火災保険に加入する際に付帯できるのが、水災が起きた場合に補償してもらえる水災補償。
マンションは一軒家と比べて高層に住むことができるので、水災とは無縁だと考えて火災保険に水災補償を付けない人も多いのではないでしょうか?
しかし最近では台風やゲリラ豪雨による影響で、マンションでも水災被害を受けるケースも増えています。
これからマンションに住む方は、マンションでも一応水災補償を付けるべきか迷っている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、マンションでも火災保険に水災補償を付けるべきかについてわかりやすく解説していきます。
目次
- 1 台風でマンションでも水災被害に遭うこともある
- 2 マンションでも火災保険に水災補償を付けるべき?
- 3 火災保険で補償できる3つの水災
- 4 水災保険の選択肢と比較
- 5 水災補償のカバー範囲と限度額
- 6 水災補償の契約条件と注意点
- 7 火災保険で補償できないパターン
- 8 マンションで起こりうる水災
- 9 マンションの建物や周辺環境における水災リスクの評価方法
- 10 マンション在住で水災補償を付けなくてもよい世帯の特徴
- 11 マンション在住でも水災補償を付けるべき世帯の特徴
- 12 水災補償は後からでも追加できる
- 13 共用部が水災に遭ったらマンションの管理組合が補償してくれる
- 14 マンションでも水災に備えて補償を付けておこう
台風でマンションでも水災被害に遭うこともある
これまではマンションは一軒家に比べて、水災被害に遭う確率が低いとして水災補償を付けない人が多数でした。
しかし昨年(2019年)の台風19号では、高層・高級マンションが集まる武蔵小杉で浸水被害が深刻になる異例の事態が起きました。
実はマンションは水災に強いのではなく、地震に強い構造になっているのです。
そのため最近の異常気象による台風の本土上陸や、1時間に50㎜以上の雨が降るゲリラ豪雨が起きたときには水災被害が深刻化することもあります。
マンションでも火災保険に水災補償を付けるべき?
結論を言うと、マンションでも水災補償を付けて万が一に備えておくこと
先に挙げた台風19号被害のように、マンションでも浸水被害などの水災に見舞われることもあります。
立地によっては土砂崩れに巻き込まれる可能性もありますから、万が一に備えて補償を付けておくことが重要になります。
しかし水害が全くおきたことのない地域に住んでいる場合は、無駄に保険料を支払うことになってしまいますので、状況によっては付けなくてもよい場合もあります。
一度住んでいる地域で水害が発生したことがあるか、危険度はあるかを国交省や自治体が掲載しているハザードマップを確認して、危険性に応じて水災補償を付けるかを判断してみることをおすすめします。
火災保険で補償できる3つの水災
火災保険に水災補償を付けた場合、以下の3つの水災を補償できます。
- 台風や豪雨による洪水
- 沿岸部の高潮
- 雨による土砂災害
豪雨によって水がはけきれずに起きた浸水や、土石流で家が流された場合でも補償は適用されます。
補償内容は補償付帯時に、建物・家財・建物家財両方の3つから選ぶことができます。
補償を受けるには損害や浸水状況の条件をクリアする必要あり
上で挙げた三つの水害で補償を受けるには、最低でも以下2つの条件をクリアしなければなりません。
- 建物・家財の保険価額に対して損害が30%以上あると見なされたとき
- 床上浸水或は地面から45㎝を超える浸水被害に見舞われたとき
条件を満たしていないと、保険金が支払われないこともありますので注意が必要です。
保険会社や保険の内容によって条件に変動がある可能性もありますので、一度基準を確認しておくことをおすすめします。
水災保険の選択肢と比較
火災保険には水災補償がついているものと、ついていないものがあります。
水災補償をつけるかどうかを検討する理由や、水災補償をつけるメリットについて詳しく解説します。
火災保険とは別に水災保険を検討する理由
近年大型の台風が日本に上陸したり、台風でなくとも連日長雨が続くことも珍しくなくなってきました。
台風や豪雨などで被害にあう可能性が高い地域に住む人は、加入を検討した方がよいでしょう。
住んでいる地域によってはマンションであっても2階以下に住む人は水災に合う可能性があります。
また、高層マンションでも豪雨でマンションの排水ができず逆流を起こす可能性もあります。
地下に電気系統が置かれている場合、水が入り込んで電気が使えなくなった場合も補償されるので、検討するとよいでしょう。
火災保険と水災保険を同時に持つメリット
火災保険には水災補償がついているものと、ついていないものがあります。
火災保険に入っていても、水災補償がついていなければ、水害で被害にあっても補償はされません。
被害にあう可能性が高い人は補償をつけておくとよいでしょう。
マンションの水災リスク評価
マンションの水災リスクはどのように評価すればよいのでしょうか。
マンションの建物や周辺環境における水災リスクの評価方法と、住んでいる地域の気象条件や地形が保険選択に与える影響について詳しく解説します。
水災補償のカバー範囲と限度額
先に述べたとおり、水災補償にはカバーする範囲が決まっています。
