お風呂に入る、水道を使おうとしてもお湯が出ない…急に給湯器が壊れてしまうと焦りますよね。
通常の給湯器でも十分に修理費用が掛かりますが、エコキュートに替えているご家庭もあるでしょう。
エコキュートは購入したメーカーによっては、通常の給湯器よりも高額になることがありますので、簡単に直そう!と思い立てるものではありません。
実は加入している火災保険の保障内容によっては、補償を使って修理費用の足しにできるのです。
しかし保険は無条件で使えるわけではありませんから、故障している状態が補償の利用条件に当てはまっているかを理解しておく必要があります。
この記事では、給湯器が故障した場合に火災保険を使う際の条件と、利用時の注意点を解説していきます。
目次
条件にあてはまれば給湯器は火災保険で修理可能
家庭の給湯器の故障は、以下の条件に当てはまれば火災保険で保険金を請求できます。
落雷や風災など自然災害による故障
落雷や風災など、自然災害による故障であると証明できると、火災保険の補償を活用して保険金で修理が可能です。
給湯器を使用中に落雷が発生し、サージ電流によって内部の機材が故障してしまうこともあります。
また、台風による突風で外部にある設備に損傷が発生し、使用不可能になることもあります。
利用者であるみなさんが何の手も加えていない状態で、給湯器が故障した場合には火災保険に保険金を請求できるのです。
自然災害と認められるかは保険会社によって異なる
「落雷が起きた後に壊れたから自然災害!」「水に浸かって壊れたから水災!」と自分で判断しても、保険会社の判断によっては認められないこともあります。
例えば水災補償が適用されるのは、地盤面からの45㎝以上の床下浸水や、再調達価額の3割のいずれかに該当する場合です。
また気候条件を証明する書類をそろえても、保険会社の調査員の判断によって、どの程度の保険金を支払うかが決まります。
冬場の寒さによる凍結も場合によって補償される
寒い地域では冬場に雪や寒さで給湯器が凍結してしまうことがあります。
こういった場合も火災保険が適用できる場合もあるため、寒い地域にお住まいの方は火災保険を確認しましょう。
凍結によって給湯器が故障した場合に、火災保険を使うにはまず水濡れ損害補償が適用される保険である必要があります。
また、火災保険によっては水道管修理費用保険金という特約として扱われることがあるので、凍結による給湯器の故障は必ずしも火災保険が使えるわけではありません。加入している保険内容を確認しておきましょう。
電気的機械的事故特約が付帯されている
火災保険に電気的機械的事故特約が付帯されていれば、自然災害以外でも保険金が支払われます。
偶然起きたショートなどの使用途中での故障や、内部の設備が凍結して破損してしまった場合にも保険金が支払われます。
補償対象として認められるかは、通常の補償と同様に保険会社の判断によって、支払われるかが変わります。
使用頻度や機械の整備状況などを加味して判定されますので、注意が必要です。
建物に火災保険の特約が付帯されている
建物に火災保険の特約が付帯されていることも、火災保険の利用条件の一つです。
「給湯器は機械だから家財になるんじゃないの?」と思う方も多いでしょう。
給湯器は建物に付帯しているため、火災保険上建物補償でなければ利用できません。
家財保険のみの契約の場合、火災保険を使って給湯器の修理は出来ませんので、注意が必要です。
火災保険を使って給湯器を修理するときの注意点
火災保険を使って給湯器を修理するときの注意点は以下の通りです。
- 各自然災害の補償が無いと保険が使えない
- 経年劣化による故障は補償対象外
- 保険金は額面通りに受け取れない
- メーカー保証期間外でなければ補償対象外
- 賃貸住宅の給湯器故障は通常の火災保険は使えない
以下で詳しく解説していきます。
各自然災害の補償が無いと保険が使えない
火災保険では自然災害による故障であっても、各災害に対応できる保障が無ければ、保険が使えません。
火災保険では基本的に、基本の火災・風災・爆発・破裂保障が含まれています。
しかし保険会社によってはそれ以外の補償は、特約として付帯する必要があります。
