これから夏になるにかけて備えておきたいのが台風によって生じる雨漏り。
近年では本州に台風が直撃する回数が増え、甚大な被害が予想されます。
暴風で屋根が壊れてしまい、屋内で雨漏りが生じることもあるでしょう。
実は台風による雨漏りは、ご自宅にかけている火災保険で修理費用をカバーできるんですよ。
ですがむやみに申請しても条件や注意点を把握していなければ、保険金の申請が突き返されてしまう可能性もあります。
そこでこの記事では、台風で生じた雨漏りを火災保険で修理するための条件や注意点を徹底的に紹介していきます。
目次
台風での雨漏りは火災保険で補償可能!
冒頭でも紹介したように台風で生じた雨漏りは火災保険で補償可能です。
火災保険は一般的には、その名の通り火災で家や家財が燃えた時に保険金がおりるイメージがありますが、実は災害全般的に対応できるオールマイティな保険なのです。
付帯している保障や特約にもよりますが、風災、雹(ひょう)災や落書きや飛来物による損害でも保険金を請求できます。
もちろん台風の風で屋根が吹き飛んでしまい、そこに雨が吹き込み雨漏りが生じた場合も対象内です。
地震や火山の噴火による損害はまた別の地震保険で補償されます。
雨漏りが及ぼす被害とは?
雨漏りを放置すると、どんどんと被害が大きくなってしまいます。
たとえば、カビにより家具や健康に被害が及んだり家が腐ってしまったりするため、雨漏りは1日でも早く対処すべきです。
木材が腐敗しシロアリが発生してしまった場合は、気づかぬうちにどんどん家を食べられてしまいます。
シロアリは断熱材まで食べてしまうため、気づいたときには家がボロボロになっているかもしれません。
そのため、雨漏りは放置せずに素早い対応をすることが非常に大切です。
火災保険で台風の雨漏りが保障できる3つの条件
火災保険で台風の雨漏りが保障できるといっても、すべての保険金請求が通るわけではありません。
以下3つの条件をすべて満たしていないと、保険金請求が却下されることになりますので、よく確認しておきましょう。
雨漏りの原因が台風であると判断できる
保険会社は保険金請求が来ると本当に台風によって損害が生じたのかを調査します。
もちろん自己申告も行われますが、保険会社の調査員の目で確認されます。
調査の結果、損害が台風によるものであると判断された場合に、保険金の請求が通ることになります。
もちろん損害の度合いによって保険金は変わりますから、予想していた金額よりも少ないこともあります。
また、老朽化や別の要因で雨漏りが生じたと判断できる場合には、火災保険での保険金請求が認められませんので注意しましょう。
修理費用が免責金額以上であること
火災保険に加入するときには、免責金額を設定して損害発生時にどれだけ自己負担するかの割合を決定します。
自分で免責金額を決定することもできますが、火災保険の中には免責金額を20万円に固定するプランもあるため注意が必要です。
保険金を請求する前に、大まかな修理金額と加入している保険の免責金額を確認しておくことをおすすめします。
例えば自分で免責金額を10万円に設定している場合、雨漏りの修理費用が30万円だとしたら、差額の20万円が保険金として受け取れる計算になります。
一方で免責金額以内の修理費用であると判断されると、保険金の申請が通りません。
損害が起きてから3年以内であること
保険法では保険金を請求する事案が発生してから3年以内は、加入者は保険会社に対して保険金を請求できる決まりがあります。
裏を返せば、3年以内に損害を申請しなければ時効になるということ。
損害が生じたことを忘れて期間外に申請しても、突き返されてしまいますので注意してください。
火災保険で台風の雨漏りが補償されないのはどんなとき?
