「もし自分に何かあったら、残された家族はどうしよう…」と考えて、家族にお金を残すために保険への加入を検討されているみなさん。
終身保険への加入もお考えではありませんか?
終身保険は生命保険の一種であるため、お金を残す一つの選択肢として選ばれることが多いですが、保険である以上加入が必要な人とそうでない人がくっきり分かれます。
保険は長期料金を支払っていくため、総合的に見て高額になりがちです。
そのため、自分は本当に終身保険への加入が必要かどうか、をしっかりと把握しておく必要があります。
そこで今回は、終身保険に加入するメリット・デメリットから、終身保険が必要な人の5つの特徴まで解説していきます。
目次
終身保険ってそもそもどんな保険なの?
終身保険には5つの特徴があります。
- 死亡もしくは高度障害時に保険金が支払われる
- 生命保険の一種で保障が一生涯続く
- 保険料が支払期間中変わらない
- 解約返戻金がある
- 6つの種類がある
以下で詳しく解説していきます。
死亡もしくは高度障害時に保険金が支払われる
被保険者が死亡した場合、もしくは高度障害といって保障の開始後に身体の一部損失・身体機能の喪失等が生じた場合に、保険金が支払われます。
なお高度障害に該当するかどうかは保険会社の約款に記載されています。
生命保険の一種で保障が一生涯続く
終身保険は生命保険の一種にカウントされ、保障が一生涯続いていきます。
定期保険だと、保険期間内に死亡した場合でなければ、保険金の支払いが受けられませんし、加入年齢が制限されていることもあります。
一方終身保険だと死ぬまで保障が有効になりますから、加入している限り死亡時の保険金支払いが受けられます。
保険料が支払期間中変わらない
終身保険は保険料が加入期間中ずっと同じ金額で続いていくため、途中で保険料が増額される心配がありません。
一方定期保険で加入期間を延長(更新)していく場合は、その更新時期の年齢に応じて保険料が見直されていきますので、同じ保障であれば保険料負担が増えてしまいます。
終身保険は常に一定の保険料を支払うことになるので、やりくりもしやすいのがメリットです。
解約返戻金がある
終身保険を解約した際に戻ってくる保険料(解約返戻金)は、一般的に、保険料払込期間が長くなるほど大きくなり、支払終了後はそれまでに支払った保険料総額より多くなるため、貯蓄性保険と言われています。
一方定期保険の場合は、解約返戻金がないかあってもごく僅かです。
そのため終身保険は定期保険に比べ割高となっています。
6つの種類がある
終身保険には以下6つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
終身保険
終身保険は一番オーソドックスな保険で、死亡保障を目的に加入することが多いですが、保険料の支払いが終了すると支払い済み保険料以上の解約返戻金が受け取れるので、貯蓄目的でも使えます。
変額保険(終身型)
変額保険は、支払って積み立てている保険料を保険会社が金融商品を用いて運用してくれる保険です。
金融商品には株式や債券などが含まれますので、投資性の高い保険として知られています。
景気や運用商品の値動きが良いときには、運用益が多く出ることになりますから、支払われる死亡保険金や解約返戻金が当初予定していた額よりも高くなる可能性があります。
反対にうまく運用できなかったときは死亡保険金に関しては最低保証額が設定されているので安心ですが、解約返戻金は場合によっては元本割れを引き起こす可能性もあります。
積立利率変動型終身保険
積立利率変動型終身保険は、積立金利の変動に応じて死亡保険金や解約返戻金の額が変わる保険です。
インフレが発生したときに金利が上昇することで死亡保険金や解約返戻金が増額するため、今後の物価上昇対策として対応できる可能性があります。
また積立利率変動型終身保険では積立利率の最低保証が定められています。
外貨建て終身保険
外貨建て終身保険は、保険加入者から支払われた保険料を保険会社が外貨に交換し、積み立てていく保険です。
日本円と外貨では金利が異なるため、外貨の金利が高いときには円で運用するよりも多くの利益を得られます。
ただし為替手数料等の費用が発生したり為替変動の影響を受けることにより、円に戻した際に目減りする可能性もありますので、加入には注意が必要です。
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は最近学資保険の代わりにも活用されるようになった終身保険です。
通常の終身保険とは異なり払込期間の解約返戻金を抑制する分保険料を割り引いてくれるので、長期的な契約でも割安に対応できるメリットがあります。
したがって払込期間中は、支払う保険料が少ない分解約返戻金額は少なくなります。
ですが保険料払い込み期間が終了すると、本来の解約返戻金額や保険金額に戻るので貯蓄性は高いといえます。
学資保険の代わりに活用する際には、保険料払い込み期間をたとえば10年程度といった短期に設定して、払い込み後の運用期間を長めに設けて返戻率を上げるやり方があります。
