ストレス社会の日本では、うつ病などの精神疾患に苦しむ患者数が年々増加傾向にあります。
症状の程度にもよりますが、うつ病に罹患すると適切な処置を行わないと、仕事のやる気や成績にも影響を及ぼすため早期の治療が必要です。
しかしうつ病の治療の際には、一度ストレスの原因から離れることを進められることも多く、仕事を一定期間休まなければなりません。
仕事を休んでいる期間は給料がもらえませんから、うつ病の治療に対する不安だけではなく、経済的不安にも悩まされてしまいます。
実は国や自治体が提供している公的保障の中には、8個の給付金・経済支援制度があることをご存じでしょうか。
今回はうつ病に悩まされている皆さん向けに、働けない期間に利用できる給付金・支援制度を紹介していきます。
目次
うつ病の患者数は年々増加!経済的不安を抱える人が多い
厚生労働省のHPによれば、うつ病が含まれる気分障害患者数は、15年前と比べると約2倍近くにまで増加しています。
平成14年 | 711,000人 |
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平成17年 | 924,000人 |
平成20年 | 1,041,000人 |
平成23年 | 955,000人 |
平成26年 | 1,116,000人 |
平成29年 | 1,276,000人 |
(参考:>厚生労働省「知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス」)
もちろん時代が進むにつれて診断基準も変わっていますから、一概に増加だけしているとは言い難いですが、うつ病等の気分障害の患者数の増加に伴い人々からの認識も広まっています。
症状によって治療法が異なるので治療期間が長い
一口にうつ病と言っても、症状によって治療法が異なるので、治療期間が長くなることもあります。
2~3か月の治療で快方に向かうこともあれば、治療法が合わずに数年間同じ症状が続くこともあります。
精神科や心療内科の医師との相性もありますから、一度治療を始めてから完治するまでの時間が予測できないことがほとんどです。
また一度完治しても些細な要因で再発することもあります。
重症になると仕事に取り組めない状況にもなる
うつ病を放置していて重症化すると、仕事にも取り組めない状況に陥ることもあります。
「ちょっと気分が落ち込むけど、気のせいだ」と自己判断で放置していると、仕事に打ち込めなくなってしまい、仕事に打ち込めなくなってしまいます。
どれだけ仕事に打ち込んできていても、出勤する気力すらわかなくなってしまうこともあります。
うつ病の人が利用できる8個の給付金・経済支援制度
うつ病に罹患すると、仕事がままならず一定期間休職することもあります。
休職している期間、下記の給付金・経済支援制度を活用すれば、お金の不安が緩和できる可能性があります。
- 傷病手当金
- 障害年金
- 自立支援医療制度
- 精神障害者福祉手帳
- 労災申請
- 雇用保険による失業給付
- 生活福祉資金
- 生活保護制度
以下で詳しく解説していきます。
①傷病手当金
傷病手当金は組合健保・協会けんぽなど、企業の健康保険に加入している人が利用できる制度です。
医師の診断を受けて、診断書の内容や症状の程度が組合側の支給条件に該当している場合、支給が認められます。
つまり確実に受給できるわけではありませんので、注意が必要です。
退職後にも支給を受けられることもありますが、最終出勤日に出勤してしまうと支給要件を満たしていないと打ち切られてしまいます。
しかし働いていない期間の生活費を一定期間保障してもらえるので、治療に専念できるメリットがあります。
傷病手当金の受給できる金額は、月収の約2/3です。
②障害年金
障害年金は、年齢にかかわらず病気やケガになった際に、誰でも新s寧することで受け取れる制度です。
障害基礎年金と障害厚生年金の2パターンがあり、元々加入していた年金制度によって受給できる種類が変わります。
国民年金に加入している場合には障害基礎年金が、厚生年金に加入しているときには障害厚生年金が支給されます。
下記の障害等級に応じて、支給金額が決定されます。
1級 | 身体機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
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2級 | 身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 傷病が治らないで、労働が著しい制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度のもの |
(引用:政府広報オンライン)
うつ病の場合、基本的に3級に該当することが多いです。
障害年金で受給できる金額は、7万円~15万円の間で年金事務所や市区町村によって判断されます。
③自立支援医療制度
自立支援医療制度とは、精神科や新r尿内科に通っている方の、通院時の医療費自己負担額が1割に減額される制度です。
精神的疾患であれば基本的に受給要件に該当するので、安心です。
利用できる金額に上限はなく、診断・薬剤処方等、基本的な通院治療で行う処置の費用負担を軽減できる制度です。
自立支援医療制度に対応している病院でのみ利用できるので、すべての医療機関で医療出来ない点には注意が必要です。
精神科でかかる医療費負担を軽減できるだけなので、内科や外科での医療費は負担軽減の対象外になる点には、注意が必要です。
④精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳とは、精神科で診断される精神疾患のいずれかに罹患している人が受給できる手帳のことを指します。
受診してすぐに手帳が交付されるわけではなく、診断を初めて受けてから6か月以上経過している人が対象になります。
また手帳には下記の通り、精神障害者福祉手帳独自の障害等級が設定されています。
1級 | 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
