親が亡くなったとき、ショックの大きさから何に手を付けていいかわからなくなってしまう方が多いです。
特に実の親だと、亡くなったときの喪失感は大きいものです。
しかし死亡後の手続きは遺族の悲しみを待ってくれることなく、どんどんと期限が進んでいきます。
親が亡くなってから1か月以内に早急に行うべき手続きは、以下の通りです。
- 死亡診断書の発行を行う
- 遺体の安置を行う
- 親戚・友人・勤め先に死亡したことを連絡する
- 葬儀会社に連絡
- 市町村役場に死亡届を提出する
- 親の健康保険証の返却
- 火葬許可証の取得
- お通夜・葬儀・火葬を行う
- 火葬許可証を提出し埋葬許可を得る
- 金融機関・保険会社への連絡
- 各種サービスの解約手続き
「将来親が亡くなったときに何をすべきか知りたい」方向けに、今回は親が亡くなったらすべき緊急性の高い手続きの詳細について、徹底的に解説していきます。
目次
親が亡くなったら当日にすべき4つの手続き
親が亡くなったら当日にすべき手続きは、以下の4つです。
①死亡診断書の発行を行う
病気が原因で死亡した場合には、医療機関にて死亡診断書を発行してもらいます。
入院中に病気が原因で亡くなった場合には、医師の判断により死亡診断書が発行されます。
万が一生前受診していた病気以外で亡くなった場合には、警察への連絡ののち死体検案書が代わりに発行されます。
死亡診断書と死体検案書は同じ用紙で発行されますので、大きな違いはありません。
死亡を示す公的な書類になるので、丁寧に保管しておくことをおすすめします。
死亡後の手続きで何度も提出を求められるので、コピーを取っておくと安心です。
死亡診断書を無くしても医療機関で再発行は可能
死亡診断書は本来無くさないように管理するものですが、うっかり原本を提出してしまったり、その他の書類に紛れて捨ててしまう可能性もあります。
死亡診断書を無くしたとしても、死亡診断書を出してもらった医療機関で再発行してもらうことが可能です。
ただし医療機関によって対応の日数や、流れが変わりますので、事前に問い合わせてから来院することをおすすめします。
②遺体の安置を行う
遺体の安置と聞くと、病院の霊安室を思い浮かべる方も多いですが、葬儀まで長期間置いておくことはできません。
そのため遺体をどこか安置する場所を決める必要があります。
一般的な安置場所は下記の3つです。
- 自宅
- 葬儀会社の専用安置所
- 安置専門業者
自宅での安置は費用が掛かりませんが、遺体の腐敗を防ぐためにドライアイスやエアコンなどで室内を冷やす必要がありますので、手間がかかります。
葬儀を取り行うことを考慮すると、葬儀会社に委託する方が効率的です。
葬儀会社によってプランが異なりますので、費用層場に合わせて選択しましょう。
③親戚・友人・勤め先に死亡したことを連絡する
親戚や友人・親の勤め先に死亡したことを連絡しましょう。
親の年賀状のリストや携帯の連絡先を使い、死亡した旨を伝えておきましょう。
特に近しい親戚には早く連絡しておかないと、後でトラブルになる可能性もあります。
また葬儀を行う旨を伝えるために、訃報や葬儀案内を用意することも忘れないようにしましょう。
訃報には下記の項目を記載する必要がありますので、把握しておくといいでしょう。
- 故人の情報(名前・年齢)
- 亡くなった日、場所
- 死因
- 葬儀会場の案内
- 喪主の名前
④葬儀会社に連絡
病院の指示等に従って、葬儀会社に連絡して葬儀の準備を行いましょう。
安く済ませたいのであれば、病院から紹介される葬儀会社はオプションが付けられる等して、高くつくことが多いです。
近所にある葬儀会社や、過去に知り合いが利用していた葬儀会社を利用してみると安心です。
親が亡くなったら1週間以内に行う6つの手続き
親が亡くなった場合、1週間以内に下記の手続きを行いましょう。
①市町村役場に死亡届を提出する
死亡が判明してから7日間以内に市町村役場に死亡届を提出しましょう。
亡くなった人の戸籍を削除するための手続きですので、期限に遅れてしまうと、過料が課せられますので注意が必要です。
死亡届を提出できるのは、同居者・親族・住宅の管理人・後見人と決められています。
死亡届提出時には、以下を用意しておきましょう。
- 届出人の印鑑