初期不良やリフォーム時の不良、経年劣化と判断されると火災保険の申請は下りません。
また、故意・過失と判断された場合も補償されないので注意が必要です。
あくまでも台風により雨漏りが発生したと判断された場合のみ保険金の支払いが行われます。
保険の契約者の中には虚偽申告をする人もいるため、保険会社側も審査は厳しく行います。
万が一、台風による被害が生じた際に補償してもらうためにも、日頃から台風への備えやメンテナンスはしっかりと行っておきましょう。
雨漏りで火災保険へ保険金を請求するときの注意点
条件を満たしているから、さあ保険金を請求しようとしている方、少し待ってください。
条件を満たしていたとしても、保険金を請求するときに生じる注意点を把握していないと、想像していた補償が受けられなくてがっかりしてしまうこともあります。
注意点は以下で一つずつ紹介していきます。
新品に取り換えられるほどの金額はもらえない
火災保険に限った話ではないのですが、新品にとりかられるだけの保険金は受け取ることができません。
あくまで実損箇所を調査したうえで、最低限度必要な費用を保険金として受け取ることができます。
また上述の通り火災保険では、免責金額が差し引かれた金額が保険金として振り込まれることになりますから、自己負担額が必ず生じてしまいます。
全て新品同様に取り換えるつもりで保険金を請求してしまうと、思ったほどの金額を受け取れずに落胆してしまう原因にもなりかねませんので注意しましょう。
補償対象が家屋と家財の両方に設定されているか
雨漏りで生じるのは家自体の損害だけではありません。
雨漏りでタンスや電化製品が濡れて壊れてしまうこともあります。
火災保険では一般的に補償対象を家屋と家財両方につけるのですが、中には片方に限定してつけてしまうひともいます。
自宅の加入している火災保険の補償対象が、家屋と家財の両方になっているかを確認しておきましょう。
火災保険は代理申請できない
火災保険の保険金請求は、基本的に契約者本人しかできません。
弁護士であれば代理で請求ができますが、それ以外の人が代理申請すると違法です。
したがって保険金詐欺とみなされるため、火災保険申請は必ず本人が行うようにしましょう。
申請をしてすぐに保険金が支払われるわけではない
通常、火災保険の申請から支払いがされるまで1ヵ月程度かかります。
必要な資料や情報を提出し審査や調査が行われるため、その分時間を要するためです。
保険会社の込み具合や担当者によって差異はありますが、申請して翌週には振り込まれるというスピード感はないと把握しておきましょう。
また、台風による影響で申請をする場合、その期間は同じように被害を受けた申請者が多い可能性があります。
申請者が多くなると審査や調査に遅れが生じ、支払いまでの期間も長くなります。
その点も十分に考慮したうえで補修工事を行うようにしましょう。
台風で生じた雨漏りを保険金請求する4ステップ
台風で生じた雨漏りを保険金請求を請求する4ステップは下記のとおりです。
- 火災保険側に保険金請求する旨を伝える
- 書類に記入・見積作成
- 調査員による被害状況確認
- 保険金の振り込み&修理
上記4つを1つずつ解説していきます。
火災保険側に保険金請求する旨を伝える
まず保険金請求する際に必要な書類を受け取るために、火災保険会社側に台風で雨漏りが生じたため、保険金を請求したい旨を伝えましょう。
対応窓口は保険会社ごとに異なりますので、電話の際には確認しておくとたらい回しされるのを未然に防ぐことが出来ます。
書類に記入・見積作成
保険会社に請求の旨を伝えると、1週間程度で保険金請求に必要な書類が届きます。
保険金請求の書類の他にも、被害状況の申告書類や修理費見積もりが同封されていますので、指示に従い記入しましょう。
見積もりは業者に依頼しましょう。
調査員による被害状況確認
保険会社は書類を受け取った後、提携している調査会社を通じて被害状況を確認する調査を行います。
本当に見積書通りの損害額なのか、台風が原因の雨漏りなのかを判断します。
調査結果を持ち帰り、保険会社がそれを元に保険金を支払うか判断します。
保険金の振り込み&修理
保険会社が調査の結果保険金を支払うと判断した場合、免責金額を引いた分が指定の口座に入ります。
保険金を活用して雨漏り部分の修理を行いましょう。
修理せずに保険金を別のことに使い修理を行わないと、再度同じ箇所が損害を受けた時に保険金を請求できなくなってしまう可能性がありますので、注意が必要です。
申請する際に必要な書類は?
