子どもが生まれ手続きをすると、0歳~15歳のあいだの子どもを養育している親に支払われるのが児童手当です。
この児童手当を子どもの教育費等の活用している人も多いですが、親が海外赴任で住民票が日本にないと受け取れないと知っていますか?
そこでこの記事では、海外赴任したときに児童手当がどうなるのか、受給できる条件を紹介します。
児童手当は中学卒業までもらえる!各年代の金額や受給時の注意点を解説
目次
児童手当って何?
子どもが生まれるとさまざまな手続きが必要となりますが、児童手当もその一つに含まれています。
児童手当とは、一定の年齢まで受給できる公的補助の一つで、受給するには収入面で条件を満たす必要があります。
1度申請したら終わりというものではなく、毎年受給に関する申請を行う必要のあるものです。
この児童手当を教育費として貯蓄している人もおり、受給家庭では大切な補助の一つとなっています。
0歳~中学3年生まで受給できる公的補助
児童手当は、0歳~中学3年生の15歳まで受給できる公的補助の一つです。
年齢によって受給できる金額が異なり、3歳未満は一律15000円・3歳以上~小学校終了前までは1万円(第三子は15000円)・中学生は一律1万円となっています。
支給時期は毎年6月・10月・2月で、前月分までの4ヶ月分を支給する形で、住民票の登録がある市町村から支給されています。
受給するには収入要件を満たす必要がある
児童手当は、子どもを持つ人ならだれでも受給できるというわけではなく、収入要件を満たしている必要があります。
所得制限限度額と扶養親族によって受給できるか否か、その額が変わってくるため申請する前に調べておく必要があります。
0人(前年末に児童が生まれていない場合など)所得制限限度額は622万円・収入の目安は833.3万円です。所得上限限度額は858万円で、収入の目安は1071万円となっています。
- 1人(児童1人の場合など)所得制限限度額は660万円、収入の目安は875.6万円です。所得上限限度額は896万円、収入の目安は1124万円となっています。
- 2人(児童1人 + 年収103万円以下の配偶者の場合など)所得制限限度額は698万円・収入の目安は917.8 万円となっています。所得上限限度額は934万円・収入の目安は1162万円となっています。
- 3人(児童2人 + 年収103万円以下の配偶者の場合など)所得制限限度額は736万円・収入の目安は960万円です。所得上限限度額は972万円・収入の目安は1200万円となっています。
- 4人(児童3人 + 年収103万円以下の配偶者の場合など)所得制限限度額は774万円・収入の目安は1002万円です。所得上限限度額は1010万円・収入の目安は1238万円となっています。
- 5人(児童4人 + 年収103万円以下の配偶者の場合など)所得制限限度額は812万円・収入の目安は1040万円です。所得上限限度額は1048万円・収入の目安は1276万円となっています。
所得制限限度額以上・所得上限限度額未満の人は、一律5000円の支給となります。
所得が上限限度額を超える場合は、児童手当の支給対象から外れます。
毎年申請して受給する
児童手当は、子どもが生まれたら現住所のある市町村に「認定請求書」の提出が必要となります。
ただこれは一度申請したら終わりというものではなく、毎年申請をしなくてはいけません。
この申請で所得制限を超えていないか確認しています。
最近は現況届を出さなくても良い市町村もありますが、まだ一部の地域では現況届の提出を求められるため、必要であれば提出するようにしてください。
海外赴任で児童手当がもらえるかはケースによって異なる
児童手当がどのようなものか、どうすれば受給できるのかわかって頂けたと思います。
基本的に現住所のある市町村から支給されるものなので、一家で海外赴任している場合は児童手当を受給できません。
仕事で海外赴任になる場合に、児童手当を受け取れ無くなってしまう可能性もあります。
しかし海外赴任でも児童手当をもらえるケースもあるため、ここではケースごとにどうなるかを解説します。
①親の片方が海外赴任する場合
基本的に児童手当は、年収の高い親に振り込まれるものです。
多くの家庭で夫の口座に振り込まれているのではないでしょうか。
もし海外赴任を夫だけがする場合、児童手当を受け取る人を妻に変更すれば継続して児童手当を受給できます。
日本にいない夫が児童手当の受給はできませんが、妻と子どもが残るのであれば、受給は可能となっています。
②両親が海外に行き子どもだけ国内に残る場合
夫が海外赴任し妻が帯同する場合もあります。
この場合年齢によっては、子どもだけが国内に残ることもあります。
そうなると子どもの住民票が日本になるため、児童手当の受給は可能となります。
子ども手当は子どもの面倒を見る人が受け取るようになり、祖父母であれば祖父を「父母指定者」にするとそこに振り込まれます。