- 死亡診断書あるいは死体検案書
③火葬許可証の取得
火葬許可証は本来取得期限が決められているものではありませんが、葬儀後にそのまま火葬することが多いので、効率的に進めるためにも死亡届提出時に取得しておきましょう。
火葬許可証を取得せずに火葬を行うと、科料等罰則が規定されています。
葬儀会社と連絡を取った際に、火葬場の場所を聞いておくとスムーズです。
葬儀会社のプランによっては、死亡届の提出代行と同時に火葬許可証も取得してくれることもあります。
④お通夜・葬儀・火葬を行う
葬儀会社との打ち合わせの通り、お通夜・葬儀(告別式)・火葬を取り行いましょう。
親戚間で役割分担をして、葬儀をスムーズに取り行えるように手続きを進めてください。
葬儀等がすべて完了すると、火葬を取り行います。
⑤火葬許可証を提出し埋葬許可を得る
火葬が済むと火葬許可証に火葬日の記録された印が押されます。
印が押された火葬許可証はそのまま埋葬許可証になりますので、埋葬先が決まっていない場合は厳重に保管しておきましょう。
納骨先が決まったら、納骨先である霊園や寺に埋葬許可証を提出し、納骨が完了します。
⑥金融機関・保険会社への連絡
親が亡くなったらまずは、銀行名やクレジットカード会社などの金融機関などに連絡して、死亡手続きを行いましょう。
特に銀行の場合は、預貯金自体が遺産相続の対象になりますので、同じ相続人による勝手な引出しを防ぐために早急な手続きをおこないましょう。
また親が生命保険に加入していて、自分を受取人に指定している場合には、保険金の請求も行いましょう。
死亡証明書等、必要な書類がそろっていれば保険金の即日支払いサービスを利用することもできます。
保険金を葬儀費用として活用することもできるので、早めに手続きすることをおすすめします。
⑦各種サービスの解約手続き
公共料金や携帯電話など、利用日数に応じて料金のかかるサービスも、早めに解約手続きをしておきましょう。
忙しい場合、代理人を立てて手続きができるものの、中には親族本人でない対応してくれないこともありますので注意が必要です。
親が料金証明等を補完しているところを探して、何の支払があるかを把握しておきましょう。
親が亡くなったら10日~14日以内に行うべき4つの手続き
親が亡くなった後。10日~14日以内に行うべき手続きは、以下の4つです。
①年金の停止手続き
亡くなった親が年金を受給していた場合、年金事務所に行って年金支給停止手続きを行いましょう。
手続きには年金証書と死亡診断書のコピーが必要になります。
注意したいのが親の加入している年金制度によって、手続きの期日が異なる点です。
厚生年金 | 死亡後10日間以内 |
---|---|
国民年金 | 死亡後14日間以内 |
年金の受給を停止しないままにしておくと、後々返金が必要になることもありますので、注意が必要です。
遺族年金がもらえる人の条件って?遺族年金の種類ごとに解説します
②世帯主変更
万が一亡くなった親が世帯主で、同一世帯内に15歳以上の人が2人以上いる場合には、世帯主変更届を行いましょう。
次の世帯主は15歳以上の家族のいずれかになります。
手続きをするのは新しく世帯主になる人で、市町村役場で手続きが可能になります。
必要な書類は以下の通りです。
- 役所に用意されている世帯主変更届
- 申請者の法的に認められている本人確認書類
- 申請者の印鑑
また忙しい場合は委任者を立てることも可能です。
③親の健康保険証の返却
親の加入していた健康保険の保険証も、返却する必要があります。
親が国民健康保険に加入していた場合、亡くなってから14日以内に国民健康保険資格喪失届を、健康保険証とともに提出しましょう。
職場の健康保険組合に加入していた場合は、国民健康保険と同様に14日以内に保険証を返却しましょう。
ただし扶養者が死亡した場合は、国民健康保険への切り替えが必要になりますので、手続きを忘れないようにしましょう。
親が亡くなった後に費用が戻ってくる公的制度
親が亡くなった後には葬祭費用や手続き等で、お金が非常にかかります。
下記の2つの公的制度を利用すれば、亡くなった後に費用が一部返ってくることもありますので、ぜひ活用してみてください。
葬祭費・埋葬料
