何らかの事情で生活保護を受けている、これから受けるかもしれないという人の中には、病気になったときの不安を抱えている人もいます。
生活状況が厳しいからこそ、病気の時に困らないようにしておきたいと考えてしまいますよね。
しかし生活保護受給者は、原則医療保険に加入はできません。また加入には条件もあります。
そこでこの記事では、生活保護受給者が医療保険に加入する条件や注意点などを中心に解説します。
目次
生活保護受給者は原則医療保険には加入できない
生活保護受給者の中には、医療保険に加入し病気に備えたいという考えを持つ人もいます。
しかし結論から言うと、生活保護受給者は原則医療保険には加入できません。
現在の日本法律や財政状況から、医療保険に加入できる人生活状況の人は、生活保護受給資格から外れてしまい受給できないことが決まっています。
これは、生活保護受給者が資産形成を行ってはいけないと規定で決まっているからです。
この規定により資産形成に当たる貯蓄性のある医療保険や、年金型の保険には加入できないということなのです。
では医療費はどうなるのか?疑問を持つ人もいるでしょう。
生活保護受給者は、各自治体にある福祉事務局から「医療券」と呼ばれるものが発行され、病気やケガをしたときは指定の医療機関を受診すれば、医療費がかかることがないため無理に民間医療保険に加入する必要がないと考えられています。
しかし指定医療機関以外の受診や差額ベッド代はかかってしまうため、このような状況に備えて医療保険に加入しておきたいと考える人もいるでしょう。
生活保護受給者の医療保険加入が不可能なのはあくまでも「原則」なので、ある条件を満たせば医療保険に加入はできます。
生活保護を受給しながら医療保険に加入する条件
生活保護受給者は、原則医療保険に加入できないことやその理由について解説しました。
資産形成をしてはいけないという観点から、貯蓄性のある医療保険などへの加入を禁止しており、指定の医療機関であればお金がかからず病院を受診できるため、民間の医療保険に加入しなくても医療費の心配はいらないからです。
しかし指定の医療機関以外の受診や差額ベッド代に関しては、この医療券が適用されないため、万一に備えて医療保険に加入しておきたいと考える人もいます。
そこで生活保護でも条件を満たせば加入できる場合もあります。
前提として、資産形成不可能なものになります。
これ以外にも、保険料が定額なもの・保険料に関する条件があるためここでは、医療保険に加入する条件について解説します。
解約返戻金が30万円以下のプラン
まず生活保護受給者が医療保険に加入できない理由が、規定で資産形成ができないためです。
そのため医療保険に加入するためには、解約返戻金が30万円以下のものであると決められています。
解約返戻金の高い保険は、保険としての機能だけでなく一時金や満期金を受け取ると、生活費の一部として利用できてしまうと捉えられてしまい加入ができません。
また高すぎる死亡保障も、契約者が死亡すると残された家族が莫大な遺産を手にしてしまう可能性があるため、資産形成となり加入できないのです。
資産形成と見なされてしまう保険は
- 養老保険
- 終身保険
- 個人年金
- 学資保険
で、これらは高い貯蓄性の保険のため生活保護受給者は加入できません。
このような理由から、生活保護受給者は解約返戻金が30万円以下など低いものでないと加入を認められないのです。
解約返戻金は、支払った保険料と運用利率をかけて計算されるものですが、この解約返戻金が30万円以下であれば加入可能となります。
もし生活保護受給者で医療保険に加入を考えている場合は、ここに注意して掛け捨て保険などの加入になるでしょう。
月々の保険料が定額
生活保護を受給しながら医療保険に加入するための条件2つ目は、月々の保険料が定額のものです。
月々保険料が決まっていて、解約返戻金が少ない保険となると、死亡保障と病気に備えられる「掛け捨て型医療保険」が現実的でしょう。
もし掛け捨てではない保険に加入できる経済状況であれば、生活保護を受けなくても生活できると判断されてしまい、受給資格を失ってしまいます。
保険料が生計を圧迫しない
生活保護受給者が医療保険に加入するためには、保険料が定額のものと解説しましたが、この割合も最低生活費の10〜15%程度と決められています。
月々の保険料が定額と決まっているだけでは、人によって必要な保険が異なるため、人によって保険料が高額になってしまい家計を圧迫してしまうかもしれません。
それでは何のために生活保護を受給しているのかわからなくなってしまうのです。
そのためガイドラインを設定し、家計を圧迫しないようにしているのです。
生活保護を受給しながら医療保険に加入するときの注意点
生活保護受給者は、原則民間医療保険への加入は認められていませんが、3つの条件を満たす保険であれば加入を認められることもあります。
しかし生活保護受給者が加入するときには、通常加入者には注意事項に気を付けなければいけません。
それは生活保護が国民の税金で賄われているからです。
そのため生活に活用するべき生活保護費を、資産形成に充てることを禁止しているのを正しく理解しておく必要があります。
そこでここでは、生活保護受給者が医療保険に加入するときに気を付けるべき注意点を解説します。
生活保護=国民の税金なので認められないことも多い
生活保護に必要なお金は、国民の税金で賄われています。そのため医療保険への加入を認められないことが多いことも理解しておいてください。
過度な解約返戻金があるような医療保険に加入できるような生活状況であれば、まずは生活を立て直し、生活に必要なお金を自分で働いて生み出せると考えられます。
生活保護はあくまでも、働けない理由があるなど弱者救済を目的に国民の税金を使っており、楽をして生活するためではありません。
そのため過度な資産形成ができる保険への加入は、禁止されているのです。
生活保護は、日本国憲法に記されている「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という法律の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保護する目的で行われているということを理解しておいてください。
加入前にはケースワーカーに相談が必要
民間医療保険に加入する前には、必ずケースワーカーへの相談が必要となります。
ケースワーカーは福祉事務局にいる人で、生活保護受給時にも相談に乗ってくれます。
このケースワーカーに医療保険の加入を検討していること、その理由などを話して適切なのか判断してもらう必要があるのです。
相談しなくてはいけない理由は、生活保護費が国民の税金で賄われており正しく使われていないといけないからです。
そのため加入時にはケースワーカーへ必ず相談し、適切な保険である判断してもらう必要があるのです。
保険自体が自己資産としてみなされる可能性もある
先ほどから言っているように、保険自体が自己資産とみなされてしまう可能性もあり、加入できない可能性があります。
生活保護受給者は、自己資産を持つことを禁止しており、自己資産を持てるのであれば「自力で生活できるよね?」となります。
皆働いて生活費を稼いでおり、これをできない人が最低限の生活をするためのお金が生活保護費です。
そのため保険=資産とみなされてしまう可能性があるのです。そのため「原則」医療保険を含む保険には加入できないとなっているのです。
生活保護受給者の医療費はどうすべき?