利率変動型積立終身保険(アカウント型保険)
支払う保険料を、死亡などの保障部分と貯蓄の積立(アカウント)部分に分け、自由に組み合わせすることができる保険です。
保険料払込終了後は、積立部分を終身保険としてまた年金として受け取りができます。
積立部分の利率は市場金利に応じて変動しますが、最低保証があります。
終身保険に加入する3つのメリット
終身保険に加入するメリットは以下の3つです。
- 保障が一生涯続くので安心
- 節税対策になる
- 契約者貸付制度で保険会社からお金が借りられる
以下で詳しく解説していきます
保障が一生涯続くので安心
終身保険に加入するメリットは何といっても保障の継続期間です。
人間だれしもいつ亡くなるかはわかりませんから、期間の際限なく保険金が下りる可能性があるのは非常に安心できますよね。
節税対策になる
生命保険である終身保険は、死亡保険金を受け取る際に、契約者・被保険者・受取人の関係性によって、相続税・所得税・贈与税いずれかが課税されます。
契約者・被保険者が同一人、受取人が法定相続人であれば、相続税の対象となりますが、法定相続人の数×500万円の金額分が非課税枠として認められますので、契約する保険金の金額によっては税金が差し引かれることなく額面通りの保険金を残せます。
また契約者が支払う保険料についても、生命保険料控除として所得税や住民税の控除が受けられますので、さらに節税効果が生まれるんですよ。
契約者貸付制度で保険会社からお金が借りられる
上述したように、保険料の払い込み期間が終了すれば、支払った保険料よりもらえる保険金額が高くなることもあるため、貯蓄性が高いです。
ただ終身保険は加入期間が長いですから、途中で「急にまとまったお金が必要になったけど借りる先が見つからない!」となることもあるでしょう。
終身保険の契約者貸付制度を活用すれば、解約返戻金を元手に保険会社からお金を借りることができます。
お金を借りたまま保険契約を継続できますので、保険料控除が打ち切られることもありません。
終身保険に加入する3つのデメリット
終身保険に加入するデメリットは以下の3つです。
- 保険料の支払い期間が長い
- 定期保険よりも保険料が割高である
- 早期解約で損をする
以下で詳しく解説していきます。
保険料の支払期間が長い
終身保険では貯蓄性が高い分、長期に渡って割高な保険料の支払いになります。
支払い期間が長い=期間分の保険料を家計から捻出することになりますから、家計でのやりくりが大変な時期もあるかもしれません。
家計状況に応じて支払額が高額のまま推移することは、大きなデメリットとして挙げられます。
定期保険よりも高額保険料が割高である
終身保険では、長期的な死亡保障に加えて解約返戻金を確保するために、定期保険よりも保険料が高く設定されています。
葬式代や老後の資金に備えて加入するのよいですが、働き盛りの年齢で残された家族の生活費の為に保険金を残したいといった場合には、保険料の高い終身保険よりも、割安の保険料で多額の保険金が準備できる定期保険に加入するほうが得策なことも。
加入時には家計状況と相談する必要があるのも一つのデメリットではないでしょうか。
早期解約で損をする
終身保険の解約返戻金は、支払い保険料とそれを保険会社が運用した益が原資になります。
保険料払い込み期間の早期で解約してしまうと、運用益が反映されないばかりか運用コストで目減りするため、支払った保険料よりも受け取れる解約返戻金額が少ない元本割れを引き起こすこともあります。
終身保険が必要な人の5つの特徴
上記の終身保険の特徴やメリット・デメリットを踏まえたうえで、以下5ついずれかの特徴に当てはまる人は、終身保険への加入を検討してもよいかもしれません。
- 亡くなった後の処理費用を用意しておきたい人
- 貯金が苦手な人
- 老後の資金を効率的に貯めていきたい人
- 子どもの教育費用を貯めていきたい人
- 死亡後の家族にお金を残したい人
以下で詳しく解説していきます。
亡くなった後の処理費用を用意しておきたい人
「養う家族がいないから保険金を残さなくてもいいや」と考える人は多いですが、単身者の方でも死亡後にお金がかかることをご存じでしょうか。
火葬費用や葬式代、遺骨の整理費用など、死亡後の後処理にも残念ながらお金がかかります。
養う家族がいなければ、親族に死亡後の対応をしてもらうことが多いでしょうから、亡くなった後に金銭面で迷惑をかけないように、最小限の処理費用を残せるようにしておきましょう。
貯金が苦手な人
「将来の為にお金を貯めていきたいけど預金口座だと毎回使いすぎちゃうんだよね…」という方は、終身保険に加入して死亡保障を得ながら、保険料支払いで貯蓄していく方法もあります。
保険料は加入時に支払い方法を設定できますから、たとえば月々の支払いにすれば、積立定期預金のように毎回同じタイミングで同じ金額が自動天引きされます。
また途中で簡単に引き出せませんから、使い込んでしまう心配もありません。
加入期間が経過すればするほど解約返戻金が増えていきますから(変額保険の場合は運用状況によります)、支払い済み保険料からさらに増額した金額を解約時に受け取れます。
