コミケやスパコミなど、同人活動のイベントが活発になっている今、この記事を読んでくれている皆さんも「自分も作品を出してみたい…」と考えていることでしょう。
同人活動はいわゆる二次創作にあたり、印刷所などを利用して自分の絵柄でキャラクターのイラストを描いて頒布するものです。
また有名レイヤーがいるように、コスプレイヤーとして写真集を出す方も中にはいます。
趣味の延長線上で行うことがほとんどですが、実は利益が出てしまった場合、金額によっては確定申告が求められることもあります。
今回は初めて同人活動を行う皆さんのために、同人活動で利益を得た時の確定申告を行う基準から、方法まで徹底的に解説していきます。
目次
同人活動で利益を得たら金額に応じて確定申告が必要に
冒頭でも紹介した通り、同人活動で利益を得た場合には、金額に応じて確定申告が櫃よになります。
勤め先で年末調整ができる給与所得者と、専業にしている人では申告の基準が変わります。
以下で一つずつ確認していきましょう。
本業がある人は20万円をこえた場合
企業に勤めているなど、本業があって年末調整を会社で行っている方は、利益が20万円を超えた段階で確定申告が必要になります。
同人活動の利益は、本業のある人であれば雑所得として認められるためです。
雑所得は20万円が控除枠として認められているため、控除枠内でしたら申告の必要はありません。
ただし他にアルバイトやアフィリエイト等、副収入がある場合には他の利益を合算する必要があります。
合算した金額が20万を超えてしまうと、確定申告の必要が生じます。
本業として同人活動をしているなら48万円を超えた場合
コスプレイヤーや自作の漫画を頒布しているなど、本業として同人活動をしているのであれば、48万円を超えてしまうと確定申告が必要になります。
雑所得よりも多いのは、他に専業がない場合、単純な所得として計上されるためです。
単純な所得は所得基礎控除が48万円と決められています。
基礎控除を超えた分に対して、所得税が課税されます。
人気が高いと税務署から目を付けられることも
同人作家の中には活動で人気を集めて、大手作家になる人もいます。
一回で100万円以上を売り上げることもあり、一気に所得を得ることもあります。
活動が大規模になると、税務署からの監督対象にもなる可能性もあります。
確定申告の対象になる同人活動
確定申告の対象になる同人活動は、以下の通りです。
- 同人誌・同人ゲーム・同人グッズの頒布
- コスプレ雑誌・取材応対などのギャラ
- デザフェスなどのグッズ販売も対象
以下で詳しく解説していきます。
同人誌・同人ゲーム・同人グッズの頒布
二次創作になる同人誌・同人ゲーム・同人グッズの頒布をしている場合は、確定申告の対象になります。
印刷所に依頼して漫画やイラスト集を作成したり、アクキー等のグッズを作成したときが該当します。
またPCの同人ゲームを自分でプログラミングをしたときも、対象になります。
コスプレ雑誌・取材応対などのギャラ
コスプレイヤーの方は、自分で作成したコスプレ写真集の利益が、確定申告の対象になります。
また有名レイヤーになると、コスプレ雑誌から取材の依頼が来ることもあります。
またメディアに取り上げられる可能性もあります。
取材された際のギャラも、コスプレを通じて得た利益になります。
デザフェスなどのグッズ販売も対象
同人活動とはまた一線を画しますが、デザフェスで自作した雑貨を売る方も居るでしょう。
Tシャツや小物、アクセサリーを販売した時も、同人活動と同様に利益分が確定申告の対象になります。
同人活動の利益を確定申告するときのポイント
同人活動の利益を確定申告するときには、下記の3つのポイントを把握しておきましょう。
必要経費を計上する
同人活動にかかった必要経費を計上しましょう。
印刷にかかった費用、インク代、小物作成のための材料費等、同人活動に欠かせないものを計上していきましょう。
あとから計上するのは面倒ですし管理しきれませんので、大規模印刷を行うなど、控除額を超える可能性がある場合には最初からメモに残しておくことをおすすめします。
活動に関連するレシートはすべて確保しておく
活動に関連するレシートは、すべて確保しておくことをおすすめします。
実は経費として認められないと思っていても、税務署の判断によっては関連性があるとして、経費として認めてもらえる可能性があります。
ただしレシートがもらえないこともあるでしょう。
その場合は出金伝票を作成し、金額を記入しておきましょう。
お金の金額だけではなく、目的も記入しておくと、経費として判断してもらいやすくなる可能性もあります。
赤字でも確定申告を行う準備をする
赤字だとしても税務署から利益を確認されることもあります。
事前に帳簿を付けておかないと、税務署からの確認に応じられずに推計課税を課される可能性があります。
赤字になることが事前にわかっていても、確定申告を行う準備をしておくことをおすすめします。
同人活動の利益を確定申告する方法
同人活動の利益を確定申告する方法は、下記の流れで進めていきます。
- 経費を計上して使った金額を算出する
- 確定申告書を印刷し情報を転記する
- 住民票のある税務署に申告に行く
以下で詳細を紹介します。
①経費を計上して使った金額を算出する
上述したように経費を計上して使った金額を算出しましょう。
経費と利益を明確にしたうえで、差額を算出しておきましょう。
また確定申告に必要な下記の書類を用意しておきましょう。
- 本人確認書類(免許証等の公的に認められているもの)
- 銀行の口座番号
