自動車を買ったら任意保険に加入するのは当たり前!と思っている皆さん、実は任意保険に加入していない人が一定数いるんですよ。
この記事を読んでくれている方の中には、任意保険未加入の車と事故を起こし、損害賠償を請求する先に迷っている方もいますよね。
自動車購入後には任意保険に加入して万一の場合に備え、お互いの損失割合に応じて示談交渉を行いますが、相手のバックに保険会社がいない以上、どこに請求していいかわからないですよね。
しかも相手との直接交渉になると、逃げられて自分だけが損をするなんてことも起こる可能性があります。
今回は事故の相手が任意保険未加入の無保険車だった場合に、皆さんがとるべき行動とトラブルを回避する方法を解説していきます。
目次
実は自動車保険の任意保険の加入率は7割
実は自動車保険の任意保険加入率は7割なんです。
自動車購入時には、自賠責保険と任意保険に加入する必要があります。
自賠責保険は法律で加入を決められている保険で、加入しないと罰せられることはご存じでしょう。
しかし任意保険は、文字通り加入者の「任意」で加入する保険ですので、義務付けられていないのです。
事故時の賠償も、自賠責保険で足りない分を任意保険で補うシステムになっています。
事故の相手が任意保険に加入していないと、不足分を支給してもらえない可能性があります。
任意保険未加入の車と事故ったらどうする?
自動車保険の任意保険未加入の車と事故った場合には、以下の対処法を取りましょう。
- 相手の自賠責保険を活用してもらう
- 自分で加入している自動車保険を活用する
- 加害者に直接慰謝料を請求
- 勤務中や通勤中なら労災保険を活用する
以下で詳しく解説していきます。
相手の自賠責保険を活用してもらう
任意保険未加入の車と事故を起こしてしまった場合には、相手の自賠責保険を活用してもらいましょう。
どのドライバーでも自賠責保険には加入していますから、限度額は下記の通り定められていますが、一定額の賠償金は受け取れます。
後遺障害 | 3000万円 |
---|---|
後遺障害(常時介護) | 4000万円 |
傷害 | 120万円 |
死亡 | 3000万円 |
上記の状態に応じて保険金が支払われます。
自賠責保険会社に被害者請求をおこなわないと、支払が認められません。
請求に必要な書類は以下の通りです。
- 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 医師の診断書または死体検案書
- 診療報酬明細書
- 通院交通費明細書
- 付添看護自認書または看護料領収書
- 給与所得者事業主の休業損害証明書または納税証明書、課税証明書、農林漁業者または確定申告書等
- 被害者の印鑑証明
- 委任状および委任者の印鑑証明(死亡時事故等で請求権者が複数名の場合)
- 戸籍謄本
- 後遺障害診断書
- レントゲン写真等
物損は補償対象外
自賠責保険において物損事故は補償対象外で、人身傷害にのみ補償が適用されます。
仮に自宅に車が突っ込んで設備が壊れてしまっても、車同士で事故った場合でも、あくまでケガに対してのみ保険料が支払われるので注意が必要です。
物損事故の損害に関しては、加害者に対して直接請求するほかありません。
自分で加入している自動車保険を活用する
相手が任意保険未加入の場合は、自分で加入している自動車保険を活用することもできます。
加入している自動車保険会社に連絡して、加入している保険の保障内容に応じて保険金を請求してみましょう。
車両に損害が起きている場合には、車両保険から保険金をもらうことも可能ですし、搭乗者が他にいた場合は、搭乗者傷害保険で治療を行うことも可能です。
人身傷害保険に加入していれば、過失割合関係なく保険金を支払ってもらえます。
加入している自動車保険の内容を確認して、請求できる項目がないかを探してみましょう。
翌年の保険料が高くなる
自分で加入している自動車保険を活用すると、翌年の保険料が高くなってしまいます。
ノンフリート等級は保険利用に応じて、等級が下がっていきます。
等級が下がった分、保険料の割引率も下がりますので、注意が必要です。
加害者に直接慰謝料を請求
加害者に対して直接慰謝料を請求するのが、一番一般的な方法です。
加害者の自賠責保険でも足りない分や、物損部分に関して加害者に直接慰謝料を請求していきましょう。
話し合いで決めるため、トラブルに発展することもありますので、最終手段として民事裁判を起こす手もあります。
少額訴訟という訴訟を起こすことも可能です。
相手の支払い能力が見合わないと支払ってもらえない
相手と示談交渉をおこなったり、裁判を起こしても、相手の支払い能力が見合わずに支払いきれない場合もあります。
支払能力を超えている分に関して泣き寝入りすることもありますので、場合によっては分割払いなど相手に合わせた請求方法を取る必要も出てきます。
勤務中や通勤中なら労災保険を活用する
勤務中や通勤中に起きた事故なのであれば、労災保険を活用することも可能です。
自賠責保険と同時に受け取ることは不可能なので、片方を先に受け取っている場合はその分が減額された状態で受け取ることになります。
労災保険を利用したいときは、職場の担当者に問い合わせてみることをおすすめします。
任意保険未加入の車と事故ったときのトラブル回避法
任意保険未加入の車と事故ったときには、相手との直接交渉を行うため、トラブルに発展しやすいです。
さらに込み入ったトラブルにならないように、以下の方法を試してみてください。
- 警察には届け出る
- 慰謝料請求のために相手の情報を抑えておく
- 連絡を無視されているなら内容証明便を送る
- 示談成立を口約束で行わない
警察には届け出る
任意保険未加入の車と事故を起こした時、警察を呼ばずにその場で解決しようとする方もいます。
警察にはきちんと届け出ておかないと、後々相手に損害賠償を請求できないときに、自分の自動車保険を活用できなくなってしまいます。
保険金請求には警察が発行する「事故内容証明」が必要になりますので、きちんと警察に連絡して対処してもらうようにしましょう。
慰謝料請求のために相手の情報を抑えておく
任意保険に未加入の相手と交渉するときには、直接話し合いを進める必要があります。
事故発生時には気が動転していて、相手から電話番号を聞くだけでそれ以外の情報を何も聞けないなんて人もいます。
いざ交渉しようと思って電話を掛けたら、相手が電話番号を変えていて音信不通になることもあります。
慰謝料を請求するために、相手の氏名・免許証のコピーなど変更のきかない連絡先を聞いておくことをおすすめします。
示談成立を口約束で行わない
どうにかして示談を行い、成立した場合は、公正証書など法的拘束力のある書類を作成しておきましょう。
よくあるのが電話口での口約束で示談を成立させてしまい、後から「言ってませんけど?」となってしまうパターンです。
公正証書は法的に認められた文書になりますから、記載の内容には必ず従う義務が生じます。
また相手の踏み倒しを避けるために、強制執行の旨を記載しておけば、差し押さえも可能です。
どうしても対応してもらえないなら政府補償事業を活用する
相手が自賠責保険にも加入せず、任意保険も未加入だった場合、政府に対して補償を請求できます。
補償される金額などの内容は、自賠責保険と同様の金額です。
ただし補償対象外になる事故もありますので、注意が必要です。
相手が任意保険未加入ならトラブル回避のために先手を打とう
いかがでしたか?
任意保険に加入している側としたら加入するのはあたりまえのことですが、任意保険に未加入の人は全体の約3割と意外と多いです。
万一任意保険未加入者に当たってしまった場合には、今回記事で紹介した対処法を試してみてください。