「もし今自分が亡くなった後、面倒な手続きが残って家族に迷惑が掛かったらどうしよう…」と不安になっているそこのあなた。
亡くなる前に身辺整理を行い、死ぬ前の準備を丁寧に行っておくことで、家族の負担を最小限におさえられます。
しかし身辺整理と言っても、何から始めればいいかわからない!という方も多いはずです。
死ぬ前にやっておきたい身辺整理は、以下の10個です。
- 財産(動産・不動産)のリストアップ
- 人間関係を整理して相続相手をきちんと決める
- 使っていない大きな家具の生前処分
- 葬儀に関する手続き
- お墓に関する手続き
- 臓器提供の情報をメモ
- 思い出の品の処理
- 死亡後の手続きチェックリストの作成
- 利用サービスの契約内容を整理
- TwitterやFacebook等のSNSのアカウント情報をメモする
今回は上記の整理を行うために、生前にすべき準備と身辺整理を行う上での注意点を徹底的に解説していきます。
目次
死ぬ前にやっておきたい10個の身辺整理!
①財産(動産・不動産)のリストアップ
保有している下記の財産(動産・不動産)をメモにリストアップして、死亡後に何を残すことになるかを、把握しましょう。
- 預金やタンス貯金などの現金
- 金や宝石などの宝飾品・骨とう品
- 不動産(土地・建物)
- 投資信託・株
- 保険
- 借金・負債
- ローン
財産をリストアップすることで、いつ自分が亡くなっても家族が財産の処理を進めやすくなります。
また財産の相続先を決める際にも役立ちます。
皆さんが死亡後の財産を相続できるのは、法定相続人と呼ばれる「配偶者・子・親・兄弟姉妹」を指します。
生前にどれだけ相続させられる財産があるかを把握しておくと、財産分与の時に残された家族が探し出してリストアップする手間も省けるのです。
売れるものは売っておくのが〇
不動産・車など、売れる状態にあるものは、売却して換金しておくことをおすすめします。
不動産や車などは維持管理に費用が掛かるほか、固定資産税や自動車税など、所持しているだけで税金がかかります。
日常生活でつかっていないのであれば、売却して現金化しましょう。
②人間関係を整理して相続相手をきちんと決める
皆さんご存じの通り、財産を相続できる相手は基本的に法定相続人と決められています。
法定相続人の範囲は、「配偶者・子供・親・兄弟姉妹」の順で決められています。
誰に残せるかを書き出して、相続人が誰かをきちんと把握してください。
相続人が決まったら、①で書き出した財産を誰に相続させるかを決めてみましょう。
稀に「亡くなった人の愛人だった」と相続権を主張する人が、死亡後に現れることもあります。
「誰に・何を相続させる」旨を記載した遺言書を、詳細に記入することで、トラブルを未然に防げます。
遺言書を完璧にしたいなら弁護士に依頼しよう
「遺言書を作っておいたから家族がトラブルになることはない」と思っていても、遺言書に不備が見つかって無効になり、家族間で泥沼のバトルになることもあります。
実は遺言書には形式があって、形式が守られていない遺言書には効力がないとされているのです。
万一の時のために、弁護士に依頼して遺言書の作成を依頼しておくと、完璧な状態で残せます。
家族間でトラブルが発生した時の対応もしてくれるので、懐に余裕があればぜひ利用を検討してみてください。
③使っていない大きな家具の生前処分
自宅に使っていない大きな家具がある場合は、生前に処分しておくことをおすすめします。
万が一死亡後に、不動産を売却することになった場合、使っていない家具類は業者に引き取ってもらうことになります。
大きい家具は引き取り費用が高くなりますから、家族に金銭的負担をかけることになります。
使用頻度が低い、長期間使っていない家具があれば、早いうちに処分しておきましょう。
④葬儀に関する手続き
自分の死亡後に葬儀を行ってほしいかのメモと、参列客のリストを用意しておくことをおすすめします。
また、葬儀を取り行う上で宗派の指定や納棺してほしい物品も、メモに残しておくと家族がスムーズに式を取り行えます。
余裕があれば遺影の写真も指定しておくと、家族の手間を省けます。
⑤お墓に関する手続き
家系的に入るお墓が決まっている場合は、納骨の際の手続きのメモも残しておきましょう。
また指定したい墓地があるなら、希望先としてメモに残しておいてください。
最近では海洋葬として散骨する方法や、遺骨からダイヤモンドを作って保管する方法等、納骨方法も多種多様です。