生活保護受給者の医療保険加入には、厳しい条件が付いておりどのような保険でも加入できるわけではないことは十分に理解できたと思います。
その根底には、国民が働いて収めている税金で生活保護費が賄われているという理由があり、適切に使用されなければいけないからです。
しかし生活保護であろうとなかろうと、病気やケガのリスクはつきものです。
そのようなときの医療費はどうすればよいか不安に思っている人もいるでしょう。
そこでここでは、生活保護受給者の医療費はどうするべきかについて解説します。
健康保険制度脱退の代わりに医療費が無料になる
生活保護を受給すると、それまで加入していた健康保険制度を脱退することになります。
健康保険制度の資格は失いますが、その代わりに「医療券」が福祉事務局から発行され、これを使えば医療費が無料になるのです。
医療券を使える医療機関は指定されますが、医療費がかからないため安心して病院にかかれる仕組みとなっているのです。
ケースワーカーに連絡してみる
病気やケガで体調を崩してしまい病院にかかりたいのであれば、福祉事務局にいるケースワーカーへ連絡してください。
連絡をするとケースワーカーが必要書類を揃えてくれ、サインをすると「医療保険」を発行してくれます。
それを使い先ほど伝えた通り指定医療機関へ行けば、無料で受診できます。
福祉事務所がしまっているなら立て替えで後日支給される
もし福祉事務局が締まっている日に体調を崩してしまったり、ケガをしてしまったりした場合は、一旦医療費を立て替えておきその後福祉事務局へ行けば、後日かかった医療費を支給してもらえます。
福祉事務局は土日祝日がお休みのため、もし休日に病院へ行かなければいけなくなったら、このように対処してください。
生活保護受給前に加入していた医療保険はどうなる?
医療保険と生活保護は、多くの方にとって大切な安心のサポートとなっています。
生活保護を受給しようと考えている際、既に加入している医療保険の取り扱いについての疑問や不安を感じる方も多いでしょう。
以下で詳しく解説していきます。
解約して解約返戻金を生活費に充てる
生活保護を受給する場合、所得や資産が一定の基準以下である必要があります。
既に医療保険に加入している方は、保険の解約を検討することも一つの方法です。
一般的に解約返戻金は、支払っている保険料の一部が積みたてられているものなので、実質みなさんの金融資産となります。
そのため生活保護を受給している期間に受け取った解約返戻金は、しっかり福祉事務所に申告しないと不正受給の対象としてみなされてしまう可能性があるのです。
受け取った解約返戻金文の生活保護費の返還が必要になるので、解約するタイミングに注意が必要です。
契約内容をケースワーカーに見せて相談が必要
医療保険の契約内容によっては、生活保護の受給資格に影響が出る場合があります。
一概に全ての医療保険が生活保護の受給資格に影響するわけではありませんので、まずは生活保護を担当するケースワーカーに、自身の医療保険の契約内容を相談することが重要です。
ケースワーカーは専門家として、具体的なアドバイスや指導をしてくれます。
医療保険金を受け取った場合は申告が必要になる
生活保護を受給している間に、医療保険金を受け取った場合、それは収入として申告する必要があります。
この申告を怠ると、不正受給とみなされることもあるので注意が必要です。
また、医療保険金の受け取りによっては、生活保護の受給資格が変動する場合も考えられますので、事前にしっかりと情報を得ておくことをおすすめします。
生活保護を受けながら医療保険に加入するならケースワーカーに相談
生活保護受給者の医療保険加入について解説しました。原則生活保護受給者は、医療保険を含む保険に加入はできません。
ただこれは原則のため、条件を満たせば加入できることもあります。
しかし生活保護受給者は、適切な医療を受けられるように国で保護されているため、過剰に心配する必要はないでしょう。
もしそれでも医療保険で備えたいという希望があれば、まずはケースワーカーに相談し必要かどうか一緒に考えてもらうようにしてください。