加入している保険の補償を確認して、故障の原因と照らし合わせる必要があります。
経年劣化による故障は補償対象外
長期間使用している、あるいは経年劣化による故障が認められる場合には、自然災害が原因でも補償対象外になります。
火災保険で補償されるのは、あくまで突発的かつ予測不能な状態で発生した損害のみです。
経年劣化の場合は、電気的機械的事故特約でも補償対象外です。
経年劣化による部品の故障も、補償対象外になります。
地震による被害も補償対象外
火災保険は、火災だけでなく台風などの自然災害による被害を補償してくれるものです。
日本は地震大国ともいわれており、地震によって給湯器が壊れてしまうこともあります。
しかし、地震によって給湯器が壊れてしまった場合は補償対象外となります。
地震で生じた被害を補償する保険として、地震保険というものがありますが、この保険の対象となるものは建物のみと限定されているものがほとんどです。
また、地震被害により建物と同時に給湯器が壊れてしまった場合には地震保険の補償対象となることもありますが、地震による被害は火災保険ではカバーできません。
保険金は額面通りに受け取れない
給湯器の故障を火災保険で修理するときには、被害額を額面通りに受け取れないことがほとんどです。
火災保険を契約する際は、保険金に対してみなさんが付帯すべき免責金額が適用されます。
免責金額は数万円程度から設定でき、高いほど保険料を安くできます。
保険金支払い時には、調査員によって算定された保険金から、免責金額を差し引いた額が口座に振り込まれます。
つまり仮に30万円の修理費用が掛かる際に、免責金額が5万円に設定されていると、25万円分を保険会社から支給されることになります。
残りの5万円は、自己負担で支払うことになるので、注意が必要です。
被害額が免責金額以下の場合も受け取れない場合がある
上記で説明したように、火災保険には付帯すべき免責金額が適用されています。
免責金額が5万円に設定されている保険であれば、修理費が30万円だった場合、免責金額を差し引いた25万円が保険金となりますが、修理費用が5万円以下と免責金額以下の場合は補償が受けられないこともあります。
給湯器の修理や点検にかかる費用は、燃焼系部品の場合7,000円〜、電装系部品の場合1万円〜とされています。給湯器ごと取り替えるとなれば10万円以上かかることもありますが、故障箇所により修理費用も大きく異なります。
また、加入する火災保険によって免責金額も異なりますので、自身が加入している保険の免責金額を予め確認しておきましょう。
メーカー保障期間外でなければ補償対象外
給湯器には基本的にメーカー保証期間が設定されています。
メーカー保証期間内に給湯器が壊れてしまった場合には、優先的にメーカー保証を使うことになります。
メーカー保証期間内に火災保険に保険金を請求しても、断られてしまいますので注意が必要です。
賃貸住宅の給湯器故障は通常の火災保険は使えない
賃貸住宅での給湯器故障は、入居者が加入している火災保険は利用できません。
賃貸住宅で加入する火災保険は、一般的に家財に対する補償のみで構成されています。
賃貸住宅の給湯器は建物設備ですので、賃貸住宅の家財専用火災保険は活用できないのです。
ただし管理人の不手際などで故障した場合には、借家に賠償責任保険が活用できる可能性があります。
また故障時は管理組合に一応申告してみると、解決策を提示してもらえる可能性もありますので、検討してみてください。
給湯器の修理に火災保険を利用する場合の手順
火災や台風などの自然災害により給湯器が壊れてしまった場合の主なステップは以下のとおりです。
- 被害状況を確認し、写真を撮っておく
- 保険会社に連絡をする
- 修理業者に連絡、見積もりを依頼する
- 申請書類を作成し、提出する
- 火災保険会社による現地調査
- 保険金の支払い
それぞれ詳しく解説していきます。
1.被害状況を確認し、写真を撮っておく
まずは給湯器の保証期間をご確認ください。メーカーの保証期間内であれば、火災保険は適応できないため、メーカーに連絡をします。
メーカーの保証期間外の場合は、給湯器の被害状況を確認してください。