老後の資金を効率的に貯めていきたい人
終身保険は、加入時は死亡した時の保険金目的に、払い込み期間を過ぎた後は貯蓄目的に活用できるため、老後の資金として貯蓄することも可能です。
30代40代で加入しておいて、定年退職後に解約して生活費用に充てることもできます。
最近では老後にウン千万円なければ生活できないなんて言われたニュースもありますし、高齢化が進んでいる状態でいつ公的保障がうまく回らなくなるとも限りませんから、早め早めの段階で対応できるようにしていきましょう。
子どもの教育費用を貯めていきたい人
最近では学資保険といえども返戻率が100を多少超すぐらいまで落ち込んでおり、加入内容によっては元本割れのケースも見受けられます。
たとえば低解約返戻金型終身保険であれば、保険料払い込み期間を短期に調節することで、死亡保障に加えて、学資保険よりも高い返戻率で解約返戻金を受け取れることもあります。
終身保険に早期に加入しておくことで、支払保険料総額と解約返戻金の損益分岐点の期間を短くできますから、学資保険代わりに子どもの教育費用を貯めることも可能なのです。
死亡後の家族にお金を残したい人
生命保険の根本的な保障の話になるのですが、死亡後家族にお金を残したい方は終身保険に加入しておくことをお勧めします。
ただし子どもの教育費がかかる年代に加入する場合は、最低限の保険料で死亡保障を手厚くできる定期保険の方が経済的なこともありますから、たとえば終身保険は葬式代程度にして保険料を抑えめにするなど注意が必要です。
学資保険代わりに使うときは保険料払込期間に注意しよう
最近では、保険に関して専門家に相談すると、終身保険を学資保険代わりに利用するように勧められることも増えてきました。
通常、学資保険は被保険者(子)が18歳になるまで保険料を支払って積み立てていき保険期間満了時に満期保険金が受け取れます(途中祝金が出るケースもあります)。
基本的に中途解約しなければ元本割れせず教育資金を貯められます。
ちなみに契約者(親)の死亡保障は付いていませんので、支払い途中に契約者が死亡した際は保険料支払いがストップするのみで、保険金等は受取時期まで待つ必要があります。
一方終身保険を学資保険代わりに加入する場合は、保険料払い込み期間と解約返戻金の額が重要になってきます。
たとえば保険料払込時期が子どもの進学時期よりも長くなっていると、保険金を活用するために解約した際に元本割れを引き起こしてしまう可能性があるんです。
払込期間によって解約返戻金の推移が異なりますので、子どもの進学時期と照らし合わせてよりよい受け取り方法を検討してみてください。
終身保険は本来死亡保障を目的に加入するものですので、解約するタイミングを考慮しておかないと、後になって損をしていたことに気づくなんてことにもなりかねません。
どの終身保険に加入するか迷ったら保険相談窓口を活用しよう
「自分が終身保険への加入が向いていることが分かったけど、実際どこの保険会社を選べばいいかわからない…」なんて方も中にはいますよね。
どの終身保険に加入するかを迷ったら、保険相談窓口を活用することも検討してみてください。
保険相談窓口では、皆さんの現在の収入状況や希望している条件から、加入すべき終身保険について提案してくれます。
また保険に関してわからないことがあれば逐一確認して解説してくれますので、初めて加入する方でも安心です。
相談料は無料、店舗での相談や自宅での相談も対応してくれますので、自分に合った方を利用してみてください。
以下の記事でおすすめの保険相談窓口を掲載していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【2020年最新版】無料保険相談窓口おすすめランキングTOP10
終身保険が必要かを確認して将来に向けて保障を充実させよう
いかがでしたか?
終身保険は生命保険の一種で、保障は一生涯なので、いつ死亡することがあっても対応できる保険です。
最近では通常の死亡保障に加えて運用にクローズアップした、外貨建て保険や変額保険などもありますので、死亡保障と同時に貯蓄も進めていきたい方は加入を検討してみてもいいかもしれません。
また終身保険の特徴や加入するメリット・デメリットから、加入が必要な人そうでない人に分かれていますので、自分がどちらに該当するかを先にチェックしてから保険相談されるとよいでしょう。
どの保険に加入していいか迷った方は、保険相談のプロが在籍している保険代理店での相談がおすすめ。
最適な保険に出会える、いい機会になるかもしれません。
- プロフィール:
- F家計改善専門FP、講師、コラムニスト、ザ・ヴィジョンクエスト(株)代表。
不動産会社勤務、子育て専業主婦を経て、2005年独立。家計簿、保険、住宅・教育・老後費、ローンなど家計の見直しおよび確定拠出年金、NISAなど節税しながら資産形成する方法を、発信・アドバイスしている。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会認定CFP®、宅地建物取引士資格者。