「どうしてもこの方法で納骨してほしい!」という希望があるなら、メモしておくとよいでしょう。
またパンフレット等を一緒に保管しておくと、家族もお墓の手続きに迷わなくて済みます。
⑥臓器提供の情報をメモ
免許証の裏などの臓器提供意思カードに同意しているなら、家族にその旨をメモとして残しておきましょう。
死亡後に臓器提供の意思が判明して、家族側が反対することもあります。
メモとして残しておくだけではなく、事前に家族間で話し合っておくことも大切です。
臓器提供意思カードは、あくまで本人の意思確認のため、最終的に判断するのは家族です。
知らされていない状況で家族に意思決定を求めないようにしましょう。
⑦思い出の品の処理
思い出の品の処理を行う際は、場所を取るものに関しては廃棄、換金性のあるものは骨とう品店やリサイクルショップなどで販売しましょう。
学生時代に取った賞の景品や賞状、卒業アルバム等は思い出の品の代名詞ではありますが、全部をまとめて保管しておくには場所を取ります。
廃品回収やごみとして捨てられるなら、きっぱりと廃棄してしまいましょう。
また趣味として切手や盆栽など、コレクションを多く抱えている方も居ます。
どうしても死亡するまでは手元に置いておきたい場合には、死亡後の処理方法についてメモを残しておきましょう。
中には家族が形見として保管することもあります。
見られて恥ずかしいデータがあるならソフトを活用して削除
パソコン内などに人に見られて恥ずかしいデータを抱えている人もいるでしょう。
最近ではデータを復旧できたり、パスワードを解除できる業者もいますから、死亡後に隠していたものが家族の前にさらされる可能性がありますs。
見られて恥ずかしいデータを消してくれる「遺言ソフト」を活用して、データを自動削除できるように、仕掛けを作っておきましょう。
⑧死亡後の手続きチェックリストの作成
死亡後には公的機関で下記の手続きを直ちに取り行う必要があります。
葬儀の準備等であわただしい中で、残された家族が何をしていいかわからなくなることもあるので、リストとして残しておきましょう。
この他にも加入している組合、状況によって手続きが増えますので、事前にリストアップして、チェックリストを作っておくといいでしょう。
手続き名 | 期限 | 詳細 |
---|---|---|
介護保険資格喪失届 | 死亡後2週間以内 | 介護保険証を持参し市町村役場で手続き |
住民票の抹消届 | 死亡後2週間以内 | 届出人の印鑑と本人確認書類を持参し、市町村役場で手続き |
年金受給停止 | 死亡後2週間以内 | 年金証書と除籍謄本を持参し、年金事務遺書で手続き |
国民年金の死亡一時金請求 | 死亡後2年以内 | 戸籍謄本・死亡した人の住民票除票・申請者の世帯全員の住民票・振込用の銀行預金通帳を持参し、市町村役場・年金事務所で手続き |
埋葬料/葬祭費請求 | 死亡後2年以内 | 請求書・健康保険証・死亡診断書・葬儀費用の証明書類を健康保険組合に提出/市区町村に提出 |
遺族年金受給手続き | 死亡後5年以内 | 年金手帳・戸籍謄本・世帯分の住民票の写し・住民票の除票・収入確認書類・死亡診断書のコピー・振込先の通帳・印鑑を年金事務所に持参 |
⑨利用サービスの契約内容を整理
定期購入しているサービスや、携帯代、公共料金の契約内容を整理して、リストアップしておきましょう。
特に携帯や定期購入しているサービスの場合は、パスワードで契約内容を管理していることもあります。
パスワードやIDを同時にメモしておくと、家族が死亡後に確認しやすくなります。
他の身辺整理と同様に、表として保管しておくことをおすすめします。
特にリスト化しておくべきサービスは、以下の通りです。
- クレジットカード
- 携帯
- サブスクリプション
- ネット契約
- 光熱費
- Wi-Fi
- 電話代
⑩TwitterやFacebook等のSNSのアカウント情報をメモする
Twitterやfacebookを活用している際に、死亡した旨を家族に投稿してほしい場合は、SNSアカウントの情報をメモしておきましょう。
IDとパスワード、登録時に使用したメールアドレスや電話番号を用意してください。
また各種SNSのアカウントを削除したい場合は、下記の対応を取ってもらう旨も記載しておくと、より親切です。
- Facebook:アカウント削除リクエストページで申請or追悼アカウントリクエストを送る