どの種類の損害をカバーするか、補償限度額の設定と保険料の関係についてそれぞれ詳しく解説します。
水災補償がどの種類の損害をカバーするか
水災補償で損害がカバーされる範囲は以下のとおりです。
- 台風、豪雨、暴風雨による洪水
- 融雪洪水
- 高潮
- 土砂崩れ
- 落石
これらによって、建物や家財に所定の損害を受けた場合、補償を受けとれます。
地震で起こる津波は補償の対象外です。水漏れも補償の対象にはなりません。
また、火災保険の対象は建物のみ、家財のみ、建物+家財の3つあるので、どれを選んでいるかによって補償内容が変わります。
水災補償には支払基準が設けられているため、支払基準を満たさない場合は保険金は支払われません。
水災保障の支払基準は以下のとおりです。
- 建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害を受けた場合
- 床上浸水または地面から45cmを超える浸水によって被害が生じた場合
地下室がある場合は、地下室内に水が入り被害にあった場合は水災補償の対象になります。
補償限度額の設定と保険料の関係
火災保険を契約するときに、自己負担額を設定できます。
自己負担額とは、災害にあったときに保険会社が支払う義務のない金額です。
自己負担額が高くなれば、その分保険料は下がっていきます。
自己負担額は保険会社によって金額の設定が異なるので、設定を考えるのであれば契約している保険会社に確認しましょう。
水災補償の契約条件と注意点
補償を契約するための条件や制約はあるのでしょうか?契約条件と注意点、補償を受けるための正確な報告手続きと証拠の提出について詳しく解説します。
契約時の水災補償に関する重要な条件や制約
水災補償を契約するには、火災保険に加入する必要があります。
火災保険に加入せずに水災補償だけを契約することはできません。
先に述べたように火災保険には「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3つの対象があるので、必要になる対象を選びましょう。
補償を受けるための正確な報告手続きと証拠の提出
水災に合った場合に補償を受けるためには以下の手順で手続きを行いましょう。
- 被害状況を全て写真に撮る
- 市町村へり災証明を申請する
- 被害状況を確認してから保険会社へ連絡する
- 修理会社へ問い合わせて見積書をもらう
- 保険会社から送られてきた申請書類を作成し、提出する
- 保険会社により現地調査を受ける
被害状況を後から説明しやすくするためにも、写真は必ず撮りましょう。
浸水した場合は、どの高さまで浸水したのか写真を撮るとともに、高さも測っておきましょう。
保険会社に提出が必要となる書類は以下のとおりです。
- 火災保険金請求書
- 修理会社の見積書
- 水災による損害箇所の写真
- り災証明書
り災証明書は損害状況によっては必要ない場合があります。
り災証明は保険を受け取る以外に市町村や都道府県からのお見舞金や義援金などの受け取りに必要な場合があるので、必ず申請しましょう。
火災保険で補償できないパターン
火災保険で補償できない水災は以下の3つです。
- 地震による津波・土砂災害
- 水濡れ
- 風災・雹・雪害
どれも水災補償の対象外でそれぞれ専用の補償特約があるため、被害が予想される地域に住んでいる方は災害に合わせて補償の付帯を検討してみてください。
マンションで起こりうる水災
マンションで起こりうる水災は以下の2つです。
低層階の床上浸水
低層階の床上浸水は実際に被害が起きた事例もあります。
数年前起きた鬼怒川決壊の水害では、一軒家で1階部分が浸水して大きな被害になりました。
低層階であれば一軒家と同じ高さに居住することも多いですから、豪雨や浸水被害に見舞われる可能性が高いのです。
給排水設備の故障による水濡れ
マンションでよくあるのが、配管などの給排水設備が故障することによって発生する水濡れです。
自分の家が発生源でなくとも、他の家で発生した故障で家の中が水浸しになってしまうこともあります。
しかしマンションで発生するような給排水設備の故障による水濡れは、水災補償の対象外です。
しかし、火災保険の基礎補償にある水濡れリスクで補償されますので安心してください。
水濡れに関しては、最上階以外は低層階も高層階も関係なく起こります。
マンションの建物や周辺環境における水災リスクの評価方法
マンションの建物や周辺環境における水災リスクの評価方法は以下のとおりです。
- 河川や海からの距離
- 周辺の高低差・水の流れる方向の確認
- 行政が公表しているハザードマップの確認
- 被災履歴の確認
- 建物の管理状況や劣化状況の確認
これらを調査し、水災リスクを評価します。
住んでいる地域の気象条件や地形が保険選択に与える影響
行政が公表しているハザードマップを確認し、どのくらいの浸水が想定されているかを確認しましょう。
マンションの2階以下に住む人は3m以上の浸水が想定されている場合は、保障をつけることを検討しましょう。
5~10mの浸水が想定されている場合は、3階でも検討するとよいでしょう。
建物の裏手に山や崖がある場合は大雨による土砂災害も補償の対象になるため、加入を検討した方がよいでしょう。