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2級 | 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの |
(引用:厚生労働省精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について)
精神障碍者保健福祉手帳をもらうことで、下記の割引・支援制度が利用できます。
- 公共交通機関の運賃割引
- 携帯電話料金割引
- 水道料金割引
- 公共施設利用料の割引
申請するには、お住まいの市区町村の窓口で、医師の診断書と本人確認書類、証明写真、個人番号の確認できる書類を用意しておきましょう。
⑤労災申請
ブラック企業などで、明らかにうつ病の原因が職場にあると、判断を受けた場合には労災申請を出すと給付金が受け取れます。
会社の担当に労災保険給付を受けたい旨を伝えて、証明書を取得しましょう。
労働基準監督署に自分で書類を提出後に、調査が行われて支給可否が決定されます。
企業側に労働が原因であるとの証明をしてもらう必要があるので、ハードルは高いですが、明らかな証拠がある場合には通る可能性もあります。
ただし調査から支給開始までには時間がかかるので、速攻性のある方法とは言えないデメリットもあります。
⑥雇用保険による失業給付
うつ病が原因で退職した場合、企業で加入していた雇用保険を活用して、失業給付を受けることが可能です。
失業保険の受給できる期間は、皆さんの属性によって異なりますので、担当者にといあわっせてみる事をおすすえmします。
雇用保険に加入してから12か月が経過しないと利用できないので、新卒や転職したての人が利用できないのがデメリットです。
また病気の状態でハローワークに申請すると、傷病手当を受け取ることが可能です。
傷病手当は離職した日から1年間受給が可能です。
受給期間中にさらに病気やケガ等で働けなくなったときには、働けない期間分だけ追加で延長が可能です。
雇用保険の受給金額は日額計算で、下記の通り年齢ごとに金額区分が設けられています。
30歳未満 | 6,845円 |
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30歳以上45歳未満 | 7,605円 |
45歳以上60歳未満 | 8,370円 |
60歳以上65歳未満 | 7,186円 |
(引用:ハローワーク)
⑦生活福祉資金
うつ病等の病気で一時的に収入がなくなり、生活が困窮している場合に、生活費を貸し付けてもらえる制度です。
低所得者世帯や障碍者手帳等の交付を受けている人が利用できる制度で、3か月間分を月あたり最大20万円まで生活費を貸し付けてもらえます。
連帯保証人を設定すれば無利子で貸し付けてもらえるので、短期でどうしてもお金が足りないときに利用できる制度であるといえます。
⑧生活保護制度
うつ病が原因で仕事を辞めてしまい、生活費のあてがなくなってしまった場合には、生活保護の受給も検討してみてください。
各自治体の役所で申請し、各条件を満たせば利用可能です。
病気の治療に専念して社会復帰をしたいものの、お金のあてがないときに利用を検討してみてください。
うつ病の人が給付金・経済支援制度を利用するときの注意点
うつ病の人が給付金・経済支援制度を利用する際には、下記の注意点を把握しておきましょう。
支給・取得条件をよく確認する
うつ病にかかって各種給付金・経済支援制度を利用する際によくあるのが、制度の名前だけを把握していて取得条件までよく確認していないことです。
支給・取得条件を確認せずにいると、何も利用できずに経済状況を改善できません。
お金の不安を解消しなければ、かえって精神状況が悪化する可能性がありますので、注意が必要です。
給付を受けている間は治療に専念する
給付を受けている間は無理に行動せずに、治療に専念して社会復帰を目指しましょう。
うつ病にかかっている人の中には、給付を受けている間も何かしら行動しようとして、かえって精神状況が悪化してしまうこともあります。
給付を受けている間は治療に専念するようにして、仕事から距離を置くようにしましょう。
うつ病の原因が環境にあるなら治療しながら転職を検討しよう
うつ病の原因が働いていた環境にあるなら、治療しながら転職を検討しましょう。
仮に治療のために職場を離れたとしても、また復帰した時に環境が改善されていなければ、同じことの繰り返しになります。
環境を変える行動はリフレッシュにもなりますから、段階を踏んでチャレンジしてみてください。
うつ病と付き合いながら仕事を探す時に使える相談先
うつ病と付き合いながら、環境を変えるために仕事を探すのであれば、下記の相談先を利用してみてください。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは各都道府県に設置されている、精神疾患を抱える人向けのサポート施設です。
こころに関する相談を受け持ってくれるので、生活上の不安から社会復帰に関する相談まで乗ってくれます。
公的機関が運営しているので安心です。
電話での相談にも対応してくれるので、社会復帰に関する情報を集めたいのであればぜひ利用してみてください。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営するサービスです。
精神疾患を抱えている方向けにも支援を行っており、職業リハビリテーションサービスを手委y工しています。
各都道府県の主に県庁所在地に設置されており、各種公共交通機関で行くことが可能です。
精神疾患を抱えている方向けのサービスもあり、就職先の紹介だけなく就職に必要な準備までサポートしてくれます。
こちらは無料で利用できるので、ぜひ一度利用を検討してみてください。
給付金制度を利用してうつ病の治療に専念しよう
いかがでしたか?
うつ病にかかると通常通り仕事をするのが困難なため、一時的に仕事を休んでしまうこともあります。
働けない期間の金銭的不安を放置していると、さらに精神状況が悪化してしまう可能性も生じます。
国や自治体の提供している給付金制度で、ある程度の金銭的援助を受けられる可能性があります。
併用のできないものもありますが、該当するものに申請して、不安を解消していきましょう。