- 所得を確認できる書類
- 控除証明書
- マイナンバー
②確定申告書を印刷し情報を転記する
確定申告書は税務署でも受け取れますが、事前に国税庁のHPから印刷することも可能です。
確定申告書を印刷し、自宅で必要事項を記入して、控えとして自分でコピーして置くことをおすすめします。
自宅で作成したほうがゆっくり作成ができるので、ミスも減らせるメリットがあります。
③住民票のある税務署に申告に行く
住民票のある税務署に、申告書類を持って申請に行きましょう。
確定申告の時期には自営業者が申告手続きのために押し寄せるので、時間に余裕をもっていきましょう。
地方自治体によっては、税務署ではなくイベントホールを貸し切って、大規模な申告会場を開催していることもあります。
自治体の確定申告情報を確認して、効率良く申告できるようにしましょう。
同人活動の確定申告をするときの注意点
同人活動の確定申告をするときは、下記の注意点も把握しておきましょう。
普段使いのものは経費として計上されない可能性がある
確定申告時にはとりあえず関連するものを経費として計上する必要がありますが、普段使いのものは経費として認められないものもあります。
制作のために自宅を使っている場合、家賃や光熱費を計上できると思われがちですが、自宅の用途によっては認められない可能性があります。
またコスプレイヤーの装飾品も、一部は経費として認められないこともあります。
普段使いできるものの場合、同人活動以外に使うことも想定されるためです。
確定申告時に住民税を普通徴収にしないと会社に副業を疑われる
同人活動を企業に勤めながら行う場合、勤め先の年末調整に加えて、独自で確定申告を行う必要があります。
確定申告時には、税金を普通徴収に設定しておくことをおすすめします。
実は確定申告を行うことで、会社に副業を疑われてしまう可能性があります。
年末調整後に確定申告を行うと、確定申告で申告した分が追加されて、所得税や住民税が計算されることになります。
企業内で規定されている金額を大幅に超えてしまい、税金が高くなってしまうと、労務や経理から副業をしているのではないかと疑われてしまうこともあります。
副業禁止の会社であればバレることで、社内規則違反になって罰則を受ける可能性もあります。
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在庫分は経費にならない
在庫を抱えている場合は、在庫分を経費として計上することはできません。
あくまで頒布したものにかかった費用が経費になるので、販売しきれなかった分に関しては自分の持ち分になります。
在庫を抱えないように発注する必要がありますので、注意しましょう。
同人活動の暗黙のルールも忘れずに
同人活動はそもそも版元から見て見ぬふりをされている上で成り立っています。
暗黙のルールが存在し、守らないで活動をすることで非難の対象になることもあります。
またルールを守れないと版元から訴えられることもありますので、注意が必要です。
二次創作の立体物頒布など公式と被るものはNG
二次創作をしている場合には、立体物頒布などの公式が出しそうなグッズを頒布するのはNGです。
最近ではアクリルスタンドを作成したり、アクキーやフィギュアを作成して頒布している人もいます。
しかし版元さんが出しそうなデザインで作成してしまうと、版元の利益を阻害してしまうことになります。
「フィギュアを作っているところもあるじゃん」と思うかもしれませんが、フィギュアの作成を行っている作家さんは、版元に許可を取ったうえで作成しているのです。
許可を取れていない以上、版元の利益を阻害しない範囲のものを頒布しましょう。
価格設定を高額にしない
同人グッズは価格設定を高額にしないことが重要です。
印刷所に注文すると発行する数が増えるにつれて、一つの単価が抑えられます。
制作するのに200円しかかかっていないのに、1000円で冊子を販売してしまうと、利益が生じます。
同人界隈では過度な利益が生じる価格設定は、良い目では見られません。
制作にかかった費用を計算して、価格設定を行いましょう。
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版元が二次創作をNGにしているなら頒布しない
版元が二次創作をNGと公式に声明を出しているのであれば、頒布はNGです。
特に国内の大手ゲームメーカーでは、二次創作をNGとしています。
また実際に権利者がいるものを擬人化しているコンテンツでは、創作の内容を慎重に検討する必要があります。
二次創作をNGにしている場合に勝手に制作してしまうと、著作権法違反で訴えられてしまうこともあります。
また当たり前の話ですが、版元さんのトレパクをすることもNGなので、注意が必要です。
同人活動で利益がでたら確定申告を行おう
いかがでしたか?
同人活動では基本的に利益が出ないようにする必要がありますが、万一利益が出てしまった場合には、金額によっては確定申告が必要になります。
使った費用は経費として認められることもあるので、レシートをきちんと保管しておいて、確定申告時に申告しましょう。
ただし確定申告を行うことで、会社に副業と勘違いされてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
赤字だから確定申告ができないと考えていても、実は利益が出ていて確定申告が必要になるケースもあります。
年間で何回もイベントに参加する方も居るでしょうから、毎回きちんと帳簿を付けておくことをおすすめします。