皆さんご存じ学資保険は、子どもの小さいころから保険料を毎月積み立てて、子供の成長するタイミングに合わせて保険金を受けとれる保険です。
祝い金として進学するタイミングで保険金を受け取るか、大学進学後1年に一度まとまった金額を分割して受け取るといった2つの方法が用意されています。
しかし保険金などまとまった金額を受け取るときに気になるのが、税金の課税額。
日本ではお金を受け取った場合に課税対象になることがほとんどですから、「せっかく子どものための学資保険なのに多額の税金がかけられたらどうしよう…」と不安に感じている親御さんもいますよね。
今回はこれから学資保険の祝い金受け取りを控えている親御さん向けに、学資保険の祝い金に適用される税金の種類とどの程度の金額が子差し引かれるのかを解説していきます。
目次
学資保険は祝い金の受け取り方で課される税金が変わる
学資保険は加入当初設定した祝い金の受け取り方によって、課される税金が変わります。
以下で一つずつ確認していきましょう。
進学など決まったタイミングで受け取るなら一時所得
中学進学、高校進学、大学進学は入学に当たって備品や入学金を支払わなければならないため、保険金の支払いタイミングを進学に合わせている方もいるかもしれません。
進学など決まったタイミングで保険金を受け取るのであれば、一時所得として認められますが学資保険の場合は非課税になることがほとんどです。
通常一時所得は、所得金額からその分の金額を受け取るために使った費用を差し引いた金額から、50万円の特別控除額を差し引いた金額×1/2の金額に対して課税される仕組みになっています。
つまり学資保険の場合には、
の金額に対して税金が課されます。
しかし皆さんもご存じの通り学資保険の返戻率は100~103%程度が一般的ですから、いくら運用期間が長くても特別控除額50万円を超えることは少ないでしょう。
仮に祝い金額から支払った保険料を差し引いた金額が4万円だった場合、特別控除額50万円を差し引くと-46万円になるので、課税対象としては認められないことになります。
一定期間毎年受け取るなら雑所得
大学進学後の授業料を目的に一定期間毎年まとまった金額を祝い金として受け取るのであれば、雑所得として認められます。
一定期間毎年受け取る=年金の扱いになるためです。
学資保険の祝い金を雑所得として計算される際には、以下の計算式で計算されます。
この計算式で導き出される金額が、皆さんのご家庭の雑所得として認められます。
雑所得は給与所得を得ている家庭であれば、20万円までは非課税枠として認められますので、祝い金の金額と支払った学資保険料の金額を当てはめて一度計算してみることをおすすめします。
20万円を超えているようであれば、確定申告の義務が生じるので注意が必要です。
また学資保険の雑所得で20万円を下回っていても、そのほかの雑所得と合計して20万円を超えていれば確定申告を行いましょう。
注意!学資保険の契約者と受取人の関係性でも税金が変わる
学資保険の祝い金受け取りの方法だけではなく、保険自体の契約者と受取人の関係性によっても、税金の種類が変わります。
以下で一つずつ確認していきましょう。
契約者と受取人が同じなら問題ない
上述した雑所得や一時所得は、契約者と受取人が同じ場合に課されるもので、一種の所得税として認められます。
一般的に学資保険は父親か母親の名義で契約し、自分の子供を被保険者に指定して受取人を契約者である自分に設定します。
契約者と受取人が同一であれば、税金が高額になる心配は少ないでしょう。
契約者と受取人が異なるなら贈与税の扱いになる
「孫のために学資保険を契約しておいて、進学のタイミングでまとめて渡してあげたい…!」と考える祖父母の方もいますよね。
この場合契約者が祖父母で、被保険者と受取人が子供に指定されることもあるでしょう。
契約者と受取人が異なる場合には、贈与税が適用されて所得税とは異なる計算式で税金が算出されます。
非課税枠以下の金額なら税金はかからない
贈与税は以下の計算式で算出される仕組みになっていますので、受け取る金額が控除額である110万円を下回っていれば税金はかかりません。
また仮に祖父母の方が110万円を超えて学資保険を契約していた場合は、控除を差し引いた金額に対して課税が行われます。
ただし学資保険の契約金額の相場は200万円と言われていますので、仮に200万円の契約をしていても、控除額を差し引いて90万円にのみ課税が行われることになります。
贈与税は200万円以下の場合10%の税率と定められているので、9万円を贈与税として支払うことになります。
学資保険を受け取ったら確定申告すべきなの?
「学資保険で祝い金を受け取ったときに確定申告すべきか心配」と考えている方もいますよね。
確定申告は非常に面倒くさいですから、だれしも避けたいもの。
以下でパターンごとに解説していきます。
支払った保険料=受取金額になるので不要
基本的に契約者=受取人の場合には、支払った保険料が受取金額と同程度になるので、確定申告は不要になります。
支払った保険料が戻ってきているだけで、特別控除枠の金額内に収まっていれば、申告の義務はありません。
事由により保険料払い込みが免除されるなら申告が必要
学資保険には保険料払込免除特約という特約が用意されていることがあります。
払込免除特約とは、保険料の払い込みを行う契約者が亡くなった場合に、残りの保険期間の保険料納付を除外してくれる制度のことです。
しかし保険料払込が免除されてしまうと、残りの保険期間分で形成されるはずの保険金は、保険料を支払うことなく得る所得となります。
つまり一時所得としての特別控除額の50万円をや雑所得の20万円を超えてしまう可能性が出てきます。
学資保険を契約してから短期間で契約者が亡くなって、保険料の払い込みが免除されている場合は一時所得や雑所得として課税対象になる可能性があることをおぼえておきましょう。
学資保険の課税で損をしないためのポイント
学資保険の課税で損をしないためには、以下の3つのポイントを把握しておきましょう。
- 生命保険料控除を受けるために一時払いはしない
- 契約者と受取人を同一にする
- 子どもが吹く数人いるなら夫婦で契約を分ける
以下で詳しく解説していきます。
生命保険料控除を受けるために一時払いはしない
学資保険は短期間の保険ではありますが、生命保険の一種としてカウントされます。
保険料の金額に応じて所得税と住民税の控除が受けられるので、一種の節税対策になります。
ただし生命保険料控除が適用されるのは保険料を支払っている期間のみになりますので、一時払いで一括で保険料を支払ってしまうと残りの保険期間の保険料支払いが亡くなってしまいます。
最初の一年間のみ生命保険料控除が適用されるので、残りの期間は税控除が受けられなくなります。
契約者と受取人を同一にする
上述したように一般的な学資保険の契約であれば、一時所得として認定された方が課税される心配は少ないですよね。
契約者と受取人を同一にして、一時所得として祝い金が認められるように契約時に設定しておく必要があります。
ただし多くの家庭では父親が保険の契約を行い、受取人として指定されることがほとんどなので、あまり気にする必要はないでしょう。
子どもが複数いるなら夫婦で契約を分ける
子どもが複数いるのであれば、夫婦で契約を分けて契約しましょう。
上述した生命保険料控除は保険契約ごとの保険料に対して課されるので、別々に契約しておくことでより控除を活用できます。
ただし契約者と受取人は同一人物にしておくことを忘れないようにしてくださいね。
学資保険の課税方法を理解して損せず加入しよう
いかがでしたか?
学資保険は契約形態によって祝い金をもらえるタイミングが異なります。
タイミングごとにまとめて受け取るなら一時所得、年金形式で受け取るなら雑所得になります。
一般的な金額での学資保険加入であれば、課税対象にはなりにくいので、高額な契約をしていなければ高額な納税の心配は少ないでしょう。
課税される方法を確認しておいて、存せず加入できるようにしましょうね!