働く女性が増えている今、出産の後に職場復帰を目指す方も増えてきました。
しかし「出産機関で働けない期間のお給料ってどうなるんだろう…」と気になる方も多いはず。
それまで旦那さんと一緒に働いて家計を回してきたのに、いきなり給料が半減してしまうと子供の出産費用も掛かりますから、やっていけるか不安になってしまいますよね。
実は企業に勤めている女性であれば、出産手当金の申請をすれば働けない期間の給料保障が受けられるんですよ。
今回は出産手当金を受け取るための条件から、申請方法まで徹底的に解説していきます。
目次
出産手当金は健康保険からもらえる出産・育児中の給与保障
出産手当金は健康保険から受け取れる、出産・育児中の給与保障です。
一般的に女性は産休を取得して、出産に備えます。
出産後は体調面も考慮して一定期間休むことになりますから、最低でも半年程度休むことになります。
出産手当金は働けない期間でもお給料と氏して、加入している健康組合から受給できます。
また、出産手当金には以下の特徴もあります。
- 給与の約67%が支給される
- 対象期間が決められている
- 雇用形態を問わずに支給を受けられる
- 支給期間中は社会保険料の支払いが免除される
以下で詳しく解説していきます。
給与の約67%が支給される
出産手当金は給与が全額支給されるわけではなく、本来受け取っていた給与の約67%が支給される仕組みになっています。
厳密にいうと、以下の計算式で求められます。
(参考:全国健康保険協会「出産手当金について」)
上記の計算式で求めると、約67%程度の金額になります。
ただし標準報酬月額とは、基本給だけではなく各手当や賞与も含まれますので、計算式をまちがえないようにしましょう。
対象期間が決められている
出産手当金は子供が小さいうちにずっともらえるわけではありません。
支給対象期間は、出産予定日前42日間と、出産後の56日間、最低でも98日間の支給が受けられます。
出産予定日ピッタリに出産できるのは稀ですから、実際の出産日が遅れた場合は、上記の期間に遅れた日数分が加算されることになります。
対象期間を過ぎた場合には、給付もなく無給与期間になってしまいますので、注意が必要です。
雇用形態を問わずに支給を受けられる
出産手当金を受け取るには、雇用形態は関係ありません。
あくまで健康保険に加入しているかが重要になるので、アルバイトやパートでも基準を満たして健康保険に加入していれば、出産手当金の受給が可能です。
ただし給与が発生している場合には、差額分の支給になりますので、注意が必要です。
支給期間中は社会保険料の支払いが免除される
出産手当金の支給期間中は、社会保険料の支払いが免除されます。
これまで給与支払い時に天引きされていた分は、出産手当金からは差し引かれなくなりますので、安心してください。
健康保険料や年金保険料、雇用保険料を支給期間中は気にする必要がないのはありがたいですよね。
出産手当金を受給できる3つの条件
出産手当金を受給するには、ただ妊娠して出産の予定があればいいわけではありません。
以下の3つの条件を満たしていなければ支給対象にはなりませんので、注意が必要です。
- 勤務先の健康保険に加入している
- 妊娠4か月以上
- 出産を目的に休暇を取得している
以下で詳しく解説していきます。
勤務先の健康保険に加入している
まず勤務先の健康保険に加入していることが、第一条件です。
出産手当金の支給元は、企業の健康保険組合です。
健康保険に加入してきちんと滞納なく保険料を支払っていれば、支給対象になりますので安心してください。
妊娠4か月以上
妊娠4か月以上経過している妊婦さんであることも、出産手当金の支給条件の一つです。
ただし出産手当金の支給開始が出産42日前と決められているので、基本的には誰でも該当する項目であるといえます。
妊娠4か月以上経過している方は、申請を検討してみてください。
出産を目的に休暇を取得している
出産を目的に休暇を取得していることも重要な条件です。
妊娠中の休養やそのほかの理由と組み合わせて支給を受けられませんので、注意が必要です。
注意!出産手当金の受給が認められないママの3つの特徴
以下の3つの特徴のいずれかに当てはまっている場合には、出産手当の受給が認められません。
国民健康保険に加入している
自営業やフリーランスとして働いていて、国民健康保険に加入しているママさんは、出産手当金の受給が認められません。
上述した通り、出産手当金は企業の健康保険組合が支給元になっています。
国民健康保険の管理は地方自治体が行っていますので、支給を行う仕組みがありません。
国民健康保険に加入している方は、他の方法で出産時の給与保障を検討する必要が出てきます。
健康保険を任意継続している場合も受給対象外