- Instagram:アカウント削除リクエストページで申請or追悼アカウント移行リクエストを送る
- Twitter:アカウント削除依頼ページから申請(鍵をかけるのも一つの手)
原則SNSのアカウントは放置していても問題はないので、趣味アカウントがある方は何もしなくてもかまいません。
家族に死亡後の処理を任せたくないなら死後事務委任契約を結ぶ
死亡後の後処理ができるのは家族だけですが、やることが多すぎて大きな負担になってしまうことがほとんどです。
死亡後に手続き関係で負担をかけたくないなら、思慕事務委任契約を行政書士と結ぶことも検討してみてください。
本来は身寄りのない人が、死亡後の契約等を管理してもらうときに活用する制度です。
葬儀の内容指定や、部屋の片づけ等、死後の身辺整理を依頼できる契約を指します。
家族や知人に依頼することも可能ですが、行政書士と契約してすべてを委任することも可能です。
もちろん預託する際には、費用も掛かりますので相場を確認して、払える額かを確認しておくとよいでしょう。
身辺整理を行うときの5つの注意点!守ってトラブルを回避
身辺整理を生前に行うときは、以下の5つの注意点を把握しておきましょう。
- 身辺整理を進める日程をきちんとスケジューリングする
- 捨てすぎ注意!必要なものまで手放すことになるかも
- 廃品回収業者は口コミを確認!悪徳業者が紛れている可能性
- 作業時間を決めて騒音トラブルを回避しよう
- 高価なものを譲るときはメモ書きを残しておく
以下で詳しく解説していきます。
身辺整理を進める日程をきちんとスケジューリングする
身辺整理を進めるぞ!と決断したのであれば、いつに何を行うかをきちんとスケジューリングしましょう。
やる気にあふれすぎて短期間ですべてを済まそうとする人もいますが、体力的にも時間的にもすぐにすべてを完了できません。
長期間かけてじっくりと、漏れのないように整理を進めていかなければならないので、日程管理はしっかりと行いましょう。
捨てすぎ注意!必要なものまで手放すことになるかも
「家族のために断捨離するぞ!」と家庭内のものをすべて捨てようとすると、必要なものまで手放してしまうこともあります。
物を整理して捨てているときは、きちんと判断ができているように思われがちですが、何度も繰り返すうちに基準を忘れてしまうことがあります。
必要なものまでポイと捨ててしまうこともあり、後になって公開することもあります。
まず何が部屋にあるのかをきちんと把握してリスト化し、必要なものとそうでないものをチェックしておくことをおすすめします。
廃品回収業者は口コミを確認!悪徳業者が紛れている可能性
物を捨てる時にお世話になるのが廃品回収業者ですが、口コミをよく確認しておかないと、悪徳業者に依頼してしまうことがあります。
廃品回収業者の中にはきちんとした対応をしてくれるところもありますが、中には見積もり代等何かにつけて費用を請求してくるところもあるのです。
廃品回収業者の比較サイトもありますから、口コミをよく確認しておかないと、行政に頼んだ方がかえって安上がりだった…なんてこともありますので注意が必要です。
作業時間を決めて騒音トラブルを回避しよう
身辺整理の作業に集中していると、昼夜問わずに作業を進めてしまうこともあります。
夜間に重いものを運んでいたり、探し物をしていると近所迷惑になることもあります。
作業時間をきちんと決めて、騒音トラブルにならないように、事前に対策を取っておきましょう。
高価なものを譲るときはメモ書きを残しておく
高価なものを他人に譲るときには、証明書やメモ書きなどを残しておかないと、死亡後にトラブルになることがあります。
コレクションや骨とう品な度を友人に譲ったことを、生前家族に伝えないまま亡くなり、家族が相続できるはずのコレクションや骨とう品を探して大騒ぎになることも予測できます。
きちんと渡したことを生前に伝えておくことも大事ですが、もしも家族が忘れていた時のためにメモ書きを用意しておくと、トラブルを回避できます。
身辺整理を死ぬ前に進めて死亡後の家族の負担を軽減しよう
いかがでしたか?
万が一死亡した時のために、身辺整理を行うことは、残された家族の負担を軽減できます。
しかし、すべきことや注意点を把握しておかないと、かえってトラブルを起こす火種にもなりかねません。
身辺整理を行う前にきちんと段取りを決めて、一つずつクリアしていきましょう。