台風19号の千葉県での対規模な被害が記憶に新しい今、全国各地で台風やゲリラ豪雨、線状降水帯などで水害に見舞われる地域が増えています。
自宅が冠水してしまったり床上浸水で家具がだめになってしまったりと、一瞬で大切な家の中がめちゃくちゃになってしまうことも。
そこで最近話題になっているのが火災保険の水災補償です。
火災保険に水災補償を付帯していると、水害に見舞われた時でも保険を適用して災害の損害を修理できます。
しかし水災補償の詳細について把握している方は少数ではないでしょうか。
またこれから水災補償をつけておきたいと考えている人も中に入るでしょうから、加入前にどこからどこまでが補償範囲に含まれるのかを確認しておくべきです。
今回は火災保険の水災補償についてフォーカスして、補償内容や加入時の注意点について徹底的に解説していきます。
目次
火災保険の補償範囲は非常に幅広い
「え?火災保険なのに水災っておかしくない?」と疑問に思う方もいるでしょう。
火災保険は火災と名前はついているものの、国内で販売されている商品の多くが火災に限らず、住居が被る災害による損害を補償できる保険なのです。
そのため水災補償だけではなく、台風や竜巻などの突風による吹き飛ばしや雪による雪害にあったとしても、保険会社の定める条件を満たしていれば保険金が下りて修理が可能です。
また建物だけではなく契約内容によっては電化製品や家具なども補償対象に含められるので、住居全般を補償してくれる保険なのです。
火災保険の水災補償で補償を受けられる災害って?
火災保険の水災補償を活用して補償を受けられる災害は、主に以下の3つです。
- 洪水
- 高潮
- 土砂崩れ
豪雨や台風による雨で上記の災害に見舞われた時は、火災保険の活用を検討しておきましょう。
洪水のなかには、排水機能が追い付かなくなったマンホールや側溝からの水のあふれも含まれます。
沿岸部での高潮も補償範囲に含まれますので、沿岸部にお住まいの方も利用可能です。
また土砂崩れと聞くと水災とは結び付けづらいですが、雨との関連性がみられるのであれば、保険金の受給対象に含まれます。
詳細に知りたい!という方は、保険会社の提示している実際の受給例を確認してみましょう。
台風で家が被害に!火災保険でどこまで補償できるのかを徹底解説
水災補償を活用して損害を補償するための条件
上記で水災補償を適用できる水害を紹介しましたが、当てはまればすべてに保険金が支払われるわけではありません。
水災補償を受けられる条件は、以下の2つになります。
- 保険金の補償対象が時価で30%以上の損害を受けている
- 地盤面から45㎝を超える浸水による被害や床上浸水が認められる
火災保険では建物か家財あるいはその両方を保険金の補償対象に設定できます。
保険金の補償対象が時価、つまり災害当時の価値で30%以上の損害を受けている場合には保険金を活用できます。
また保険会社によっては損害額の計算が変わることもありますので、各自約款や支払い条件に目を通しておきましょう。
ただし自分では判断がつかないため、専門の修理業者に見積もりを依頼したほうがスムーズでしょう。
また床下浸水の場合は基本的に保険金申請が認められませんので、注意が必要です。
注意!水が関連していても水災補償が受けられない災害もある
「水害なら水が関連する災害すべて保障できるんじゃないか」と思われがちですが、下記で紹介する水に関連する災害でも水災補償が受けられないことがあります。
- 地震や火山活動による津波や土砂崩れ
- 自分の部屋や他の部屋からの漏水被害
以下で詳しく解説していきます。
①地震や火山活動による津波や土砂崩れ
実は火災保険では地震や火山活動による住宅の被害は保険金の支払い対象外に含まれます。
日本は地震と火山の活動が頻繁に起こる国であり、これらの災害が発生した場合の損害は甚大になります。
そのため火災保険ではなく、地震や火山活動による災害は別途、地震保険に加入して補償を受けることになります。
そのため沿岸部で津波が発生して巻き込まれてしまっても、地震による地盤のゆるみで土砂崩れが発生してしまっても、火災保険では修理を行えないんです。
基本的に地震保険は火災保険と同時に加入することが多いので、火災保険加入時に同時に加入しておく方が良さそうです。
②自分の部屋や他の部屋からの漏水被害
賃貸住宅に住んでいると近隣の住民との生活スペースが非常に近く、隣や上の部屋で漏水が起こると自分の部屋にまで被害が発生することもあります。
賃貸契約を結んでいる場合には、大家さんにたいして退去時までに原状回復を行う義務が発生しますので、自費で修理しなければなりません。
ただし配水管の故障などで漏水が発生してしまった場合は、雨など自然災害が直接絡んでいるわけではありませんから、保険金の補償対象には含まれないんです。
漏水被害を補償したいのであれば、別途水濡れの特約を付加しておく必要があります。
