いていないこともあります。
育児休暇を申請することで、子どもが1歳になるまで休暇を取得できます。
ただし雇用期間が1年未満の場合や、週5出勤をしていない場合には、育児休暇の取得が認められません。
育児休暇の時も産休と同様に申請することで標準報酬月額平均の2/3を支給してもらえます。
育児休暇を取得する前には、育休開始の1か月前までに申請することで受理してもらえます。
出産後の手続きは旦那さんが主導で行おう
普段家計の管理や手続き書類の対応を、妻にまかせっきりの旦那さん、出産前後の手続きは積極的に参加して出来る限り主導してあげましょう。
出産前後はホルモンバランスが安定しないこともあり、以前よりもきびきび動けないことがあります。
手続きはいちいち役所まで出向かなければならず、移動も手間になってしまいます。
仕事が忙しくても、ある程度は奥さんのことを考えて休みを取ったりして、手続きに必要な情報収集から実際の手続きをスムーズにできるように積極性をもって取り組みましょう。
実際に出産前後の夫の対応によっては、その後の夫婦関係の悪影響二なることもあります。
円満な夫婦生活をおくるためにも、旦那さんが一肌脱いで頑張りましょう。
産後の手続きでよくあるQ&A
以下では産後の手続きでよくある疑問について、簡単に解答していきます。
里帰り出産の場合どこに出生届を出せばいい?
人によっては奥さんが実家へ帰って里帰り出産をすることもあります。
里帰り出産の場合、出生届は里帰り先に提出することも可能です。
子どもが生まれた地で出したい場合には、その場で提出するもOK、期限までに間に合うなら自分たちの住んでいる町で提出するのもOKです。
ただし上記で紹介した一時金などの行政手続きは、住民票のある地域でしか申請できませんので、手間を減らすためにも住民票のある地域で出生届を出す方がスムーズです。
病院に間に合わないで出産した場合出生届はどうすればいい?
出産時には、病院までに間に合わずに車内で出産してしまうこともあれば、自宅で助産師さんの元で出産することもあるでしょう。
基本的に医師の立ち合いがないと出生証明書がもらえないので、病院以外で出産した場合、出生届の手続きが煩雑になります。
病院によっては対応してくれることもありますが、中には出生証明書がもらえないケースもあるのです。
病院に間に合わないで出産し、出生証明書がもらえないとなると、法務局に書類を提出して自分の子どもだと認めてもらう必要があります。
つまり法務局の認可が下りるまでは無戸籍状態になってしまうのです。
病院に間に合わないで出産した場合、手続きが面倒になりますから、出来るだけ無理をせずに医師のもとで出産するようにしましょう。
産後の手続きをスムーズに進めてお母さんの負担を軽減しよう
いかがでしたか?
子どもをひとり産むということは、戸籍を作ったりと手続きが必要になりますから、一人で書類の記入をこなすのは重労働です。
産後の身体を労るためにも、奥さんの産後のケアも含めて手続きは旦那さんの主導で行うようにしましょう。
手続きの内容に疑問を持ったら早い段階で、健康保険組合や役所に確認するようにしましょう。
どれも期限が設定されていますから、焦らないように事前に段取りを確認しておいて、産後にスムーズに対応できるようにしておきましょう。