また学校の寮に入寮するなど祖父母と同居しない場合も、子どもの住所が日本となるため受給可能となります。
③子どもだけが海外に住んでいる場合
子どもだけが海外で両親が日本に居住している場合は、子どもの住所が日本にないため原則は児童手当の受給はできません。
ただ留学の条件によって受給は可能となります。その条件とは、以下の3つになります。
- 日本から海外へ住所の移転をする日の前日までに3年以上日本に住所があった
- 教育を受けるために海外生活で両親等と同居していない
- 日本から海外へ住所を移してから3年以内
この条件を満たしていれば、子どもが海外留学で日本に居なくても児童手当を受給できます。
④家族全員で海外に転出する場合
家族全員で海外に転出する場合は、両親も子どもも日本に住民票がないため、児童手当の受給はできません。
児童手当の支給は、住民票の登録の有無で決まるため海外に住所を移すことで支給対象から外れるのです。
そのため住民票をそのままにしていると受給できてしまいますが、バレてしまうと返還を求められる・刑事罰に問われることもあるため注意してください。
海外赴任するときの児童手当の手続き方法
家族全員で海外赴任に帯同するとなると、日本に住所がなくなってしまうため児童手当の受給はできません。
その際には適切な手続き踏まないと不正受給となってしまい、あとから返還を求められてしまう・悪質と判断されると刑事罰に問われてしまうことがあります。
ここできちんと手続き方法を知り、処罰を受けないようにしてから海外赴任するようにしましょう。
自治体で受給者変更手続きをする
夫の海外赴任に妻が帯同しない場合、自治体で受給者変更手続きをします。
自治体での手続きには以下の書類が必要となります。
- 国外転居届:海外に転居する届出で現住所に提出するもの
- 児童手当・特例給付受給事由消滅届:児童手当の手続等を行う担当で必要事項を記入してください。自治体によっては海外転居届を提出することで自動的に手続きしてくれる場合もあるため、自治体で確認してみてください。
- 児童手当・特例給付認定請求書:新しい受給者の申請をするための書類です。新規手続きとなるので、受給者の本人確認書類や健康保険証・振込先の銀行口座の通帳・認め印などが必要になります。
以上の手続きで子どもの養育する人、妻や祖父母などに児童手当の受給者変更が完了します。
受給者を国内にいる配偶者に変更する
受給者を変更する際には、必ず日本国内に住所のある人にしてください。
海外赴任に妻が帯同しない場合は妻に、帯同する場合には子どもの面倒を見る人で日本国内に住所のある人に変更すると、児童手当を継続して受給可能となります。
提出期限を遵守して提出
児童手当は申請した翌月からの支給となるため、夫の海外赴任が決定次第すぐに手続きを進めてください。
児童手当は遡っての支給がないため、期限を守らないとその期間受給できなくなってしまいます。
特に「児童手当・特例給付受給事由消滅届」と「児童手当・特例給付認定請求書」の提出にタイムラグがあると、受給できない期間ができてしまう恐れもあります。
また提出期限が切れてしまうのも同様にその期間の受給ができないため、注意が必要です。
海外赴任後に児童手当がもらえないときの学費準備方法
家族全員で海外赴任になってしまうと、児童手当の支給条件から外れてしまいます。
児童手当を教育費の一つとしている家庭にとっては困ることかもしれません。
しかし児童手当だけではなく、別の方法で教育費を貯め準備しておくことも可能なため、受給できなくてもいずれかの方法で貯蓄しておきましょう。
学資保険
学資保険は毎月保険料として支払ったお金を積み立てながら、契約時に決めた年齢で満期金として受け取れる保険です。
保険料として支払うため、貯金が苦手な人でも教育費を貯められると昔から人気のある手段の一つとなっています。
プランによっては、中学・高校入学時などに祝金を受け取れるなど、ライフプランに合わせた保障を選べるのも特徴の一つです。
また契約者に万一のことがあったときに、それ以降の保険料支払いが免除されるなども安心できる一つとなっています。
貯金
貯金が得意な人は、自分で貯蓄するのも良いでしょう。
学資保険や外貨建て終身保険なども人気ですが、元本割れなどのリスクも伴います。
しかし貯蓄であれば、大きく増えることはありませんが、確実に必要な金額を貯められ減ることもありません。
使ってしまうことが不安であれば、定期預金などにして簡単におろせないようにするなどの工夫もおすすめです。
児童手当の支給要件を確認して海外赴任後も受け取ろう
児童手当は公的補助の一つで、子育て世代にはとてもありがたい制度となっています。
しかし家族全員で海外赴任すると、支給対象から外れてしまいます。
仮に夫だけが海外赴任の場合は、妻を受給者に変更することで、継続して児童手当を受給可能となるため、支給条件を確認して該当するかチェックしてくことが大切です。
状況を見極め、海外赴任後も受け取れるようであれば、すぐに手続きを開始してください。