健康保険を任意継続している場合も、受給対象外になります。
あくまで今現在企業で働いている実績がないと、支給が受けられません。
健康保険の適用状況をよく確認していきましょう。
夫の勤め先の健康保険に加入している
夫の勤め先の健康保険に加入している場合も、出産手当金の支給は受けられません。
出産手当金は企業で働いていた女性が、出産のために一時的に職場を離れるときに、また職場に戻ってこられるように講じられた制度です。
扶養内に入っている女性に関しては、復職の目的に反しているため、出産手当金の支給対象にはなりません。
出産手当金を受け取れなかったら出産育児一時金の申請をしよう
夫の扶養内で健康保険に加入している、自営業で国民健康保険に加入している場合は、出産手当金の支給は受けられません。
しかし健康保険に加入している事実があれば、出産育児一時金の申請は可能です。
出産育児一時金は、よく出産手当金と混同されがちですが、まったくの別物です。
出産育児一時金は健康保険・国民健康保険の加入者が出産した時に支払われるものです。
一回につき42万円が支給され、医療機関に直接払いこんでもらって差額分を支払うことも可能なので、窓口負担を軽減できます。
万が一妊娠85日が経過して、死産や流産してしまった場合でも、同額が支給されます。
出産する予定の医療機関に問い合わせたり、自治体の受取代理制度を活用して市民センターなどでの手続きも可能です。
出産した日の翌日から2年間が支給対象になり、支給までに1か月半かかることがほとんどです。
正常分娩での出産費用は、大体50万円程度ですので、差額分の10万円を用意するイメージが固まるでしょう。
出産手当金の申請方法
出産手当金を受け取るには、産休に入る前に勤務先で健康保険出産手当金支給申請書を受け取りましょう。
出産のために入院したに病院にて、申請書の医師記入欄を埋めてもらいましょう。
産休が明けた後、申請書を勤務先に提出して、申請は完了です。
すぐに受け取れるわけではなく、2週間から最長2か月程度かかりますので、注意が必要です。
また内容に不備があると受理してもらえませんので、きちんと内容を確認してから提出するようにしましょう。
出産手当金を受給するときの注意点
出産手当金を受給するときには、以下の注意点を把握しておきましょう。
- 給与を受け取っている場合は手当金が減額される
- 出産してから支給されるまで期間があく
- 申請期限は2年間
- 退職者でも適用されるには3つの条件をクリアする必要あり
以下で詳しく解説していきます。
給与を受け取っている場合は手当金が減額される
勤め先から給与を受け取っている場合には、出産手当金が減額されます。
出産手当金は働けない期間の給与保障の目的で支給されていますので、給与を受け取っている場合には、差額分のみの支給になります。
産休期間中に出勤して仕事をしているなど、給与発生があると満額需給はできませんので、注意が必要です。
出産してから支給されるまで期間があく
出産してから支給されるまで、期間があきます。
実は出産手当金は毎月お給料のように支給されるわけではなく、出産後に企業に資料を提出してはじめて振り込みが受けられます。
つまり産休中は一定期間給料が入ってこないことになります。
出産に備えてえ日ごろから貯金が重要になります。
申請期限は2年間
出産手当金は申請期限が2年間に設定されています。
産休開始日の翌日から2年以内に申請しないと、支給が認められません。
2年を経過してしまうと、時効となり遅れて申請を出しても取り合ってもらえませんので、注意が必要です。
退職者でも適用されるには3つの条件をクリアする必要あり
退職者でも出産手当金を受給するには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。
- 退職日までに1年以上健康保険に加入していた
- 退職日に出産手当金の受給要件を満たしているか
- 退職日に出勤していない
上記3つの条件を満たしていない退職者は、手当金の受給対象からは外れてしまいますので、注意が必要です。
出産手当金を受け取って職場復帰をスムーズにしよう
いかがでしたか?
企業の健康保険に加入していれば、出産時に出産手当金の受給を受けることが可能です。
ただし給料と同額受け取れるわけではなく、あくまで約6割の金額の受給が認められることになります。
また、毎月給料のように受け取れず、産休終了後に企業の担当者に申請してはじめて、まとめて振り込まれますのでやはり出産前にはあらかじめ貯金をしておくことをおすすめします。
出産手当金の支給対象ではない場合は、出産育児一時金の取得を目指してみてください。
出産手当金自体は職場復帰の目的で支給されますから、ぜひ有効活用してみてくださいね。