何らかの事情により、無職である人が万一の病気やケガに備えて、医療保険に加入したいと考えることもあります。
しかし現在ある医療保険では、扶養に入っている主婦(夫)を除き、無職の人は加入できません。
その理由にはモラルリスクが影響しています。
そこでこの記事では、医療保険には無職では加入できない理由や加入したい場合にどうすればよいかについて解説します。
目次
医療保険は無職だと加入できない
無職で医療保険に加入し、病気やケガに備えたいという人もいます。
結論から言うと現在無職で加入できる医療保険はありません。
その大きな理由の一つは、無職であるため毎月きちんと保険料を支払えるという保障がないからです。
これは保険の仕組みである「相互扶助」が成り立たなくなってしまい、保険会社が損してしまう可能性があると考えられてしまうためです。
これ以外にも、不正受給が理由となっています。
そこでここでは、無職だと医療保険に加入できない理由を解説します。
安定して保険料を支払える保障がないから
無職の人が医療保険に加入できない大きな理由が、収入がないことで毎月安定して保険料を払えないと判断されてしまうからからです。
安定して収入がないと、保険料の支払いがすぐに困難になってしまいすぐに契約失効となってしまう可能性があります。
確実に毎月支払って行ける人でないと、医療保険で病気に備えられないのです。
不正受給などのモラルリスクがあるから
医療保険は契約が成立した時点で責任開始日となります。
そのため1回目の保険料支払い日が翌月などになってしまうと、支払いがされなくてもその期間に保険給付事由が起きると、保障しなくてはいけなくなります。
また無職の人が医療保険に加入して入院すると、入院給付金を受け取れ入院している方が得をしてしまう可能性があります。
皆が無職で加入できてしまい、このような不正受給が横行してしまうと、保険の相互扶助の精神が成り立たなくなります。
このようなモラルリスクに不安があることも、無職の人が医療保険に加入できない理由とされています。
死亡保障などの生命保険であれば加入できる可能性も
無職の人が加入できないのは医療保険で、死亡保障などの生命保険であれば加入できる可能性があります。
ただ死亡保障などの生命保険に加入できるかどうかは、保険会社によって異なるだけでなく、例え加入できても保障額に制限が設けられるなどの対処がされます。
医療保険や死亡保障などは、入院や死亡によって収入がなくなった場合に、契約者やその家族の生活費などの補填に充てるためにあります。
そのため無職=守るものがないとなってしまい、加入できない・制限を受けるなどとなってしまうのです。
保険会社に無職であることがバレることはある?
無職であることを隠して保険に加入すればいいのではないか、と考える人も中にはいるでしょう。
実際のところ、保険加入時の告知書には職業や職場・年種いうを記入する欄を設けているところもあります。
そのため完全に加入者の自己申告制で加入が進められることになります。
しかし自己申告だからと言って、無職であるにもかかわらず職があることを偽装して保険に加入しようとするとバレる可能性があります。
保険会社は保険加入時には細かい調査を行いませんが、実際に保険金を支払うときに告知内容が事実かの調査を行うことがあります。
保険会社に無職であることがバレてしまうと、保険金がそもそも支払われない可能性があるので注意が必要です。
主婦(夫)なら医療保険に加入できる
無職では上記で上げたような理由から、医療保険に加入できないと解説しました。
しかし無職にもさまざまな人がおり、中には無職と告知事項に記入しても加入できる人もいます。
そもそも保険会社で加入を断る無職は、加入時に仕事を探している・失業保険を受給している人のようです。
再就職を探している人は、医療保険に加入する前に生活を保障するべきとなってしまうため、加入を断られてしまいます。
一方で同じ無職でも、配偶者の扶養に入り生活をしている主婦(夫)であれば、医療保険に加入できます。
これは配偶者が安定した仕事を持っており、問題なく保険料を払っていけると判断されるからです。
主婦(夫)以外にも、不動産所有など資産で生活している人・退職金が潤沢な人・年金生活者・20歳未満・家族を介護中の人も、無職とは見なされないため医療保険への加入を認められることを知っておいてください。