死亡した親が組合健保や協会けんぽに加入していた場合、組合に申請することで埋葬料が5万円還付されます。
また扶養されている母親が亡くなった場合も、埋葬料として受け取れます。
一方国民健康保険に加入している場合には、自治体に申請することで葬祭費が受け取れます。
亡くなってから2年間の期限がありますので、後から申請も可能です。
高額療養費
親の医療費が高額だった場合、高額療養費制度を活用して医療費の一部返金を受けられます。
高額療養費といえば生前にしか手続き出来ないものとの認識がほとんどですが、死亡後にも遺族の申請で支給を受けられます。
ただし返金された医療費は、亡くなった親の財産としてカウントされますので、相続税の対象になります。
親が亡くなったら遺産相続の手続きも忘れずに
親が亡くなった場合、遺産相続の手続きも忘れずに行う必要があります。
銀行の預金、不動産、保険金など、価値のあるものはすべて相続対象になります。
親の遺産を相続できるのは、法定相続人の順位によって決まります。
片方の親が存命している場合には、配偶者として必ず相続が可能です。
子供である皆さんは第1順位に位置しますから、必ず相続人として認定を受けられます。
万が一皆さんが親よりも先に亡くなった場合には、皆さんの子供に相続権が与えられます。
相続を行うには、遺言書の確認や相続財産の把握・準確定申告等やることがたくさんあるので、段取りを決めて手続きを行いましょう。
親の借金は3か月以内の手続きで相続放棄も可能
実は相続するのは親の財産だけではなく、債権も対象になるので、親の借金も相続することになります。
他に相続する財産と比較して、借金の金額が大きい場合には、相続放棄を行うことも検討しましょう。
ただし相続放棄をするには、親の死亡後3か月以内に対応する必要がありますので、注意が必要です。
注意!親が身辺整理をしていないかを要チェック!
親が亡くなった後の手続きをする前に、親が身辺整理を生前に始めていないかを確認しましょう。
現時点で親が存命の場合には、生前整理で何を行ったか、どこに書類等が保管されているのかを確認しましょう。
身辺整理の中には、エンディングノートといって死亡後の葬儀会場の希望や、宗教上納骨をどこにしてほしいか等が記載されていることがあります。
親の希望をかなえてあげたいと考えて居るのであれば、身辺整理をしていないかを事前に確認しておくといいでしょう。
また身辺整理時に契約しているサービスをまとめてくれていることもあります。
親と話す機会があれば、身辺整理について話題に挙げてみてもいいでしょう。
死ぬ前にやっておきたい10個の身辺整理!生前にすべき準備と注意点を徹底解説!
親が亡くなった後によくある疑問を解消!
親が亡くなった後、手続きだけではなくマナーでも疑問が出てくることもあります。
以下では親が亡くなった後によくある疑問を、まとめて紹介しています。
香典返しは基本即日半返しが一般的
葬式の際に参列者から香典を受け取りますが、香典返しをどうすればいいのか悩む人も多いですよね。
香典返しは基本的に即日、もらった金額の半分を返すのが一般的です。
葬儀会社によっては、香典の金額に応じで香典返しを選んで渡してくれることもあります。
万が一もらった金額が大きく、返す香典に迷った場合は、1/3か1/4程度の金額のものを返しましょう。
義理の親が亡くなったときの香典は3~10万円が相場
配偶者の親、つまり義理の親が亡くなった場合は、香典返しを送る必要が出てきます。
義理の親が亡くなったときの香典は、年代や収入に応じて3~10万円の金額で包みましょう。
ただし上記の金額は、一人当たりの金額ですので、配偶者とまとめて出す時は上記の金額の2倍を包みましょう。
親が亡くなったとき会社を休めるのは約1週間
親が亡くなったときに会社を休めるのは、企業の規則によって異なりますが、約1週間です。
勤め先に親が亡くなったことを伝えて、会社を忌引きで欠勤する旨を伝えましょう。
しかし中には忌引き休暇を設定していない企業もありますので、注意が必要です。
親が亡くなったときの手続きをきちんと行って送り出そう
いかがでしたか?
親が亡くなったときにいきなりすべて手続きを段取り良く行うのは、精神的にも難しいでしょう。
事前に手続きの流れを簡単にでも把握しておいて、親を送り出せるようにしましょうね。