給湯器はガス漏れなどで爆発することもありますので、まずは安全を確認しましょう。
台風の飛来物などで給湯器に傷がついてしまったり凹んでしまった場合には、自分で直そうとせずになるべくそのままにしておきます。
もし片付けが必要な場合でも、保険会社に見せられるよう写真を撮ってください。
1枚だけでなく、色んな角度から数枚撮っておくことをおすすめします。
被害日時やその他の被害状況などを併せてメモしておくと説明がスムーズにできます。
2.火災保険会社に連絡をする
被害状況が確認できれば、火災保険会社に連絡をしましょう。
保険会社に担当者がいれば、担当者に直接連絡すると契約内容なども併せて確認してもらえるため申請がスムーズに進みます。
オンラインで加入した火災保険など担当者がいない場合には、カスタマーセンターなどに連絡ください。
3.修理業者に連絡、見積もりを依頼する
修理業者への手配は自身で行う必要がありますので、給湯器の修理・交換業者を探しましょう。
修理費用の相場を知るためにも、1社だけでなく複数の業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
最近では不当な保険金を請求させようとする悪徳な業者もいます。
慎重な判断をするためにも複数の業者に依頼することが大切です。
4.申請書類を作成し、提出する
保険会社へ提出するための書類を作成します。火災保険会社によって異なりますが、提出する主な書類は、以下のとおりです。
- 保険金請求書
- 修理見積書
- 被害箇所の写真
- 事故内容報告書
- 損害明細書
- 住民票
- 印鑑証明書 など
書類によっては役所などで発行してもらう必要のあるものもあります。
急いで申請したいという場合には、保険会社に連絡する際に必要な書類についても事前に確認しておきましょう。
5.火災保険会社による現地調査
書類申請後、ヒアリングだけで終わることもありますが、火災保険の担当者の方や調査人が派遣され、現場を見て被害状況の確認をします。
片付けてしまった場合には、現場を見ながら写真で説明しましょう。
虚偽の報告をした場合には保険金の支払いが拒否されることもありますのでご注意ください。
6.保険金の支払い
現地調査まで無事に終われば、保険金が支払われます。
保険金は、現地調査後1〜2ヶ月程度で支払われますが、大規模な災害で被害数が多い場合には支払いが遅れることもあります。
いつまでも支払われない場合は問い合わせてみましょう。また保険金の支払い明細は、ハガキやメールなどで届きます。
エコキュートなど増設した場合は火災保険会社に連絡しよう
火災保険の加入期間中に、エコキュートなど新しく給湯器を設置した場合は、保険会社への連絡が必要です。
火災保険の保険料は、補償する家の設備や建設されてからの経過年数によって決まります。
建物設備に変化があった場合は、保険会社に申告する義務があります。
設置から時間がたっている場合で申告を忘れていた場合には、保険会社に相談してみてください。
メーカー保証を有効活用する方法を考えよう
火災保険は自動車保険とは異なり、利用したからといって保険料が高くなるわけではありません。
しかし保険金を申請してから修理業者に依頼して、保険金を口座に振り込んでもらうまでには時間がかかります。
保険金が振り込まれるまでずっと給湯器が使えないのは、生活に支障が出ますよね。
メーカー保証を有効活用して、火災保険よりも早く修理を優先しましょう。
メーカーによっては、追加料金を支払うことで保証期間を延ばせます。
火災保険を活用して給湯器の被害を補償しよう
いかがでしたか?
夏ならまだしも冬に給湯器が故障してしまうと、死活問題ですよね。
給湯器の故障が自然災害や突発的な故障であれば、特約が付帯されていれば保険を活用して、保険金で修理が可能です。
しかし経年劣化やメーカー保証期間内に起きた故障は、火災保険の補償対象外になります。
また保険会社に給湯器設置を未申告の状態で、保険金を申請しても対応してもらえない可能性があります。
いつ保険金を申請するタイミングが来ても対応できるように、普段から火災保険の管理を怠らず、定期的な補償内容の確認を行いましょう。