火災保険の保険金請求をする際に必要な書類は以下のとおりです。
- 保険証券
- 損害見積書
- 損害状況写真
- 保険金請求書
- 事故状況説明書
前述のとおり見積書と損害状況写真は工事業者、請求書と状況説明書は保険会社によって用意されます。
自身で行うことは、保険証券の用意と保険会社や補修業者への連絡です。
基本的には保険会社からの指示どおりに動けば問題はありませんが、全体の流れや必要事項を把握しておくとスムーズに進められます。
雨漏りの補修工事は被害の状況によっては費用が高額になることもあります。
そのため、必要な書類や全体の流れ、支払いの時期などをしっかり把握しておくことをおすすめします。
火災保険を利用しても保険料は上がらないので安心
「火災保険で雨漏りなんて補償して、後々保険料が上がったらどうしよう…」と不安になっている人もいるでしょう。
自動車保険では事故を起こしてしまい補償を受けるとなると、更新時に保険料が高くなってしまいますが、火災保険では保険適用しても保険料は上がりません。
実は火災保険は建物の評価額や築年数などに応じて保険料を決定しますので、使用回数によって保険料が高くなることはありません。
ただし何回申請しても保険料が変わらないことをいいことに、故意に家を破損して保険金を受け取ろうとすると、保険金詐欺に該当してしまう可能性がありますのでやめましょう。
保険の適用が確認できるまでは工事の契約をしない方がいい?
火災保険の補償を利用して雨漏りの工事をしようと考える場合、保険の適用が確認できるまでは工事の契約をしないようにしてください。
なぜなら、必ずしも申請が下りるとは限らないからです。
経年劣化や初期不良と判断された場合は、申請が下りず保険金は支払われません。
万一、申請が下りなくても雨漏りを放置することはできないため、いずれにせよ補修工事は必要です。
しかし、補修工事の費用を保険金で支払うか自費で支払うかでは選ぶ業者も変わるかもしれません。
また、申請が下りる前に契約をして工事を行うと、申請が下りなかった時に急遽自費で支払うことになります。
工事も支払いも計画的に行うために、補修工事の契約は火災保険の審査の結果を待ってからにしましょう。
火災保険で無料で修理できるという業者に気を付けて
火災保険を活用して雨漏り修理を請け負っている業者の中には「火災保険で無料で修理OK」と宣伝しているところもあります。
しかしここで紹介してきたように火災保険の保険金額は、保険会社の調査員による鑑定結果によって決まるため、業者側が一概に「無料」と判断できるわけがありません。
できるだけ修理費用を安くしたい気持ちはわかりますが、ぐっとこらえて本当に信用していいのかをよく考えましょう。
複数の業者の話を聞いてから判断するのをおすすめします。
無料を押してくる業者の中には、重要な説明を省いていたりトラブルになるケースもありますので注意してください。
優良業者は実績を確認しよう
雨漏りは大切な家の価値を下げる大きな原因になります。
前述したとおり、健康被害やシロアリ被害を招く可能性があるため、しっかりと補修工事を行う必要があります。
大切な家を補修する工事なので、良い業者に工事をしてもらいたいと考えるでしょう。
そこで優良な工事業者を見つけるためのポイントを解説いたします。
複数の業者から見積もりを取る
補修工事に限らず、優良な工事業者を探す際には複数の業者から見積もりを取ることが鉄則です。
業者によって見積もり金額は異なります。
中には悪徳業者も存在するので、金額だけでなく材料費や人件費、工事内容等しっかり確認しましょう。
見積内容について質問をした際、詳細を説明してくれない業者には注意が必要です。
ホームページなどを見て実績を確認する
業者のホームページやインスタグラムを見ると、実績や工事の内容、写真等が掲載されています。
これらをしっかり確認し、経験や知識が豊富か、どんな仕上がりかを見比べるといいでしょう。
また業者によって得意分野が異なるので、屋根修理の業者であるからといって、必ずしも自分が求める工事を得意としているとは限りません。
その業者がどのような工事を多く受注しているかを確認しましょう。
火災保険を上手に活用して台風の雨漏りを修理しよう
いかがでしたか?
火災保険は火災だけでなく家に関する様々な災害を補償できるオールマイティな保険です。
そのため台風により生じた雨漏りも補償対象内に認定されます。
しかし台風が直接の原因でなかったり、免責金額以下の修理費用と認められたり、損害発生から3年以上経過している場合には保険金の請求が認められませんので注意が必要です。
また修理金額は保険会社側で算定しますので、新品同様に戻せないことも把握しておきましょう。
ですが条件を満たして注意点も把握したうえで申請すれば、保険金を受け取るときに落胆せずに済みますし、どれだけ自己負担を用意しておけばいいのかの予測がつくでしょう。