保険金の請求期限の3年を過ぎているときも補償が受けられない
上記の災害に関しても把握しておく必要がありますが、保険金の請求期限にも気を配っておきましょう。
罹災してしまってから忙しくて保険金申請を忘れていたけど、思い出したころに請求しよう!としても災害が発生してから3年経過している場合には補償が受けられないんです。
また保険金請求時には、被害状況を証明しなければなりませんから、時間が経過して何も被災当時の証拠が残っていないと保険金が下りないことも。
被災してから忙しくても、迅速に対応する王にしましょう。
水災補償をつけるべきかを判断するポイント
ここまで読んでいて水災補償をつけるべき迷っている方は、以下の判断ポイントを参考にしてみてください。
- 加入している火災保険が住宅総合保険か住宅火災保険か
- 地域のハザードマップで水害の確率を判断する
- 低層階に住んでいる
- 地盤の緩い地域かを名前で判断してみる
以下で詳しく解説していきます。
加入している火災保険が住宅総合保険か住宅火災保険か
火災保険には大きく分けて住宅総合保険か住宅火災保険かの2つに分けられます。
加入している火災保険が住宅火災保険の場合には、以下の4つの補償が主に付帯されています。
- 火災
- 破裂・爆発
- 落雷
- 風災・雹災・雪災
上記の通り基本的な保障のみで、水害の補償は含まれていないのが現状です。
一方で住宅総合保険の場合は上記の補償に加えて、破損・汚損、水濡れ、水災などが含まれており様々な災害に対応できる保険になっています。
水災補償が必要かどうか迷っている方は、まずご自身が加入している火災保険がどちらに分類されているかを確認しましょう。
住宅火災保険に加入しており必要最低限の保障のみの場合には、水災補償をつけることを検討しましょう。
地域のハザードマップで水害の確率を判断する
過去に住んでいる地域で水害が発生しているかを、行政が発表しているハザードマップを確認して判断してみましょう。
水災補償をつけることによって火災保険の範囲が広くなりますから、月々あるいは年ごとに支払う保険料が高くなってしまいます。
必要かどうかを判断するために、地域で水害が発生するかどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。
また下水道にも注意を払っておきましょう。
マンホールなどに水が溜まって排水が追い付かなくなり、噴水のように水が噴き出す都市型の洪水も実際に見られています。
都市部であっても浸水被害に遭う可能性があるため、下水道が近所に集まっているかどうかも確認しておきましょう。
低層階に住んでいる
マンションにお住まいの方で低層階に住んでいる方は、水災補償をつけることを検討してみてください。
低層階に住んでいる方は地盤面からの距離が近いため、他の階に住んでいる方よりも早く浸水してしまう可能性があります。
実際に台風による大雨で一階部分がすべて冠水してしまったという方もいます。
海抜や河川からの近さも考慮しながら、水災補償をつけるかを判断しましょう。
地盤の緩い地域かを名前で判断してみる
水害では地盤が緩んで土砂くずれを起こしてしまうこともありますが、自分でボーリング調査を行うわけにもいきませんから、どう判断したらいいかわからないですよね。
実は土地の名前から地盤の弱さを推定できるといわれています。
主に水に関連する名前が土地名に入っている場合には、要注意です。
例えば
- 池
- 沢
- 岸
- 泉
- 鴨
などは要注意です。
地盤の緩い地域では土砂崩れが起こるリスクが高いですから、備えておいて損はないでしょう。
地域名を確認して土地の成り立ちを調べてみると、埋め立て地や地盤の緩い土地化を判断できますので、一度確認してみることをおすすめします。
火災保険の水災補償って後から追加できる?
「すでに火災保険に加入しているけど、水災補償を追加しておきたい…」という方は、加入期間中に補償を追加できるかが心配になる方もいますよね。
火災保険の水災補償は、年に一回に設定されている保険始期応当日に申請することで追加可能です。
ただし数年に一回の満期日に重なっている場合には、保険更新と合わせて検討する必要があります。
また手続きが始められるのは応答日の3か月前からですので、可能な限り早めに連絡して対応できるようにしましょう。
異常気象に備えて火災保険に水災補償をつけるべきかを判断しよう
いかがでしたか?
テレビやネットで異常気象に関して報道される機会が多い今、大雨や洪水に備えて水災補償をつけるべきか迷われていることでしょう。
水災補償の内容を把握して、自分の住んでいる地域でつけるべきか否かを判断するようにしましょう。
また水災補償といっても、水に関連する災害を常に補償できるわけではなく、地震や水漏れなどは異なる保険や保障で対応することになりますので、注意が必要です。
さまざまな災害リスクを考慮して、火災保険に水災補償を追加するかを判断してみてくださいね!