きちんと保険料を払っていける人だと保険会社が判断できれば、医療保険への加入は可能となります。
無職でも医療保険に加入する方法
同じ無職でも、主婦(夫)など安定の収入があれば医療保険の加入が認められますが、求職中や失業保険を受給していると残念ながら医療保険に加入できないでしょう。
しかしどうしても医療保険に加入しておきたいという人もいるかもしれません。
そこでここでは、無職でも医療保険に加入する方法を解説します。
一度保険会社に申請してみて加入可否を判断してもらう
基本的に求職中や失業保険を受給していると、医療保険に加入するのは難しいでしょう。
しかし保険会社によっては、加入OKにしていることもあります。
そのため一度保険会社に無職であることを申請したうえで、医療保険に申し込み加入可否の判断をしてもらうのも1つの方法です。
ただ加入できるかどうかは保険会社の判断によりますので、必ず加入できるわけではありません。
もし加入できなければ諦めて仕事を見つけてから、もう一度医療保険に申し込むことをおすすめします。
保障額が少なくなる可能性がある
無職でも一度医療保険に申込んだ結果、加入を認められることもあります。
しかし保障額に制限があり、働いている人よりも少なくなってしまう可能性があります。
これは収入がなくても医療保険への加入を認めているため、保障額を減らして保険会社のリスク軽減をしているためです。
加入できても通常加入のときよりも制限を受けてしまうことを理解したうえで、医療保険に加入する必要があります。
正社員で仕事に就いていても医療保険に加入できない職業がある
医療保険は基本的に仕事に就いていて一定の収入がある状態であれば、加入が認められることがほとんどです。
しかし医療保険では、ついている職業によって加入が認められないことがあります。
一般的にオフィスではたらくサラリーマンの場合、危険にさらされる可能性が少ないです。
一方で、自動車やオートバイを使ってテストをする方や、競争選手として常に危ない環境で仕事をしている方は、医療保険への加入が認められません。
医療保険は様々な条件の加入者の状況を考慮して、公平に保障がいきわたるように保険設計がされています。
そのため医療保険に保険を利用する頻度の高い条件を抱えている人が加入してきた場合、保障内のバランスが崩れてしまう可能性があるのです。
また登山家や潜水士等、自然の中で仕事をしている人も、医療保険加入時に制限が付けられる可能性がありますので、注意が必要です。
無職を隠して保険に加入すると告知義務違反になる
無職だと医療保険への加入を断られてしまう可能性が高く、例え加入できても保障額が少ないなど制限付きになってしまいます。
このようなことから無職であることを隠して、医療保険に加入を目指す人もいるかもしれませんが、これは告知義務違反となってしまうため絶対にやめてください。
告知事項は自分で記入するものなので、無職であることを隠して加入することは可能です。
ただ加入後に無職がバレてしまうと、告知義務違反となってしまい契約自体が無効となってしまうため注意が必要です。
保険料を支払っていても契約解除
無職を隠して医療保険に加入してしまうと、告知義務違反となりきちんと保険料を支払っていてもバレた時点で契約解除となります。
職業欄に限らず、事実を記入せず虚偽の告知で加入するのはとてもリスクが高いことなので、絶対にやめてください。
保険金支払が認められない
告知義務違反をして加入すると、たとえきちんと保険料を支払っていて保険金支払い事由が起きても、バレてしまうと保険金支払いは認められません。
それまでしっかり保険料を納めていても、告知義務違反になってしまうと契約解除だけでなく、保険金支払いが認められないためそれまでの保険料の払い損になってしまいます。
そうならないためにも、正しく告知しなければならないのです。
在職状況に関しては保険会社は調べられない
加入の際の告知事項に職業記入欄が設けられており、これに現在の職業を記入することで告知となります。
ただ告知で現職を記入しても、在職確認などの状況確認を保険会社はすることはありません。
あくまでも契約者のモラルセンスに任せています。
