家族が亡くなった時の悲しみは精神的に辛いものがありますよね。
経済的不安、今後の不安など。
今まで考えていなかった不安が一気に押し寄せます。
そこで国の制度として、条件を満たすことで遺族に一時金として支給される「死亡一時金」があります。
今回は「死亡一時金」の受給要件から受給までの流れを徹底解説します。
正しく受給を行うためのメソッドとしてしっかり確認しましょう。
目次
3つの受給要件を確認しよう!
まず初めに受給の要件を確認しましょう。
受給手続きをする上で、受給要件を満たしているのかを確認する必要があります。
大きく分けて3つのポイントがありますので、一つずつ解説します。
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受給要件①亡くなった方が第1号被保険者であること
1つ目の受給要件は亡くなった方が第1号被保険者であることです。
この第1号被保険者とは自営業、農業。漁業者、学生などが対象です。
会社員は厚生年金に加入しているため、第2号被保険者となりますので、対象外となります。
ちなみに第3号被保険者は第2号被保険者の配偶者が該当しますが、こちらも対象外なので注意しましょう。
受給要件②亡くなった方の年金納付期間が36カ月以上であること
2つ目の要件は亡くなった方の年金納付期間が36カ月以上であることが条件です。
この納付期間にも1つ注意しなければいけない点があります。
それは年金納付額の免除期間です。
年金納付額の免除期間とは、一定期間の年金納付金額を下げて納付することができる期間です。
その際に納付金額が4分の1免除されている場合は、免除期間の4分の3が納付期間としてカウントされます。
納付金額が2分の1免除されている場合は、免除期間の2分の1納付期間としてカウントされます。
その合計が36カ月以上であれば対象となります。
受給要件③亡くなった方が国民年金の給付を受けていないこと
最後の3つ目の受給要件は亡くなった方が国民年金の給付を受けていないことです。
これは老齢基礎年金や障害基礎年金の受給をしていない方が対象です。
では老齢基礎年金や障害基礎年金が受給する方はどのような方でしょうか?
・国が定めた老齢年金を受給する年齢に達した方(現在は65歳以上)
・ケガや病気をして障害認定を受け、障害年金を給付されている方
上記の2点が老齢基礎年金や障害基礎年金を受給される方です。
この上記の方は受給対象外となりますので、注意しておきましょう。
正しく受給する3つのポイント
受給対象の要件を3つ解説しましたが、亡くなった方がすべての要件を満たしている場合は「死亡一時金」を受給することができます。
この項目では正しく受給するための3つのポイントを紹介します。
受給手続きの流れから受給できる人の条件、受給金額に絞って解説しますので、一つずつ押さえておきましょう。
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受給手続きの方法を確認しましょう
まずは受給手続きの流れです。
- 必要書類の準備
- 請求書の記入
- 請求
- 死亡一時金の受け取り
上記が大まかな流れです。
実際に受給するまでにはスムーズに受け取れて1ヶ月ほど、書類不備などがあれば2ヶ月前後かかるケースが多いです。
受給までの流れを円滑に行って、スムーズに受け取りまでを行いましょう。
では手続きを一つずつ紹介します。
必要書類の準備
まずは必要書類の準備になります。
必要書類は下記です。
- 国民年金死亡一時金請求書
- 亡くなった方の年金手帳
- 戸籍謄本
- 請求者の世帯全員の住民票の写し
- 死亡一時金受け取り先の金融機関の通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印でも可)
戸籍謄本や世帯全員の住民票の写しは市区町村役場などへ行く必要があるので、亡くなった直後の死亡届を提出する際に一緒に申請して取得しておきましょう。
また年金手帳を紛失したりなどの理由で、無い場合は正当な理由があれば問題ありません。
ただ理由の記入する用紙が必要なので、市区町村役場で確認しましょう。
請求書の記入
次は請求書の記入です。
請求書の取得方法については、市区町村役場などで取得できるほか、各役所のホームページなどでもダウンロードして印刷できます。
記入自体はそこまで難しいものではないので、取得次第記入しましょう。
請求
3つ目は請求を行います。
必要書類と請求書を持って住所がある市区町村役場、年金事務所、年金相談センターに書類を提出しましょう。
年金事務所や年金相談センターは地域によって無い場合もあるので、住所地の市区町村役場で提出するのが手っ取り早いでしょう。
死亡一時金の受け取り
最後は死亡一時金の受け取りです。
先程も記述した通り、スムーズにいけば1ヶ月ほどで指定した口座に振り込まれます。
ちなみに死亡一時金は非課税対象なので、その年の確定申告は不要となります。
受給できる人の条件を確認しましょう
受給までの流れが分かったところで、受給できる人の条件を確認しておきましょう。
受給できる人にも優先順位があります。
- 配偶者
- 子供
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
上記の1から6の順番が優先順位です。
優先順位が高い方が受給することができるので、押さえておきましょう。
受給金額を確認しましょう
最後は死亡一時金の受給金額です。
36カ月以上の納付期間が必要であることは、受給要件の項目で解説しました。
もちろん36カ月以上納付している人もいるので、その納付期間によって死亡一時金の受給金額は変動します。
下記が納付期間ごとの受給金額となります。
月数 | 受給金額 |
---|---|
36カ月以上~180か月未満 | 12万円 |
180カ月以上~240か月未満 | 14万5000円 |
240カ月以上~300か月未満 | 17万円 |
300カ月以上~360か月未満 | 22万円 |
360カ月以上~420か月未満 | 27万円 |
420 カ月以上 | 32万円 |
(引用:死亡一時金制度の概要)
上限は32万円までとなります。
死亡一時金の受給に関する注意点3選
正しく受給する3つのポイントを解説しました。
受給までの流れや概要はそこまで複雑な制度ではありません。
ただ大切な人が亡くなった際の手続きなので、心苦しく思われるかもしれません。
最後は受給に関する注意点を簡単に3つに分けて解説します。
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注意点①遺族基礎年金との関係
1つ目の注意点は遺族基礎年金との関係です。
受給要件の中で、老齢基礎年金と障害基礎年金の給付を受けていない場合、受給の対象となると説明しました。
それに加えて、遺族基礎年金の受給対象だった場合、受給の対象外になります。
- 亡くなったからの配偶者に子供がいる場合
- 遺族が子供の場合
上記が遺族基礎年金の受給対象なので、受給手続きの際は注意しましょう。
注意点②寡婦年金と併せて受給
2点目は寡婦年金と合わせて給付することはできません。
寡婦年金とは亡くなった夫との婚姻関係が10年以上続いており、妻が60歳から65歳の間まで受給できる年金のことを指します。
これは第1号被保険者独自の制度です。
この寡婦年金と死亡一時金の両方を受け取ることができず、どちらも要件を満たしているのであれば、どちらか一方を選ばなければなりません。
どちらも受給対象ならば、誤って両方を請求しないようにしましょう。
注意点③受給の権利期間
最後の注意点は受給の権利期間内に請求しなければいけないことです。
死亡一時金の受給の権利期間は、亡くなった日の翌日より2年間です。
ただし、行方不明者などは失踪宣告翌日から2年となるので注意が必要です。
正しい受給をするために
いかがでしたでしょうか。
受給要件を満たせば誰でも請求することができます。
他にも受給までの手順、請求時の注意点まで解説しました。
大切な人が亡くなった際は死亡一時金の請求だけでなく、他にも様々な手続きが必要となります。
様々な対応に追われる中で、焦らずゆっくりと行動に移しましょう。