生活が困窮していたり失業してしまったりした場合に、公的制度である生活保護に頼らざる得ないこともあるでしょう。
しかし生活保護を受けている世帯に子どもがいる場合、資産と見なされてしまう理由から学資保険の加入ができないこともあります。
そこで今回は、生活保護を受けているときの学資保険の扱いについて解説していきます。
目次
生活保護受給者でも条件を満たせば学資保険は加入継続可能
生活の困窮や失業になど様々な理由により、生活保護の受給を余儀なくされてしまう人もいます。
しかし生活保護を受給していると、学資保険の加入ができません。その理由は、資産が何もなくなり生活に困窮している人の生活を保護するためのものだからです。
つまり生活保護を受給する場合には資産を持つことが出来ないという訳です。
しかし学資保険の加入している人が生活保護を受給しなくては行けなくなった場合にはどうなるんでしょうか。
その場合ほとんどが解約しなくてはいけなくなりますが、一定の条件を満たせば継続して加入することが出来ます。
その条件については以下で詳しく解説していきます。
生活保護受給開始時の解約返戻金が50万以下
生活保護を受給開始時の解約返戻金、つまり学資保険を解約した時に戻ってくるお金が50万円以下である必要があります。
50万円以上の返戻金があると、生活費に充てるように指導されます。
学資保険を継続するには、生活保護受給開始時の返戻金が50万円以下であることが条件に一つになっています。
子供の就学費用目的で加入している
学資保険には子どもの進学費用として加入している人が多いですが、生活保護世帯の子どもは小学校から高校まで学費に対して扶助をしてくれる制度があります。
そのため学資保険に加入していなくても、学費は賄うことが出来ると判断させるため学資保険の必要性がないとされています。
しかし、高校や大学に入学する際に、大きな金額が必要となるので子どもの就学費用目的であれば、学資保険を継続することができる可能性があります。
満期を15歳or18歳に設定している
学資保険の満期が、15歳もしくは18歳に設定されていることも条件の一つになっています。
これは先ほども述べたように、高校や大学に入学するときにまとまった金額が必要となる場合に、学資保険の継続が許されることが関係しています。
入学の年齢に合わせて、必要な資金としての備えであることが必要な条件となっています。
自治体の判断によっては認められないことも
上記のような条件を満たすことで、生活保護を受給していても学資保険を継続できる可能性はありますが、自治体の判断によっては継続を認められないこともあります。
生活保護の申請は、居住する地域の福祉事務所で行いその書類やヒアリングを元に、福祉事務所が支給の可否を決定します。
そのため学資保険の継続に関しても、居住地域の福祉事務所の判断によって異なることがあり、一概に継続できるとは言えないのです。
基本的には、生活保護受給者が学資保険に加入することは出来ませんし、加入していても解約しなくてはいけないことの方が多いです。
しかし上記のような条件を満たす学資保険であれば、継続出来る可能性があります。
ただ自治体の判断によっては継続が認められないこともあるので、詳しくは自分の暮らす市町村の福祉事務所に問い合わせをして聞いてみてください。
生活保護受給後に学資保険に加入できる?
生活保護受給により、学資保険の継続が認められる条件については解説しました。
その際に、生活保護を受給後に学資保険に加入することは不可能であることについて少し触れました。
ではなぜ生活保護を受給していると、学資保険に加入することが出来ないのでしょうか。
その理由は原理に反するから・資産になるから・学資に入らなくても学費補助の制度があるからです。それぞれを詳しく解説していきます。
生活保護の原理に反するため認められない
生活保護は「補足性の原理」というものの元に成り立っています。
生活保護は、資産がないほど困窮している人を最低限の生活を保護する目的の元作られた法律なので、学資保険は認められないのです。
学資保険=資産と認められるから
先ほど、資産を持てないほど生活が困窮というお話をしましたが、生活保護を受給していると学資保険への加入が認められない理由はそこにあります。
学資保険は貯蓄型保険であるため、資産として認められます。
資産として認められますので、先ほどお話したように50万円以上の返戻金がある学資保険は、生活費の充てるように指導されるということです。
生活保護受給世帯の子供には学費補助制度がある
生活保護受給世帯は学資保険への加入が認められないと、小中高などに入学する際や学費などの工面はどうしたら良いのか不安に思う人もいますよね。
しかし生活保護世帯の子どもは、小中学生では「教育扶助」高校生では「生業扶助」というそれぞれを対象とした扶助を設けています。
教育扶助では、学費をはじめ給食費や教材費を支給しています。
高校生を対象とした生業扶助では、高校に通うための費用や受験にかかる受験料も援助してくれるので、生活保護世帯であっても子どもが学校に通うことが出来るような仕組みが出来ています。
そのことも、生活保護世帯が学資保険に入れない・入らなくても良い理由になっているのです。
学資保険は子どもが安心して学校に通うためなのに、なぜ加入することが出来ないのか?と思うかもしれません。
そもそも生活保護は、失業や病気などで働けない人が生活に困窮しているのを助けるための制度です。
その中に子どもが学校に通うために援助制度も入っているため、生活保護で支給されたお金を、貯蓄型の学資保険に利用することを認めてはいないのです。
まずは生活を立て直してから、学資保険への加入を検討するようにしましょう。
生活保護受給中に学資保険加入を隠していたらどうなる?
生活保護を受給しておきながら、学資保険加入を隠している人もいます。
補足性の原理に反するため、もちろん生活保護の返還を求められます。
返戻金が50万円以上の学資保険を隠していると、差額分の返還を求められるなど急に多額の返還の義務が生じます。絶対に辞めましょう。
貯蓄性のない保険なら生活保護受給者でも加入可能
生活保護受給中に、学資保険に加入できない理由として貯蓄型であるため、資産と認定されるからということをお話しました。
これは学資保険だけでなく、生命保険など貯蓄型・返戻型保険は同様に加入することも継続することも認められていません。
しかしもしもの場合に備えて、医療保険に加入しておきたいという人もいますよね。生活保護受給中でも加入が認められるのは、貯蓄性のない保険です。
貯蓄性がない保険つまり掛け捨て型の医療保険や終身保険です。
また保険料が低額である必要もあります。
これらを満たす保険であれば加入が認められることもありますが、実際には生活保護受給世帯には、教育扶助と同様に医療扶助や葬祭扶助があるため、必要性が低いと判断する人も多いでしょう。
保険に加入・継続する際に保険料に上限が設けられていますが、これは市町村によって異なりますので問い合わせをして確認する必要があります。
自治体に確認して生活保護でも学資保険に加入継続できるか確認しよう
今回は、生活保護と学資保険についてお話してきました。
生活保護は病気や失業などにより、生活が困窮してしまった人の最低限の生活を保護するために作られた制度です。
そのため、貯蓄性の高い学資保険は資産と見なされ、基本的には解約されてしまいます。また受給中の新規加入も認められていません。
生活保護受給で学費に対する不安があっても、教育扶助や生業扶助などがあるので「生活保護だから学校に通えない」ということはありません。
子どものことを考えると学資保険も大切ですが、まずは生活を立て直して安定した収入を得られるようになることが最も重要なのではないでしょうか。
その後、生活が安定してから学資保険を検討してみてはいかがでしょうか。