マンション在住で水災補償を付けなくてもよい世帯の特徴
以下ではマンション在住で、水災補償を付けなくてもよい世帯の特徴を紹介しています。
該当する人は水災保険を付ける必要はありませんが、もしもの時に備えておく目的で加入するのも良いでしょう。
高層階に住んでいる世帯
高層階に住んでいる人は浸水被害に遭う可能性が低いため、水災補償を付ける必要はないでしょう。
高層階になればなるほど、浸水リスクが減るためです。
しかし高層階でも短期間集中豪雨の場合はベランダの排水が追い付かずに、室内に水が入り込んでくることもあります。
しかしそこまでの雨が降ること自体珍しいので、そこまで留意する必要はないでしょう。
土砂災害や高潮のリスクがない地域に住む世帯
河川が近くにない・家の近くに崖や山が無い・海がないなど水災のリスクがない地域に住む世帯は、火災保険に水災補償を付ける必要性はありません。
水災補償をつけることで、火災保険料が上がってしまい必要のない補償で負担が増えてしまうことになります。
マンション在住でも水災補償を付けるべき世帯の特徴
高層階であることが多いマンション在住でも、水災補償を付けるべき世帯の特徴は以下の3つです。
- 近くに河川があり低層階に住む世帯
- ハザードマップに指定されている地域に住む世帯
- 土砂崩れが想定される地域に住む世帯
水災補償を付けるかの判断材料として活用してください。
近くに河川があり低層階に住む世帯
マンションの低層階、特に1階は一軒家と同様に水没してしまう可能性があります。
特に近くに河川がある場合は、河川が氾濫した場合越水することも考えられますので更に水災に見舞われるリスクが上がります。
先に挙げた台風19号による武蔵小杉でのマンション水害も、低層階で被害が出ていますからこれを教訓にもしもの時に備えておく必要があるのです。
ハザードマップに指定されている地域に住む世帯
ハザードマップを見たことはありますか?
八ザードマップとは国交省や地方自治体が、地域の過去の災害発生率や種類などをわかりやすいようにまとめ上げた資料のことです。
サイト上で確認できますが、意外と自分の住んでいる地域が災害発生指定地域に指定されているなんてこともあるのです。
ハザードマップを確認して、自分の住む地域が災害発生地域に指定されていることが確認できた場合は、万一に備えて水災補償を付けておくことをおすすめします。
土砂崩れが想定される地域に住む世帯
土砂崩れが想定される地域、特にマンションの後ろに崖や山がある場合は水災補償へ入りましょう。
崖や山は大雨や台風で地滑りを起こしたり、土砂崩れを起こす可能性が高いです。
水災補償では雨や台風による土砂災害も補償対象内です。
自分の住んでいるマンションが土砂崩れの心配があるかどうかは、上の項目で挙げたハザードマップで確認できます。
水災補償は後からでも追加できる
通常水災補償は火災保険加入時に契約しましが、後から水災補償だけを追加することもできます。
しかし保険の加入内容によっては、一度解約して再契約時に付帯するという面倒くさい手法を取らなければならないところもあります。
通常火災保険では10年以内に保険を解約することで、違約金が発生する仕組みになっています。
そのため焦って水災補償を付けようとすると、思いもよらないところでお金がかかってしまうこともありますから気を付けましょう。
もしも水災補償を追加で付けようと検討しているのであれば、一度保険会社に確認して違約金が発生するかを聞いておきましょう。
また、水災補償は火災保険に付ける特約のようなものですから、水災補償単体で加入することはできません。
そのため、現在加入している火災保険に追加で付帯する必要があるのです。
共用部が水災に遭ったらマンションの管理組合が補償してくれる
マンションのエントランスやエレベーターが水災で壊れてしまったら、誰が補償するのか気になりますよね。
一般的にはマンションの共用部が水災に遭ったら、マンションの管理組合が加入している保険を利用して補償してもらえます。
1階だから1階の住人でどうにかしてください、なんてことはありませんので安心してください。
また、マンションの共用部は水災以外の自然災害(風災・雪災・地震など)でも補償されるので安心してください。
マンションでも水災に備えて補償を付けておこう
いかがでしたか?
マンションでも階や住んでいる地域によっては水災の被害に遭う可能性があります。
そのため必要性に応じて、火災保険に水災補償を付けることをおすすめします。
この記事で紹介した、水災補償を付けるべき世帯・付けなくてもよい世帯の特徴をぜひ参考にしてください。
高層階に住んでいる人は水災に見舞われることはありませんが、低層階と同様に給排水設備による故障で水濡れで室内が浸水する可能性もあります。
しかし水濡れは火災保険の水濡れリスクで補償してもらえるので問題ないでしょう。
また現在火災保険に水災補償を付けていない人は、追加する際に一度解約して再契約をする手続きを取る場合があります。
その際に契約期間によっては違約金が発生してしまうことにもなりかねません。
そのため補償を付ける場合は、一度保険会社に違約金について問い合わせてみましょう。
マンションでも水災を見くびらずに、もしもに応じて補償を付けるように島y層!