そうはいっても告知義務違反をするようなことなく、正しく告知して加入することは当たり前のためしっかり守ってください。
無職でも医療保険に加入したいなら保険のプロに相談
無職では医療保険に加入はできませんが、求職中や失業手当受給中でも病気のリスクはあるため、もしも備えて医療保険に加入しておきたいと考える人もいるでしょう。
しかし加入できるかは保険会社やその人の状況によって異なるため、保険に詳しいプロに相談しながら決めるのがおすすめです。
加入できるかどうかはもちろん、ライフプランも一緒に考えてくれるなど、保険の提案以外のアドバイスも受けられます。
無職でも加入できる保険会社を紹介してもらえる
無職では加入できる医療保険は限られており、それを素人が探し出すには調べて申し込んでみなくてはいけないなど、手間と時間がかかります。
しかし保険のプロに相談すれば、それまでの経験で無職でも加入しやすい医療保険を釣り扱う会社を知っている可能性があり、よりスムーズに保険に加入できるのです。
本当に医療保険が必要かをライフプランから判断してくれる
無職で病気のリスクに対する不安から、医療保険に加入しなくてはいけないと思っている人もいます。
しかし本当にそれが正しい選択なのか、ライフプランから判断してくれるのも保険のプロの良いところです。
医療保険が本当に必要なのか、ライフプランによって優先するべきものは変わります。
それをプロの視点からアドバイスしてくれるため、安心し相談できるのです。
無職でも公的制度で医療費を軽減できることも
ここまで無職で医療保険に加入することについて解説しました。医療保険は、病気やケガに入院・手術をした際にその医療費として活用もできますが、生活費の補填として考えられていることが多くあります。
しかし無職だと生活費よりも医療費の心配から、医療保険に加入したいと考えるのではないでしょうか。
もし医療費の心配から医療保険への加入を考えているのであれば、公的制度で医療費の負担軽減も可能なことを知っておくべきです。
日本の公的健康制度は非常に優秀で、少ない負担で医療を受けられます。
そこでここでは、医療費負担を軽減する公的制度について解説します。
健康保険制度
健康保険制度は、医療機関を受診した際の負担割合を軽減するもので、一般の人が保険適用の治療を受けるのであれば、3割負担で医療を受けられる制度です。
無職であれば国民保険になるため、国民保険料を正しく支払っていればこの制度を活用し、医療費負担を減らせます。
高額療養費制度
高額療養費制度は、手術や入院などによりその月の医療費が高額になってしまうときに、負担軽減するための制度です。
この制度を利用すれば、所得に応じて決められた限度額を超えた分の支払いが、後日返還されるという制度です。
この制度を利用できるようにしておくことで、手術や入院などで医療費負担が大きくなっても、自分に設定された限度額以上の負担がなくなります。
入院や手術になってしまった場合は、必ず利用できるようにしておきましょう。
入院費用が払えない方向け!医療費負担軽減に役立つ6つの公的保障を紹介します
限度額認定証
高額療養費制度では、一度窓口精算時に限度額を超えた分も支払い後日返金という形になります。
しかしこれだと高額の医療費を一度負担しなくてはいけないため、無職の人とっては厳しいこともあります。
そこで窓口精算前に限度額認定証を取得しておくのがおすすめです。これを取得しておくことで、限度額以上の負担を必要とせず決められた金額を支払えば済むようになります。
一時的とはいえ、大きな負担が厳しい人やあらかじめ手術や入院で高額な医療費がかかることが分かっている人は、限度額認定証を取得しておくのがおすすめです。
無職でも医療保険が必要かを判断して申込するかを決めよう
無職の人は医療保険に加入できない理由や、加入するための方法について解説しました。
無職の人は保険料を継続して支払えない可能性や、モラルリスクの観点から医療保険に加入するのは難しくなっています。
しかしどうしても加入したいのであれば、保険のプロに相談したうえで、一度申し込んでみることも必要です。
ただ本当に医療保険が必要なのか、公的制度では賄えないかをきちんと検討しし判断するようにしましょう。